鏡を見るたびに髪のボリュームが減っている気がする。家族に頭頂部を指摘された。そんなきっかけで「毛髪再生医療」という言葉を目にして、これは何なのだろうと調べ始めた方もいるでしょう。ご自身のことだけでなく、親や配偶者の薄毛が気になって調べている方もいるかもしれません。
毛髪再生医療という呼び方は、一つの決まった治療を指す言葉ではありません。大学病院で提供が始まった治療から、クリニックが自由診療として行っている治療、まだ研究段階の技術までが同じ名前で語られています。使うもの・法律上の扱い・分かっていることの量には大きな差があります。
この記事では、毛髪再生医療と呼ばれる治療の範囲を整理し、何を使うかで分かれる3つの種類を横断して見比べます。実用化の到達点、大学病院が公表する効果や費用、受けられない条件も順に確認します。HARG療法や毛髪再生注射という呼び名にも触れますので、選択肢を考える手がかりにしてください。
毛髪再生医療とは?薄毛治療のどこまでが再生医療か

毛髪再生医療とは、自分の細胞や血液、細胞を培養して得られた成分など、体に由来するものを頭皮に用いて発毛を促そうとする治療をまとめた呼び方です。正式な術式名ではなく、通称に近い言葉といえます。
どこまでが再生医療にあたるのかを線引きすると、範囲は思ったより狭くなります。フィナステリドやミノキシジルなどの内服薬・外用薬は含まれず、毛包ごと髪を移す自毛植毛も外科的な移植として別に扱われます。髪や髪の毛に再生医療が使えるのかという問いへの答えは、この線引きの内側にあります。

再生医療が薄毛の治療に使われるようになった背景
日本皮膚科学会の男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版は、男性型脱毛症の病態を「毛周期を繰り返す過程で成長期が短くなり、休止期にとどまる毛包が多くなること」と説明しています。薄毛は、髪を作る毛包の働きが変化した結果として現れる状態だと整理されているわけです。
この毛包に直接働きかけられないかという発想が、再生医療を薄毛の分野に持ち込みました。同ガイドラインのCQ13にも、毛誘導能をもつ間葉系細胞の直接移植や、その分泌物を含む培養上清からの生成物などを罹患部に注入する治療が試みられようとしている、という記述があります。
毛髪再生注射と呼ばれる再生医療は何を指すか
毛髪再生注射とは、頭皮に何かを注入して発毛を促そうとする治療を広く指す言葉です。医学的に定義された用語ではなく、毛髪再生療法・毛髪再生治療・毛髪再生注入・毛髪再生メソセラピーなど施設ごとに呼び名が併用されています。呼び方の違いが治療内容の違いを表すのかを示す一次資料はなく、名称だけで中身は判断できません。
手がかりになるのは、名前ではなく注入するものです。自分の血液から取り出した成分なのか、他人の脂肪幹細胞を培養した上清液から作られた製剤なのかで、法律上の扱いも分かっていることの量も変わります。毛髪再生注射の成分は何かという問いは、治療の種類を尋ねているのと同じです。
毛髪再生医療の3つの種類は何を使うかで決まる

毛髪再生医療と呼ばれる治療は、何を使うかで大きく3つに分かれます。この3分類は、再生医療等の安全性の確保等に関する法律の上での位置づけと、薬事承認された医薬品があるかどうかを基準にした本記事としての整理で、学会や行政が定めた公的な統一分類ではありません。
本記事では、S-DSC以外の2つをまとめて注入型と呼びます。一つは自分の血液や脂肪を使うもの、もう一つはヒト幹細胞培養上清液やエクソソームを使うものです。これは説明の便宜上のラベルであり、公的な分類名ではありません。S-DSCも頭皮に注入する治療ですから、注入するかどうかで線が引かれているわけではない点にご注意ください。
下の2つの表は、3つの型を同じ観点で並べたものです。はじめに何を採って何を頭皮へ入れるのかを、続けてどこで受けられるのかと法的な位置づけを整理します。採取元と注入するものを別の列にしたのは、どこから採ったものかと実際に頭皮へ入るものが一致しないためです。
| 種類 | 採取元 | 注入するもの |
|---|---|---|
| S-DSC(自分の細胞を培養) | 本人の後頭部の頭皮組織 | 本人の細胞を約3週間培養した加工物 |
| PRP療法・幹細胞治療(自分の血液や脂肪) | 本人の血液または脂肪 | 血液からは多血小板血漿という血漿成分・脂肪からは幹細胞 |
| 培養上清液・エクソソーム(他人由来) | 他人由来の幹細胞を培養した上清液 | 培養上清液やそこから抽出した製剤 |
受けられる場所と法的な位置づけ、費用が公表されているかどうかも型ごとに違います。
| 種類 | 提供している場所と法的な位置づけ | 費用の公表 |
|---|---|---|
| S-DSC(自分の細胞を培養) | 大学病院などの5施設。第二種再生医療等として届出され、提供施設が改善率を公表 | あり(施設が実額を掲載) |
| PRP療法・幹細胞治療(自分の血液や脂肪) | 自由診療のクリニック。再生医療等安全性確保法の届出対象で、ガイドラインCQ13はC2 | 公的な出典なし |
| 培養上清液・エクソソーム(他人由来) | 自由診療のクリニック。薬事承認された医薬品はなく厚生労働省が注意喚起 | 公的な出典なし |
自分の細胞を培養して注入する再生医療のS-DSC
S-DSCは培養自家毛球部毛根鞘細胞加工物の略称で、患者本人の細胞を体外で増やしてから頭皮に戻す治療です。東邦大学のプレスリリースによると、東京医科大学病院・杏林大学医学部付属病院・株式会社資生堂との共同開発技術にあたります。
流れも公表されています。後頭部の脱毛していない部分から直径5mm程度の頭皮組織を採取して縫合し、約2週間後に抜糸します。組織は細胞培養加工施設で約3週間培養され、7本製造されたS-DSCのうち1本から3本を解凍して脱毛部に投与します。毛髪再生医療の培養という言葉が指すのは、この工程です。
東邦大学は、再生医療等提供計画の届出を経て実施するもので本治療は第二種再生医療等に該当すると記載しています。位置づけは自由診療で、費用は全額が患者の負担です。なお細胞が増殖しない等の理由で投与に至らない可能性がある、とも東京医科大学病院は記載しているのでご注意ください。

参考:培養自家毛球部毛根鞘細胞加工物を用いた毛髪再生医療の提供開始について(東邦大学) / S-DSC毛髪再生医療(東京医科大学病院)
自分の血液や脂肪を使う再生医療のPRP療法(多血小板血漿)・幹細胞治療
2つ目は、患者本人から採った血液や脂肪を使う型です。血液を使う場合はPRP療法にあたり、遠心分離で血小板を多く含む部分を集めた多血小板血漿を注入します。脂肪を使う場合は幹細胞治療で、脂肪組織から取り出した幹細胞そのものを用います。
この型は再生医療等安全性確保法の届出対象で、厚生労働省は手続きをせずに提供した場合は法律違反となり罰則が適用されると明記しています。幹細胞と薄毛の関係やPRP療法と薄毛の関係、毛髪再生医療で使われる幹細胞について調べたときに出てくる治療の多くが、ここに含まれます。エビデンスの評価が国内と海外で分かれている点は、後の章で扱います。
当院でも頭皮への注射としてPRP治療を扱っており、幹細胞治療でも毛髪再生を対象の一つに挙げています。ただし適応を判断するのは診察ですから、受ける前に原因と進行度を確かめてください。
ヒト幹細胞培養上清液やエクソソームを注入する再生医療
3つ目は、他人由来の幹細胞を培養した際に得られる上清液や、そこに含まれるエクソソームなどを注入する型です。培養上清液は幹細胞を培養したあとに残る液体で、エクソソームは細胞が放出する小さな袋状の物質を指します。注入されるのは細胞そのものではなく、細胞が培養液中に分泌した物質のほうです。エクソソームと薄毛や育毛の関係、幹細胞培養上清液と薄毛の関係を調べている方が行き着くのがこの型で、点滴としての案内も見かけますが、頭皮の薄毛への効果を示す一次資料はありません。
押さえておきたいのは、厚生労働省が2024年7月31日付の事務連絡で注意を促している事実です。使用されるエクソソーム等で有効性・安全性が示され薬事承認を得て製造販売されている医薬品はありませんと明記し、実施する医師の責任のもと特に安全性に留意する必要があると述べています。効果が否定されたのではなく、確かめられた医薬品がまだ存在しない状態だと読むのが正確です。
実際の案内のされ方は医療機関のページで確認できます。B&Hメディカルクリニックの発毛メソセラピーのページでは、成長因子やエクソソームに言及した頭皮注入の治療が説明されています。当院のiPSエクソソーム治療のページでも、頭皮への注射として薄毛や脱毛を対象に挙げています。医療機関の治療案内は何を注入するのかを知るための例であって、効果を裏づける資料ではありません。この型を検討するときは、何を注入するのかという記載があるかを最初に確かめるとよいでしょう。
HARG療法(ハーグ療法)は再生医療のどれに当たるか
HARG療法(ハーグ療法)は、3つの型のうち3つ目に当たります。日本医療毛髪再生研究会の公式サイトによると、HARG療法はヒト脂肪幹細胞培養上清液の成長因子をメインに頭皮へ注入する治療で、HARG+療法ではその上清液からエクソソームのみを抽出した高純化エクソソーム製剤を注入するとされています。HARG+は同研究会の登録商標で、会員施設だけが実施できるとされています。
一方、書けないことも明確です。日本皮膚科学会のガイドラインにHARGという語の記載はなく、発毛率や満足度の数値は同会サイトの説明であって査読論文の裏づけがありません。やめたあとの経過や必要な回数、女性や生え際への効果、痛み・メンテナンス・初期脱毛・危険性・効果が出るまでの期間などについても、査読論文に基づいて答えられる資料は確認できていません。厚生労働省が認可した治療であるという説明も事実にあたりません。
なお毛髪再生メソセラピーやACRSという治療名も見かけます。ACRSは脱毛症を対象とした臨床研究がPubMedで確認できず、薄毛への効果を語れる材料がそろっていない扱いになります。
毛髪再生医療の実用化はいつから始まった?今どこまで来ているか

毛髪再生医療の実用化はいつからか。この問いへの答えは、治療の種類によって分かれます。自分の細胞を培養して戻すS-DSCについては、2024年7月に大学病院で提供が始まったというのがその答えです。東邦大学医療センター大橋病院皮膚科が2024年7月1日から提供を始めたとプレスリリースで公表しています。
一方でPRP療法やHARG療法は、届出や医師の裁量による自由診療という別の経緯で、それ以前から提供されてきました。分野全体がこの時期に初めて実用化されたという意味ではありません。なお実用化がいつになるかという将来の年号を示す一次資料は存在せず、2025年や2026年といった数字の根拠も確認できていません。
毛髪再生医療を提供している大学病院
S-DSCを提供している施設として案内されているのは、次の5施設です。
- 東邦大学医療センター大橋病院 皮膚科
- 東京医科大学病院 皮膚科
- 杏林大学医学部付属病院 皮膚科
- 秋葉原スキンクリニック
- 野村皮膚科医院
大学病院だけで行われている治療ではありません。5施設はいずれも東京都または神奈川県にあり、遠方の場合は通院そのものが検討材料になります。
東邦大学医療センター大橋病院は受診に紹介状(情報提供書)が必要と明記しています。あわせて紹介状なしで受診する場合は初診料とは別に選定療養費7,700円(税込)がかかるとも案内されており、費用を見積もるときに含めておきたい項目です。対象は、東京医科大学病院のページによると男性型または女性型脱毛症と診断された成年者で、他の治療では効果が不十分あるいは副作用等により継続できず本再生医療等の効果が期待できる方です。最初の選択肢ではない、という位置づけが読み取れます。
理研や資生堂が毛髪再生医療に関わる範囲
名前が挙がる組織はいくつかありますが、到達している段階はそれぞれ違います。株式会社資生堂はS-DSCの共同開発者で、現在も資生堂の管理・監督下で細胞が輸送・培養・凍結保管されると東邦大学のプレスリリースに記されています。資生堂が関わる部分は研究段階ではなく、提供が始まっている治療の一部を担っている状態です。
理化学研究所の取り組みは段階が異なります。理化学研究所と株式会社オーガンテックは2026年2月25日、新たに見つかった第三の細胞である毛包再生支持細胞を含む3種類の幹細胞から、生体外で髪の毛を再生したと共同発表しました。到達点は生体外での毛包再生にとどまります。京セラも2016年7月に理化学研究所などと毛包器官再生の共同研究を始めています。
横浜国立大学の福田淳二教授らの研究も同様で、2022年10月に神奈川県立産業技術総合研究所などと共同発表された成果は、生体外で長い毛を生み出す毛包オルガノイドの作製とマウスへの移植までです。iPS細胞を使う毛髪再生も、治療として提供される段階には至っていません。

参考:成体毛包の3種類の幹細胞により生体外で髪の毛を再生(理化学研究所)
毛髪再生医療の最新情報や治験のモニター募集はどこを見るか
最新情報を追うなら、まず見るとよいのは提供施設と研究機関の公式ページです。S-DSCは大学病院の診療科ページが費用や対象条件まで含めて更新されており、研究段階の技術は理化学研究所や大学のプレスリリースが一次情報にあたります。ニュース記事や個人のブログを起点にすると、当時の目標年が現在の予定として伝わることがあります。
治験やモニターの募集には注意したい点があります。臨床試験としての被験者募集と、クリニックが自由診療の料金を割り引く目的で行うモニター募集は性質がまったく異なります。毛髪再生医療のモニターという言葉で見つかる案内がどちらなのかは、実施主体と目的の記載で見分けてください。
毛髪再生医療の効果について大学病院が示しているデータ

この章で扱う改善率や評価時点は、すべてS-DSCについて公表されているデータで、PRP療法やHARG療法など他の治療の効果を示すものではありません。見出しにある大学病院とはS-DSCを提供している施設を指しており、3種類全体の効果として読むと実態から離れてしまいます。
毛髪再生医療の改善率はどのくらいか
東京医科大学病院のS-DSCに関するページ(2026年5月14日更新)は、現時点でのデータでは全体で3割、男性は2割、女性は4割の効果ですと記載しています。この数字は次の項で見るとおり投与から12か月後の外観写真評価で改善と判定された方の割合であって、どれだけ増えたかという効果の大きさを表すものではありません。あわせて、女性・40代以上・薄毛の進行度が比較的初期段階の方でより優れた効果を発揮したとも書かれ、効果や持続時間には個人差があるという但し書きが添えられています。
裏を返せば、改善が確認されなかった方のほうが多いという読み方もできます。毛髪再生注射の効果や髪の毛の再生医療の効果を調べている方には、期待値を現実的な範囲に置き直す材料になるでしょう。
毛髪再生医療の効果はいつの時点で評価されているか
改善率と同じくらい大切なのが、いつの時点で測られた結果かという点です。東邦大学が公表している参考資料によると、20歳から59歳の男女35名の被験者による試験で、注入から12か月後の外観写真評価によって改善の有無が判定されています。つまり投与から1年経った時点の見え方を評価した数値です。

なお12か月というのは評価を行った時点であって、効果が現れ始める時期を示す数字ではありません。投与後どのくらいの時期から変化が現れるのかを断定できる一次資料は確認できていません。
毛髪再生注射は意味ない?注入型でエビデンスが分かれる理由

毛髪再生注射は意味ないのではないか、効果ないのではないか、怪しいのではないか。こうした疑問が繰り返し検索される背景には、評価が一つに定まっていないという実情があります。国内のガイドラインと海外の研究で結論の向きが違うため、どちらの情報に触れたかで印象が正反対になるのです。ここでの対象は注入型です。
国内のガイドラインによる成長因子の導入と細胞移植療法の評価
日本皮膚科学会の男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版は、CQ13で「成長因子導入および細胞移植療法は有用か?」という問いを立て、推奨度C2としています。推奨文は「成長因子導入および細胞移植療法は行わないほうがよい」というものです。
重要なのはC2の定義です。同ガイドラインはC2を「行わないほうがよい(有効のエビデンスがない、あるいは無効であるエビデンスがある)」と定義しており、有効性の根拠が足りない場合と無効だという根拠がある場合のどちらもここに入ります。C2は効果がないと証明されたことを意味しませんし、逆に学会がPRP療法を推奨しているという説明も事実に反します。
解説には理由も書かれています。PRPなどの発毛促進効果について試験は実施されているものの、その多くは限られた施設における先進医療の段階にあり、安全性なども含めその有効性は決して十分に検証されているとはいえない、という説明です。今後が期待される治療法ではあるものの現時点では広く一般に実施できるとは言い難い、というのが結びの一文でしょう。
なおこのガイドラインは2017年版が現行の最新版で、2023年版や2025年版は学会の公開一覧に存在しません。S-DSCの提供開始(2024年)、厚生労働省の事務連絡(2024年)、改正法の施行(2025年5月31日)はいずれもそれより後の出来事であり、2017年版がその後の動きを反映していない点は知っておいてよいでしょう。
参考:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版(日本皮膚科学会)
PRP療法の効果は海外の研究で何が示されているか
海外では複数のメタ解析が行われています。Anitua Eらが2025年にDermatol Ther (Heidelb)誌へ発表した研究は、ランダム化比較試験43件・1,877名を対象に、PRPは安全で毛髪密度の改善・脱毛の減少・満足度の向上に有効であることをmoderate evidenceが示していると結論づけました。ただし毛髪の太さについては有意な利益が示されなかったとも述べています。
一方、Cruciani Mらが2023年にBlood Transfus誌で発表したGRADE評価による解析は、対照試験27件・1,117名を対象に、生理食塩水との比較で毛髪密度は増加するものの、非一貫性とバイアスのリスクによりエビデンスの質は低いと評価されたと報告しました。重篤な有害事象はなかったとも記載されています。なおこれら2つの解析が対象としているのは脱毛症全般で、男性型脱毛症だけに絞った結論ではありません。
国内ガイドラインのC2、海外メタ解析のmoderate evidence、GRADE評価のlow quality。この3つが同時に存在しているのが現在の状況です。毛髪再生注射に意味があるのかという問いには、効く・効かないの二択ではなく、判断できるだけの材料がまだそろっていないと答えるのが正確でしょう。

参考:Anitua E, et al. Dermatol Ther (Heidelb) 2025 のシステマティックレビュー(PubMed) / Cruciani M, et al. Blood Transfus 2023 のGRADE評価(PubMed)
毛髪再生医療は何回受けてどのくらい続くのか

毛髪再生医療は何回受けて、どのくらいの期間続くのか。なおここでの「どのくらい続くのか」は治療が続く期間の話で、効果がどれだけ持続するかとは別の論点です。
先にお伝えすると、回数と期間について公表された情報があるのはS-DSCだけです。PRP療法や幹細胞治療、培養上清液やエクソソームを使う注入型については、標準的な回数や間隔を示す一次資料を確認できていません。PRPの回数や間隔は試験ごとに不均一だと、メタ解析自身も指摘しています。
S-DSCで公表されている投与回数と治療期間
S-DSCの投与回数について、提供施設の公式情報は言い切った形をとっていません。東京医科大学病院のページには、症状の改善状況に応じて複数回に分けて投与する場合がありますと記載され、製造される7本のうち1本から3本を投与するという説明が添えられています。
治療期間については、東邦大学医療センター大橋病院がS-DSCの使用期限が1年のため最大1年程度ですと案内しています。
| 項目 | S-DSCの公表内容 | 注入型 |
|---|---|---|
| 投与回数 | 改善状況に応じて複数回に分ける場合がある(製造7本のうち1〜3本) | 標準的な回数を示す一次資料なし |
| 治療期間 | 使用期限が1年のため最大1年程度 | 標準的な間隔を示す一次資料なし |
毛髪再生医療の幹細胞注射は何回か、HARG療法は何回でメンテナンスの頻度はどうかといった疑問には、同じ水準の資料が見当たりません。説明を受ける際は、公表資料に基づく数字なのかを尋ねてみるとよいでしょう。

毛髪再生医療をやめたら髪はどうなる?
治療をやめたあと髪がどうなるのか。ただしS-DSCについても注入型についても、中止後の経過を追った一次資料は確認できておらず、本記事では推測を書きません。
ここで混同しやすいのが、AGA治療薬に関するガイドラインの記述です。日本皮膚科学会のガイドラインはフィナステリドについて、内服を中止すると効果は消失すると明記しています。これは飲み薬の話であって再生医療の話ではありません。薬をやめると戻るのだから再生医療も同じだろうと結びつける根拠は、どちらの方向にもないのです。
毛髪再生医療の副作用などのデメリット

毛髪再生医療のデメリットは、体に起こる副作用だけではありません。S-DSCは自由診療のため、費用は全額が自己負担です。
東邦大学医療センター大橋病院は、培養を開始してしまうとキャンセル料金(約150万円)が発生すると明記しています。その後の中止についても状況に応じた費用が発生するとされています。
細胞が増殖せず投与に至らない可能性があるという記載とあわせると、費用が発生したのに治療が完了しない場合もありうるわけです。提供施設が東京都と神奈川県の5施設にとどまる点も、住む場所によっては制約になります。

大学病院の毛髪再生医療で報告されている痛みや腫れ
S-DSCの臨床研究で認められた事象として、2つの大学病院はいずれも次を公表しています。
- 投与部位の紅斑・腫れ・痛み・出血
- 投与時の緊張に伴う気分不良
- 投与後の頭痛
いずれも症状は軽く短い時間で回復しているとされています。毛髪再生注射は痛いのかという疑問には、痛みが報告された事象の一つに含まれる、というのが答えになります。
手技に伴う不利益も示されています。頭皮組織を切除する際に起こりうるとされているのは、次の内容です。
- 稀ではあるものの麻酔後の血圧低下や呼吸困難
- 出血や痛み
- 傷跡が目立つ可能性
後頭部に小さいながら傷が残る点は、事前に理解しておきたいところ。なお長期の安全性データは確認できていません。
毛髪再生医療の注射で初期脱毛は起こる?
初期脱毛は、薄毛治療を検討する方が心配しやすい現象で、毛髪再生注射の初期脱毛やHARG療法の初期脱毛といった調べ方も多く見られます。ただし毛髪再生医療について初期脱毛の発生を示す一次資料は確認できていません。
起こると断定することも、起こらないと断定することも、どちらも根拠を欠きます。S-DSCで公表されている有害事象の一覧にも初期脱毛は含まれていません。心配な場合は治療前に医療機関で確認してみてください。

培養上清液やエクソソームを注入する再生医療で指摘されているリスク
培養上清液やエクソソームを使う型については、厚生労働省医政局研究開発政策課が2024年7月31日付で「幹細胞培養上清液及びエクソソーム等を用いる医療について(周知)」という事務連絡を出しています。宛先は再生医療等提供機関の管理者で、内容は指導ではなく留意の依頼という形です。日本再生医療学会のガイダンスを参照するよう求める記載もあります。
一方で、具体的な健康被害の事例や件数を示す一次資料は確認できていません。何件の被害が出ているという書き方はできませんし、逆にこの型が違法だという根拠もありません。医師の裁量による自由診療について、国が安全性への留意を求めている段階だと理解するのが正確です。
参考:幹細胞培養上清液及びエクソソーム等を用いる医療について(厚生労働省) / エクソソーム等に関する事務連絡について(日本再生医療学会)
毛髪再生医療を受けられない人

ここから紹介する条件は、S-DSCについて提供施設が公表している除外基準です。受けられない条件は治療の種類ごとに異なり、注入型については各医療機関での個別の確認が要ります。全種類に共通する禁忌としてまとめられるものではないため、他の治療を検討する際はその医療機関で改めてご確認ください。

毛髪再生医療の対象から外れる妊娠中や授乳中の女性
東京医科大学病院が公表している除外基準には、妊娠中または授乳中の女性が含まれています。授乳期間中に髪の変化を感じる方は少なくありませんが、S-DSCはこの時期を避ける設計になっているということです。
除外とされている理由まで踏み込んだ説明は、公表資料には見当たりません。本記事でも推測は書きません。産後や卒乳後にS-DSCを検討したい場合は、受診の時期も含めて医師に相談してみてください。
毛髪再生医療の前に確認される感染症と局所麻酔薬の過敏症
- B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルス・HIV・HTLVの感染が確認された方
- 局所麻酔薬の過敏症の既往がある方
- 妊娠中または授乳中の女性
- 医師が不適当と判断した方
感染症の確認は治療前の検査で行われ、検査で感染症が確認された場合は治療できないと2施設とも記載しています。
これらの条件は、採取した組織を培養加工施設で扱うこと、採取と投与のいずれでも局所麻酔と注射を用いることと結びついています。なお献血に関する条件は一次資料が確認できず、他院の説明で見かけることがあっても本記事では断定を避けます。
毛髪再生医療が向いているとされる薄毛

どんな薄毛に向いているのかを考えるとき、数字だけを手がかりにするのは危険です。この後に紹介する男女別の改善率や部位ごとのデータの有無は、効果データの内訳にすぎません。向いているかどうかは改善率だけでは判断できず、脱毛の原因・進行度・残っている毛包の状態を医師が診たうえで決まります。改善率が高い属性に当てはまることと、自分に適応があることは別の話だと考えてください。

毛髪再生医療の改善率は女性と男性でどう変わるか
先に見たS-DSCの改善率は、全体で3割に対して男性は2割、女性は4割でした。この章に関わるのは男女で差があるという点で、薄毛に悩む女性にとって、再生医療が数字の上で不利ではないことは知っておいてよいでしょう。ただし数字の高い属性に当てはまることと、自分に適応があることは別の話です。
投薬治療との対比でも見ておきましょう。ガイドラインでは、フィナステリド内服とデュタステリド内服は男性型脱毛症に推奨度Aである一方、女性型脱毛症には推奨度D、つまり行うべきではないとされ、女性に推奨度Aがついているのはミノキシジル外用です。選べる投薬の幅が男性より狭い状況で、S-DSCが男女とも対象になっている点は押さえておきたいところ。
M字などの生え際の薄毛で毛髪再生医療のデータはあるか
M字の生え際や額の両側の薄毛について、毛髪再生医療の部位別データは公表されていません。S-DSCで公表されているのは全体・男性・女性という区分の改善率と、年代や進行度の傾向だけです。
HARG療法の生え際についても同様で、効果を示す査読済みの資料は確認できていません。データが公表されていないというのが、現時点で正確な回答です。自分の生え際がどういう状態にあるかは、診察を受けて確かめるほかありません。
毛髪再生医療の費用はいくら?公表されている料金と価格差

毛髪再生医療の費用はいくらか、という問いに一つの金額で答えることはできません。公的に確認できる価格情報があるのはS-DSCだけで、PRP療法・幹細胞治療・HARG療法・エクソソームを使う治療には相場を示す公的な出典が存在しないためです。毛髪再生医療の相場はいくらという書き方は、種類をまたいだ時点で根拠を失います。

金額を断定できない代わりに、確認の仕方はお伝えできます。一つは、検討している医療機関の公式料金表で総額を確かめることです。施術1回あたりか複数回一括かで見かけの数字は大きく変わり、安いと感じた表示が1回分で、必要な回数を掛けると印象が逆転することもあります。もう一つは、価格が公表されているかどうか自体を情報として受け取ることです。ただし公表の有無だけで治療の中身を判断することはできませんので、頭皮に何を入れるのかと総額の両方をあわせて確認してください。なおこの章の「注入型」も、先に定義したとおりS-DSC以外の2つを指します。
大学病院で受ける毛髪再生医療の費用
公表されているのは、S-DSCを提供している2つの大学病院が示している治療費の目安です。
| 施設 | 治療費の目安 | 出典の時点 |
|---|---|---|
| 東邦大学医療センター大橋病院 | 1,565,300円〜3,632,200円(税込) | 2024年6月29日付の案内 |
| 東京医科大学病院 | 約2,300,000円〜約3,500,000円(税抜) | 2026年5月14日更新のページ |
東邦大学医療センター大橋病院は、治療を希望する部位の大きさや治療回数に応じて費用が異なるとしています。2施設で税込表示と税抜表示が異なるため、比べるときは表示をそろえてください。なお先に触れた培養開始後のキャンセル料と紹介状なし受診の選定療養費は、いずれも東邦大学医療センター大橋病院の案内に基づく情報です。治療費に上乗せされる項目は受診先ごとに異なりますので、総額を見積もるときは検討先の案内で確認してください。
S-DSCと注入型の再生医療で生まれる価格差
毛髪再生医療の費用を調べていると、100万円を超える金額と、それよりかなり低い価格帯の情報が同時に出てきます。この開きは値引きの話ではなく、治療のカテゴリが違うことから生まれています。
S-DSCの場合、組織採取に始まり、細胞培養加工施設への輸送、約3週間の培養、凍結保管、投与という工程を踏み、提供計画の作成と委員会審査、厚生労働省への届出という法定の手続きも伴います。注入型の工程は医療機関や治療内容によって異なりますが、S-DSCのように体外で数週間かけて細胞を増やす工程を挟むとは限りません。価格差は何にお金がかかっているかの差であって、安いから劣るという意味でも、高いから効果が保証されるという意味でもありません。実際にどの工程を踏むのかと総額は、検討している医療機関で確認してください。
毛髪再生医療が自由診療(保険適用外)になる理由
費用が高額になる背景には、公的医療保険が使えないという事情があります。東京医科大学病院は本治療は保険適用外であるため治療にかかる費用全額をご自分でご負担いただきますと記載し、東邦大学もこの新たな治療は自由診療として行われると明記しています。
自由診療とは公的医療保険の給付対象に含まれない診療で、費用は全額が自己負担です。保険診療のような一部負担のしくみや高額療養費制度による上限は適用されません。なお保険適用になる予定については、確認できる一次資料がありません。
毛髪再生医療とAGA治療薬・自毛植毛の違い

薄毛の治療として広く行われているのは、実のところ再生医療ではなく内服薬や外用薬による治療です。自毛植毛も選択肢の一つとして定着しており、これらとどう違うのかを押さえておくと毛髪再生医療の位置づけが見えやすくなります。
本記事は再生医療というレンズで薄毛を見ていく構成のため、AGAそのものの原因や進行度、投薬治療の詳細までは扱いません。原因や薬の種類から知りたい方は、B&HメディカルクリニックのようにAGA診療を扱う医療機関の情報も参考になるでしょう。
注入型の再生医療とAGA治療薬にガイドラインが付けた推奨度
日本皮膚科学会の男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版は、治療ごとに推奨度を示しています。まず押さえたいのは、AGA治療薬に行うよう強く勧める推奨度Aの選択肢が存在する点です。
| ガイドラインが扱う治療 | 推奨度 |
|---|---|
| フィナステリド内服 | A(男性型) / D(女性型) |
| デュタステリド内服 | A(男性型) / D(女性型) |
| ミノキシジル外用 | A |
| 自毛植毛術 | B(男性型) / C1(女性型) |
| 人工毛植毛術 | D |
| 成長因子導入および細胞移植療法 | C2 |
表の最下段のC2が、再生医療系の治療に関わる部分です。注意したいのは、CQ13が名指ししているのは成長因子導入および細胞移植療法であり、注入型と呼ばれるもの全てに同じ推奨度が付いているわけではない点です。ヒト幹細胞培養上清液から作られたエクソソーム製剤は名指しされていません。C2が何を意味しなぜその評価になったのかは、先に見たエビデンスの章で扱ったとおりです。
毛髪再生医療と自毛植毛の違い
自毛植毛は、後頭部など薄毛の影響を受けにくい部位から毛包ごと採取し、薄くなった部位へ移し替える外科手術です。すでに存在する毛包を移動させる点で、細胞や成分を注入して毛包の働きに変化を促そうとする再生医療とは発想が異なります。移した本数以上に髪が増えるわけではありません。
ガイドライン上の推奨度は自毛植毛術が男性型でB、女性型でC1と、細胞移植療法のC2より上に位置します。ただし推奨の中身は無条件ではありません。ガイドラインは、フィナステリド及びデュタステリド内服やミノキシジル外用による効果が十分でない症例に対して、他に手段がない状況において、十分な経験と技術を有する医師が施術する場合に限り勧めるという条件を付けています。

毛髪再生医療を受けたらAGA治療薬はやめられる?
再生医療を受ければ薬を飲み続けなくてよくなるのか、という期待を持って調べる方もいます。東邦大学のプレスリリースには、S-DSCについて服薬が不要なため治療の負担も大幅に軽減されるという趣旨の記載があり、この治療自体が継続的な服薬を前提としないと説明されています。
ただし、すでにAGA治療薬を使っている方がS-DSCを受けた場合に薬をやめてよいのかを述べた一次資料はありません。先に触れたとおりガイドラインは内服の中止で効果が消失するとしていますから、薬をどうするかは再生医療を担当する医師と、現在薬を処方している医師の双方に相談して決めてください。
毛髪再生医療のクリニックや病院の選び方

どこで受けるかを考えるとき、選ぶ基準そのものになるのが再生医療等提供計画の届出です。細胞を用いる再生医療等の提供には、計画を作成して特定認定再生医療等委員会の審査を受け、厚生労働省へ届け出る手続きが法律で定められています。手続きを経ずに提供すれば法律違反となり罰則が適用されると厚生労働省が明記しており、届出の有無は出発点になります。
ただし、届出の確認だけで選定を終えるのは不十分です。届出は安全性に関する手続きであって効果を承認するものではなく、培養上清液やエクソソームを使う治療はこの制度で一律に確認できるとは限りません。届出があるから全ての種類で問題がない、という読み方は避けてください。確認したい項目は次の4つです。

- 届出と薬事承認の状況。再生医療等提供計画の届出があるか、使う製剤に薬事承認された医薬品が存在するか
- 使う治療名と注入物。治療の呼び名だけでなく、頭皮に何を入れるのかを具体的に確認する
- 根拠とリスクの説明。効果の根拠として何が示されるか、副作用や治療が成立しない可能性の説明があるか
- 総額と解約条件。1回あたりか一括かを含めた総額と、途中でやめた場合の費用の扱い
答えが曖昧だったり質問しにくかったりすること自体が、判断材料になります。効果を強く保証する説明が返ってきたときも、ここまで見てきた資料の状況とは合いません。
再生医療等提供計画の届出は自分で確認できるか
届出の状況は、患者側からも確かめられます。再生医療ポータルなどの公開情報では、再生医療等安全性確保法のしくみや届出制度の解説を確認できます。医療機関に対して、どの計画に基づいて提供しているのかを直接尋ねることもできますし、説明を受ける際に届出済みかどうかを質問して差し支えありません。
届出は形式的な手続きではなく提供の前提となる要件で、尋ねたときに答えられるかどうかは医療機関を測る目安にもなります。
参考:再生医療について(再生医療ポータル) / 再生・細胞医療・遺伝子治療について(厚生労働省)
毛髪再生医療の届出はどの種別で行われるか
再生医療等は第一種・第二種・第三種に区分されます。ヒトに実施されたことが極めて少なくリスクが高いと想定されるものが第一種、すでにヒトに実施されたことがあり中程度のリスクとされるものが第二種、大きな操作を加えないためリスクが大きくないとされるものが第三種です。患者自身の体性幹細胞などを利用するものは第二種に区分されると説明されています。

具体例として確認できるのは、S-DSCが第二種再生医療等に該当するという東邦大学の記載です。一方でPRP療法は第三種、幹細胞治療は第二種、といった形で治療名から種別を言い切ることはできません。種別は個々の提供計画の内容によって判断されるためです。培養上清液やエクソソームを使う治療は、そもそもこの法律の対象かどうかを確定できる一次資料がなく、厚生労働省も法規制ではなく事務連絡による注意喚起という形をとっています。
もう一つ、区分の意味の誤解にも注意が要ります。再生医療ポータルは、これらの区分について再生医療等の安全上のリスクに応じて分類され、有効性に関する基準ではありませんと明記しています。第二種だから効果が認められた、という読み方は成り立ちません。毛髪再生医療は種類によって法的な扱いもデータの量も異なり、自分の薄毛にどの選択肢が当てはまるのかは資料を読むだけでは決められないでしょう。当院でも、複数の再生医療を組み合わせるセルリバイバルを含めて相談を受け付けています。受ける前に医師の診察を受け、原因と進行度を確かめて相談してください。
毛髪再生医療のよくある質問

最後に、検索されることの多い疑問を3つ取り上げます。
毛髪再生医療で薄毛は治る?
日本皮膚科学会のガイドラインには「治癒」という言葉が一度も登場しません。男性型脱毛症は思春期以降に始まり徐々に進行する脱毛症と定義され、日本人男性では20歳代後半から30歳代にかけて著明となり、40歳代以後に完成されるとされています。進行していく性質の状態である以上、治療の目標は進行を抑え、改善した状態を維持することに置かれます。
改善と維持は別のものです。ガイドラインが引用する日本人男性のデータでは、フィナステリド1mg/日の内服で48週時に58%が軽度改善以上、3年継続で78%と改善率が上がり、5年継続では写真評価で99.4%の症例に効果が得られたという観察研究もあります。ただし内服を中止すると効果は消失するとも明記されており、一度で終わりにする治療ではなく続けて維持する性質の治療だということです。
再生医療についても、薄毛は治る?という問いに答えられる資料はありません。S-DSCで公表されているのは12か月時点の改善率までで、その先どうなるかは示されていないからでしょう。

毛髪再生医療の効果の持続期間は分かっている?
効果がどのくらい続くのかを示す一次資料はなく、東京医科大学病院も治療効果や効果の持続時間は個人差がありますとしか記載していません。
半永久的に続く、永久に生え続けるといった説明も、根拠となる資料が見当たりません。逆にすぐ戻ってしまうという説明も同様で、長期のデータはこれから蓄積される段階です。持続期間について強く断定する情報に出会ったときは、その根拠を確かめてみてください。
毛髪再生医療の口コミは参考にしてよい?
毛髪再生医療の口コミや体験談は数多く見つかりますが、扱いには注意が要ります。効果に関する体験談は個人の感想であり、効果を保証するものではありません。本記事でも効果に関する口コミの引用は行っていません。
一方で、予約の取りやすさや説明にどれだけ時間をかけてもらえたかといった診療の進め方は、口コミからも読み取れます。ただし判断材料としてより確実なのは、届出の状況・公式サイトの料金表・説明にリスクや限界が書かれているかという、誰が見ても同じ内容を確認できる情報です。
自分に合うかどうかは、診察を受けないと分かりません。毛髪再生医療は自由診療で費用の負担が大きく、効果には個人差があり、研究段階のものも含まれます。届出のある医療機関で医師の説明を受けたうえで、ご自身とご家族が納得できる選択をしてください。
