腰痛が治らない20代~40代の原因と対策を年代別に徹底解説

腰痛が治らない20代~40代の原因と対策を年代別に徹底解説

腰が痛くて病院に行ったのに「異常なし」と言われた経験はないでしょうか。湿布を貼ったり少し休んだりして症状が軽くなった気がしても、また繰り返す。そんな腰痛に悩む20代〜40代の方たちは少なくありません。

腰痛がなかなか治らない理由は、原因が一つに絞れないケースが多いといってよいでしょう。姿勢・筋力・ストレス・年代による体の変化など、複数の要因が重なっているため、一つだけ対処しても痛みが残ることがあります。

この記事では、腰痛が治らない背景と、20代・30代・40代それぞれの年代に見られる原因を整理します。「自分の腰痛はなぜ続くのか」を理解するための情報をまとめました。

目次

腰痛が治らない理由は「原因が一つではない」から

腰が痛いとき、多くの人は「どこかに異常があるはずだ」と考えます。ところが実際には、検査をしても原因がはっきりしないケースが大半を占めています。

腰痛は病名ではなく、腰部に生じる痛みや不快感の総称です。背景には、姿勢の乱れ、筋肉の硬直、ストレスなど、複数の要因が絡み合っていることもあります。

湿布や安静だけでは改善しないときには、腰痛が長引く構造を理解することが対処の第一歩です。以下では、その仕組みを整理します。

腰痛は検査しても原因が特定されにくい場合が多い

病院でレントゲンやMRI検査を受けたにもかかわらず、「特に異常は見当たりません」と言われた経験がある方もいるかもしれません。実はこれは珍しいことではないのです。

厚生労働省の資料(第2章 腰痛対策)によると、腰痛の約85%は「非特異的腰痛」に分類されます。

非特異的腰痛とは

医師の診察やレントゲンやMRIなどの画像検査を行っても、骨折、腫瘍、神経圧迫など明確な原因を特定できない腰痛のことです。

残りの約15%が、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症など、原因を特定できる「特異的腰痛」にあたります。

つまり、腰痛を抱える人の大多数は、検査をしても「どこが悪いか」を正確に断定するのが難しい状態にあります。画像に映らない痛みが、腰痛全体の大部分を占めているのです。

ただ検査で異常がなかった=大したことはないという話ではありません。原因が見えにくいからこそ、複合的な要因を一つずつ見直すことが求められます。

痛みをかばう姿勢が新たな痛みを呼ぶ悪循環

腰が痛くなると、人は自然と痛みを避けようとします。腰をかばって体を傾けたり、痛い側に体重をかけないよう歩いたりする動作です。

行動自体は本能的なものですが、続けると別の問題が生まれることがあります。腰をかばう姿勢が続くと、本来使うべき筋肉が使われなくなり、周囲の筋肉に余分な負担がかかってしまうのです。

結果として、腰以外の部位(臀部・太もも・背中など)にも痛みや張りが広がり、腰痛がさらに治りにくくなるという悪循環が起こりやすくなります。

ストレスや自律神経の乱れが痛みを長引かせることがある

腰痛の原因として見落とされがちなのが、精神的なストレスや自律神経の乱れです。

自律神経の乱れ

仕事のプレッシャーや睡眠不足が続くと、自律神経のバランスが崩れ、筋肉の緊張が高まりやすくなります。その状態が続くと、腰まわりの血流が滞り、痛みを感じやすい状態が維持される場合があるとされています。

精神的ストレス

慢性的なストレスは脳の痛みに対する感受性を高める可能性もあります。身体的な異常がなくても痛みを強く感じやすくなると、慢性疼痛の研究で指摘されています。

参考:慢性疼痛治療ガイドライン

腰痛が治らない背景に、心理・神経系の要因が絡んでいるケースもゼロではありません。

20代〜40代で腰痛が治らない年代別の原因

腰痛の要因はどの年代でも同じかというと、そうではありません。20代・30代・40代では、腰痛の背景となる要因の組み合わせが異なります。

年代主な背景要因
20代姿勢の偏り・デスクワークによる筋硬直
30代体幹筋力の低下+仕事・育児の生活負荷
40代インナーマッスルの低下・女性ホルモンの変化(女性)

それぞれの年代で、どの要因が前面に出やすいかを見ておきましょう。腰痛が続く理由が、少し具体的に見えてくるかもしれません。

20代は姿勢の崩れとデスクワークによる筋肉の硬直が背景に

「若いから腰痛とは無縁」と思っている方もいるかもしれませんが、20代の腰痛は決して少なくありません。日本整形外科学会が行った腰痛に関する全国調査では、20代男女ともに治療を必要とするほどの腰痛を経験した割合が30%以上に上ることが示されています。

20代の腰痛の主な背景にあるのは、姿勢と動作パターンの偏りです。長時間のデスクワークやスマートフォンの使用が続くと、頭が前方に突き出た姿勢や骨盤が前に傾いた反り腰の状態が習慣化しやすくなります。

反り腰の姿勢が続くと、腰まわりの筋肉が過剰に緊張した状態のまま固まり、血流が低下して痛みが生じやすくなります。筋力そのものは維持されていても、使われる筋肉と使われない筋肉に偏りが生まれると、一部の筋肉だけに負荷が集中します。

「疲れたら休めば治る」という感覚でいると、姿勢の癖は変わらないまま痛みだけが繰り返される状態が続くことがあります。

30代は筋力低下と仕事や育児の負担で慢性化につながる可能性

30代になると、20代と比べて体幹の筋力が少しずつ低下し始めます。一方で、仕事の責任や育児といった生活上の負荷が重なりやすい時期に入る方も多いでしょう。

「体の変化」と「生活の負担」が同時に起きることが、腰痛が治りにくくなる背景の一つと考えられています。

育児中の方

授乳や抱っこ、オムツ替えなど長時間の前かがみ動作が繰り返されます。

仕事の責任

責任ある立場に就くにつれて残業や精神的なストレスが増し、腰まわりの筋肉の緊張が高まりやすい状態が続くことがあります。

腰痛が出ていても「少し休めば治る」と後回しにしてしまう方が多いのも、この年代の特徴です。

慢性腰痛は痛みを感じてから3ヶ月以上続くものと定義され、多くは30代〜50代に多くみられます。忙しさから対処を先送りにしてしまうと、痛みを長引かせる一因になりやすいといえるでしょう。

参考:腰痛診療ガイドライン 2019(腰痛はどのように定義されるか)

40代は体幹のインナーマッスルの衰えが腰への負担を増やしやすい

40代になると、腰椎を支える深部の筋肉(インナーマッスル)が低下し始め、腰への負担が増しやすくなります。脊柱起立筋やその奥にある多裂筋など、背骨を安定させる役割を持つ筋肉が衰えると、日常の動作でも腰椎に直接的な負荷がかかりやすくなります。

以前と同じことをしているのに腰が痛いと感じる場合、体の内側からの変化が関係していることがあります。30代のように外部からの負荷が増えたわけではなく、体を支える土台そのものの変化が、40代特有の腰痛の背景にあると考えられます。

女性に見られる変化

40代以降に女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が低下し始めて自律神経のバランスが乱れやすくなります。その影響で血流の低下や筋肉のこわばりが起きやすくなり、腰痛に重なるケースもあるとされています。

治らない腰痛の背景に隠れていることがある疾患

腰痛が続く背景には、特定の疾患が関わっている場合もあります。病気なのではと不安を感じながらも、受診を先送りにしている方は少なくありません。

腰痛の原因となる疾患は、骨・神経系のものから内臓・婦人科系のものまで幅広く存在します。日常的なセルフケアを続けても改善しない場合、自己判断での様子見には限界があります。

腰痛を引き起こす疾患を知り、適切なタイミングでの受診につなげるための情報をお伝えします。

椎間板ヘルニアや坐骨神経痛との関係

腰痛が長引く背景として比較的頻度が高い疾患のひとつが、腰椎椎間板ヘルニアです。

腰椎椎間板ようついついかんばんヘルニアとは

背骨の腰の部分(腰椎)にあるクッション「椎間板」の内部組織(髄核)が外に飛び出し、神経を圧迫する病気です。

背骨の骨と骨の間にある椎間板はクッションの役割を持っています。ですが長時間の同一姿勢や急激な負荷によって変性すると、内部のゲル状の組織が外に飛び出して近くを走る神経を圧迫することがあります。

圧迫によって腰から臀部・太もも・ふくらはぎにかけて痛みやしびれが広がる症状が、坐骨神経痛と呼ばれるものです。

坐骨神経痛ざこつしんけいつうとは

腰から足に伸びる最も太い神経「坐骨神経」が圧迫・刺激され、お尻~太もも裏、ふくらはぎ、足先に強い痛みや痺れ(しびれ)が出る症状の総称です。

坐骨神経痛は疾患名ではなく症状の総称であり、椎間板ヘルニアはその代表的な原因のひとつとされています。

咳やくしゃみで腰に痛みが響く、片側の足にしびれが出る、といった場合は、骨・神経系の疾患が関係している可能性があります。腰椎椎間板ヘルニアは20〜40代を中心に発症しやすい疾患とされており、若いから関係ないと決めてしまわないほうがよいでしょう。

腎臓や婦人科系の不調が腰痛として現れることも

腰痛の原因は整形外科的な問題だけではありません。

腰痛を引き起こす原因となりやすい疾患
  • 腎盂腎炎
  • 尿路結石
  • 子宮内膜症
  • 子宮筋腫
腎盂腎炎・尿路結石

腰の近くに位置する腎臓に炎症や結石などの異常が生じると、腰や背中の鈍痛として現れることがあります。腎盂腎炎や尿路結石では、腰痛に加えて排尿時の違和感・血尿・発熱などを伴う場合もあるとされています。

姿勢を変えても、痛みの強さがほとんど変わらない点が整形外科的な腰痛との違いのひとつといえるでしょう。

子宮内膜症・子宮筋腫

女性の場合は、婦人科系の疾患が腰痛として現れることがあるとされています。月経のたびに腰痛が強くなる、月経と関係なく骨盤まわりの重だるさが続くといった状態がある場合は、婦人科系の不調が背景にある可能性を考える一つの材料になります。

整形外科での検査で「異常なし」と言われた後も痛みが続く場合、内臓や婦人科系が原因の可能性があります。腰痛以外に気になる症状がないかを確認してみると、原因の手がかりとなるケースもあるのです。

こんな症状があるときは整形外科への受診の検討を

腰痛のほとんどは日常的なケアで経過をみるケースが多いとされています。一方で、以下のような症状がある場合は、早めに医療機関への受診を検討することが望ましいでしょう。

早めの受診が望ましい症状
  • 安静にしていても痛みが続くまたは悪化する
  • 足にしびれや脱力感がある
  • 発熱・血尿・嘔気などが腰痛と同時に現れる
  • 排尿や排便に異常を感じる

上記に加え、セルフケアを続けても2週間以上改善しない場合も、受診の目安のひとつとされています。

腰痛が主な症状であればまず整形外科を受診するのが基本です。診察の結果によっては、内科・泌尿器科・婦人科など他の診療科への案内を受けることもあります。

腰痛が長引くときに見直せる日常のポイント

疾患が原因ではないと確認されても腰痛が続く場合、日常生活での習慣を見直してみましょう。大がかりな治療や特別な器具を用意する必要はありません。

今日からできる小さな行動の積み重ねが、腰への負担の変化につながることがあります。姿勢と運動という二つのポイントから、日常で取り組めるものをご紹介します。

座り方・立ち方の小さな変化が腰の負担を変える

長時間同じ姿勢で座り続けると、腰まわりの筋肉が緊張した状態を維持し続けることになります。特に骨盤が後ろに倒れた状態(いわゆる骨盤後傾)では、背骨の自然なS字カーブが崩れ、腰椎に偏った負荷がかかりやすくなります。

猫背や前かがみの姿勢が習慣化すると、腰への負担が蓄積されていきます。座るときに意識したいのは、椅子に深く腰かけてお尻を座面の奥まで引き、骨盤を立てることです。

基本の座り方

かかとを床にしっかりつけ、膝は90度前後になるよう机や椅子の高さを調整することが基本とされています。必要であれば足台やクッションなども活用してください。

同じ姿勢をとらないように「30分に一度は立ち上がる」という習慣から始めるだけでも、同一姿勢の継続による蓄積を和らげる一歩になります。

参考:理学療法ハンドブック シリーズ3 腰痛

体を動かす習慣が痛みの悪循環を断ちやすくする

腰痛があると、動くと悪化するかもしれないという不安から安静を優先しがちです。しかし日本整形外科学会の腰痛診療ガイドライン2019では、急性期の非特異的腰痛に対してはベッド上での過度な安静よりも、痛みの範囲内で活動を維持する方が回復に有利であるとされています。

安静を続けると筋肉がさらに硬直し、血流が悪化して痛みが強まり、また動けなくなるという悪循環に陥りかねません。

慢性腰痛に対しては、運動療法の推奨度が高く位置づけられています。痛みが強い急性期を除けば、軽い動きを取り入れてみましょう。

ウォーキングや軽いストレッチなど腰への負担が少ない動作を継続的に行うと、筋肉の柔軟性を維持し慢性化を防ぐうえで有効とされています。まずは無理のない範囲でいつもより少し歩くことから始めてみてください。