メディオスターとは?NeXT PRO(ネクストプロ)とモノリスの違いを解説

医療脱毛のクリニックを比べていると、導入している脱毛機の名前としてメディオスターを見かけることが多いのではないでしょうか。医薬品医療機器総合機構 (PMDA) が公開している電子添文には、波長808nmと940nmのダイオードレーザを皮膚に照射する機器として記載があります。日本皮膚科学会などが取りまとめた美容医療診療指針でも、国内で承認された脱毛器の一覧に名前が挙がっています。

目次
  1. メディオスターとは医療脱毛で使うダイオードレーザー機器
    1. メディオスターのレーザーの種類はダイオードで波長は808nmと940nm
    2. メディオスターは薬事承認されている?承認番号と高度管理医療機器の区分
    3. メディオスターは永久脱毛できる?承認上の目的は長期的な減毛
  2. メディオスターNeXT PRO(ネクストプロ)とメディオスターモノリスの違い
    1. メディオスターモノリスの波長はNeXT PRO(ネクストプロ)と同じ
    2. メディオスターモノリスのハンドピースはNeXT PRO(ネクストプロ)と何が違う?
    3. メディオスターの接触冷却は3段階で機種ごとに呼び方が違う
    4. メディオスターモノリスとNeXT PRO(ネクストプロ)で脱毛効果は変わる?
  3. メディオスターは蓄熱式?添付文書にある照射モードの名前
    1. メディオスターは蓄熱式・熱破壊式のいずれとも書かれていない
    2. メディオスターのスムースパルスは低フルエンスの連射式照射
    3. メディオスターのベーシックは高フルエンスのショット式照射
    4. メディオスターの連射式は蓄熱式脱毛の定義にあてはまる
  4. メディオスターの脱毛効果は蓄熱式で報告された脱毛率が目安
    1. メディオスターの脱毛効果は毛のメラニンに左右される
    2. メディオスターの効果の根拠は蓄熱式と単発式を比べた試験
    3. メディオスターのメリットは?蓄熱式脱毛で示された施術時間の短さ
  5. メディオスターは効果ない(意味ない)と言われるのはなぜ?
    1. メディオスターの効果はいつから?毛が抜けるまでの期間
    2. メディオスターは何回必要?添付文書には複数回とだけ書かれている
    3. メディオスターの全身脱毛は1回目や5回目で抜け方が変わる?
    4. メディオスターの口コミや知恵袋の投稿を読むときの見方
  6. メディオスターのVIOや産毛など部位別の効果
    1. メディオスターのVIO脱毛はメラニンの多い毛ほど反応しやすい
    2. メディオスターは顔脱毛でも産毛に使える?
    3. メディオスターには足やすね毛向けの照射面が大きいハンドピースがある
    4. メディオスターで白髪が抜けにくいのはメラニンがないから
  7. メディオスターとヤグレーザーはどっち?毛質による比較
    1. メディオスターとヤグレーザー(YAG)の違いは使うレーザーの波長
    2. メディオスターとヤグレーザーは痛みの感じ方が違う?
    3. メディオスターとヤグレーザーは産毛の脱毛効果に差が出る?
    4. メディオスターとジェントルマックスプロの違いはレーザーの種類
  8. メディオスターのデメリットは痛みと蓄熱式脱毛で指摘される技量差
    1. メディオスターは痛すぎる?広範囲ではスムースパルスが推奨されている
    2. メディオスターはセンシティブエリアで痛みや熱感を感じやすい
    3. メディオスターの連射式はハンドピースを動かしながら照射する
  9. メディオスターを受けられない人と注意が必要な肌の状態
    1. メディオスターは日焼けした肌やほくろに照射できる?
    2. メディオスターは肌の色や毛の濃さに応じてやけどに注意する
    3. メディオスターの禁忌にあたる持病や服用中の薬
  10. メディオスターを導入しているクリニックの探し方
    1. メディオスターはNeXT PROとモノリスのどちらを置くかがクリニックで違う
    2. メディオスターを受ける前のカウンセリングで確認したい照射モード
    3. メディオスターの値段や価格はクリニックごとに違う
  11. メディオスターのよくある質問
    1. メディオスターで硬毛化は起こる?
    2. メディオスターモノリスはシミやニキビにも使える?
    3. メディオスターでひげ(髭)は脱毛できる?
    4. メディオスターの施術でジェルは使う?
    5. メディオスターは脱毛器として個人で購入できる?
    6. メディオスターとヤグレーザーを併用するケースはある?

とはいえ、機種名を知っただけでは判断は進みません。通う予定の院にあるのはNeXT PRO(ネクストプロ)なのか、それともモノリスなのか。2機種で何が変わり、蓄熱式と熱破壊式のどちらにあたるのかも気になるところです。検索候補に「効果ない」という言葉が並ぶこともあり、同じ機種なのに評価が割れて見えるのが迷いの原因になります。

そこでこの記事では、まず電子添文に書かれている波長と承認の区分から確認します。続いて2機種の差分、添付文書にある照射モードの名前、効果として報告されている数値の読み方を見ていきます。後半では部位ごとの考え方、ヤグレーザーとの比較、痛みと注意点、受けられない状態を順に扱います。機種の輪郭をつかんでからカウンセリングに進みたい方は、参考にしてください。

※本記事は公開されている電子添文・学会の診療指針・行政の公表資料などの一次情報をもとにした情報提供コンテンツです。当院の診療内容を紹介するものではなく、特定の機種やクリニックの広告でもありません。効果の感じ方には個人差があり、施術の可否は診察を受けた医師の判断によります。

メディオスターとは医療脱毛で使うダイオードレーザー機器

メディオスターが分類されるダイオードレーザー脱毛機のイメージ図

※画像はイメージです。実際の機器の外観とは異なります。

先に短く答えておきます。メディオスターは、医療機関で使う脱毛用のレーザー機器の販売名です。PMDAが公開している電子添文には、一般的名称が「ダイオードレーザ」と記され、承認されている使用目的は長期的な減毛だと定められています。家庭用の脱毛器やエステサロンの光美容器とは、法律上の区分そのものが異なります。

●メディオスターの基本情報
項目内容
一般的名称ダイオードレーザ (JMDNコード 36546000)
国内の販売名メディオスターネクストプロ / 長期減毛用ダイオードレーザー メディオスターモノリス
波長808nm と 940nm
使用目的又は効果レーザの選択的熱作用により、長期的な減毛を目的とした装置
医療機器の区分高度管理医療機器 (クラスⅢ)・特定保守管理医療機器・設置管理医療機器
製造業者Asclepion Laser Technologies GmbH (ドイツ)
製造販売業者グンゼメディカル株式会社
冷却のしくみペルチェ素子を利用した電子冷却方式による接触冷却
使用できる場所医師の管理下にある医療機関

表の内容は2機種の電子添文の記載にもとづくものです。搭載する波長や冷却のしくみは機器の仕様であって、施術の結果を約束する情報とは別ものです。どの設定で照射するかは、診察のうえで医師が判断します。

この機種名が話題に上がりやすい理由の一つは、導入している院が多く、クリニックの機器紹介ページで名前を見る機会が多いことにあります。もう一つは、蓄熱式という言葉とセットで語られやすいことです。ただし、後の章で見るとおり「蓄熱式」という言葉そのものは電子添文には書かれていません。ここが、他の解説記事と読み比べたときに食い違いが出やすい部分になります。

●この記事でメディオスターについて確かめられること
  • 電子添文に記載されているレーザーの種類と波長
  • NeXT PRO(ネクストプロ)とモノリスで同じ点・違う点・出典がない点
  • 添付文書に載っている照射モードの名前と、その意味
  • 蓄熱式脱毛として学会の指針に報告されている数値の読み方
  • 受けられない状態と、注意が必要な肌の状態

なお、この記事は機器の解説に絞っており、料金の相場やクリニックの順位付けは扱いません。金額は自由診療として院ごとに設定が異なるためで、この点は最後の章であらためて触れます。

メディオスターのレーザーの種類はダイオードで波長は808nmと940nm

メディオスターが使うレーザーの種類は、ダイオードレーザーです。電子添文の原理の欄には「本装置は波長808nmと940nmのダイオードレーザを皮膚に照射することにより」と書かれており、808nmと940nmという2つの波長を積んでいる点は、ネクストプロとモノリスで共通しています。

レーザー脱毛で使われる光源にはいくつか種類があり、ダイオードレーザーはそのうちの一つです。日本皮膚科学会・日本形成外科学会・日本美容皮膚科学会がまとめた『美容医療診療指針 (令和3年度改訂版)』は、脱毛に使われる主なレーザーとしてロングパルスアレキサンドライトレーザー・ダイオードレーザー・Nd:YAGレーザーを取り上げ、それぞれに個別の推奨を示しています。メディオスターは、このうちダイオードレーザーの区分に入る機器ということになります。

●波長について電子添文から読み取れること
  • 搭載されている波長は808nmと940nmの2つ
  • 一般的名称は「ダイオードレーザ」で、JMDNコードは36546000
  • 施術者と患者が使う保護めがねの適用波長域は755〜950nm
  • 2つの波長を同時に照射するかどうかについては、記載がない

最後の点は補足が要ります。機種の紹介で「2波長同時照射」という表現を見かけることがありますが、電子添文の記述は「808nmと940nmのレーザ光を発振させ」までで、同時性については触れられていません。同時に撃つのか切り替えるのかを断定できる材料が公開資料の側にないため、この記事では2つの波長を搭載しているという事実までを扱います。

もう一つ表記の食い違いがあります。学会系のサイトや機器の紹介ページでは「810nm」と書かれていることがありますが、電子添文の記載は808nmです。数字の近さから同じものを指していると読めるものの、この記事では一次資料である電子添文の表記に合わせて808nmと書きます。

メディオスターは薬事承認されている?承認番号と高度管理医療機器の区分

メディオスターは、国内で薬事承認を受けた医療機器です。個人輸入品や未承認機ではなく、承認番号が付いた機器として電子添文が公開されています。承認番号は販売名ごとに付くため、ネクストプロとモノリスでは別の番号になります。

●2つの販売名と承認番号
販売名承認番号電子添文の版
メディオスターネクストプロ23000BZX001400002025年7月 第7版
長期減毛用ダイオードレーザー メディオスターモノリス30200BZX004040002025年7月 第9版

表の「版」は電子添文の改訂年月であって、承認を受けた年ではありません。電子添文には承認年月日の欄が設けられていないため、この記事では承認された年を書かないという扱いにしています。承認番号から年を逆算する読み方もありますが、資料に明記がない以上は推測になるためです。

区分についても押さえておきます。両機種とも「高度管理医療機器」に分類されており、これは医療機器のクラス分類でクラスⅢにあたる区分です。不具合が生じた場合に人体へのリスクが比較的高いとされる機器がここに入ります。あわせて特定保守管理医療機器・設置管理医療機器にも指定されており、保守点検と設置の管理が必要な機器として扱われます。

●承認の区分から読み取れること
  • 国内で正規に流通している機器であることが確認できる
  • 医師の管理下にある医療機関でのみ使用できる
  • 保守点検や設置の管理が求められる区分に入っている
  • 承認されているのは「長期的な減毛」という使用目的である

学会の側からも裏づけがあります。美容医療診療指針には、2021年10月時点で厚生労働省が脱毛器として認可していた機種の一覧が示されており、そのなかにMEDIOSTAR NEXT PRO (ダイオードレーザー)として記載があります。承認の状況は改定されることがあるため、確認した時点の情報として読むのが正確です。

なお、電子添文の警告欄には「本品の適応に関連する十分な知識・経験を有する医師が、関連学会と連携した講習を受ける等、本品の使用に関する技能や合併症等に関する知識を得た上で使用すること」と記されています。機器が承認されていることと、扱う側に求められる条件は別に定められている、という構造です。

メディオスターは永久脱毛できる?承認上の目的は長期的な減毛

承認上の使用目的は、「長期的な減毛」です。永久脱毛という言葉は、承認の文言のなかに出てきません。電子添文の使用目的又は効果の欄には「本装置は、レーザの選択的熱作用により、長期的な減毛を目的とした装置である」と書かれており、この一文が機器に許された範囲を示しています。

さらに電子添文は、治療の前に患者へ説明すべき事項のなかに、効果が永久に続くものではないという点を挙げています。効果が出ないという意味ではなく、永久という言葉で語れる性質のものではない、という説明を治療前に行うよう定めた記載です。

●「永久脱毛」という言葉を読むときの見方
  • 承認されている使用目的は「長期的な減毛」である
  • 電子添文は、期待される効果が永久的なものではないと明記している
  • 美容医療診療指針は、欧米では脱毛ではなく減毛 (hair reduction) という表記が一般的だと記している
  • 毛が一生生えてこない状態を指す言葉として読むと、実態から離れる
承認上の使用目的が長期的な減毛であり永久脱毛という言葉とは別であることを整理した図

言葉の選び方が違うだけで、脱毛の効果そのものを打ち消す記載とは違います。次章以降で見ていくとおり、蓄熱式脱毛として報告されている脱毛率は決して低いものではないとされています。ただし、その数値も残った毛がゼロになったという意味ではないため、期待の置きどころを最初に合わせておくと、後の章の数字が読みやすくなります。

なお、必要な照射の回数についても電子添文に記載があります。こちらは効果ないと言われる理由を扱う章で、抜けるまでの時間と合わせて整理します。

メディオスターNeXT PRO(ネクストプロ)とメディオスターモノリスの違い

メディオスターNeXT PROとメディオスターモノリスの違い

先に差分の全体像を示します。2機種を比べると、波長は同じで、ハンドピースの構成と冷却の段階名が違い、脱毛効果の差を示す一次出典はありません。加えて動作モードの構成も機種で異なりますが、こちらはモード名そのものの説明が必要になるため、次章でまとめて扱います。

つまり「どちらが新しいか」「どちらが強いか」という比べ方は、公開されている資料からは組み立てられません。比べられるのは、電子添文に書かれている構成の違いまでです。

●NeXT PRO(ネクストプロ)とモノリスの差分の全体像
観点メディオスターネクストプロメディオスターモノリスこの記事での扱い
波長808nm と 940nm808nm と 940nm同じ
承認番号23000BZX0014000030200BZX00404000販売名ごとに別
ハンドピースST・FREEZE・HP・XL の4系統モノリスS・M・L・XL の4種名称と照射面の寸法が違う
冷却の段階名Cold / Medium / WarmHigh / Medium / Low段階数は3で同じ・呼び方が違う
冷却の温度10℃または17℃ / 20℃ / 27℃10℃または17℃ / 20℃ / 27℃温度が低い側はハンドピースによって変わる
動作モードの構成ベーシック・プロフェッショナル・スムースパルスプロフェッショナル・インディケーション列挙のしかたが違う (次章で扱う)
脱毛効果の差記載なし記載なし差を示す一次出典がない

表は2機種の電子添文の記載を並べたものです。優劣を比べた結果としては読めません。実際にどちらの機種でどう照射するかは、診察のうえでの判断になります。

この差分の並びを見ると、比較の軸が「性能の上下」ではなく「構成の違い」に寄っていることが分かります。カタログのように数値を並べて優劣を決められないのは、そもそも最大出力やパルス幅といった値が電子添文に仕様として記載されていないためです。

メディオスターモノリスの波長はNeXT PRO(ネクストプロ)と同じ

モノリスの波長は、ネクストプロと同じ808nmと940nmです。両機種の電子添文とも「本装置は波長808nmと940nmのダイオードレーザを皮膚に照射することにより」という同じ書き出しで原理を説明しており、波長の面での差分はありません。

後から出た機種なので別の波長を積んでいるのではないか、と考える方もいますが、公開資料の上ではその読み方は成り立ちません。同じなのは波長という1つの条件で、照射の条件全体がそろうという意味ではありません。波長から先で何が起きるのかは、脱毛効果を扱う章で1か所にまとめて説明します。

●波長をめぐって混同されやすい点
  • モノリスは別の波長を積んだ機種ではなく、電子添文上の波長は同じ
  • 「NeXT PRO XL」は別機種ではなく、ネクストプロのハンドピースの構成品
  • 「810nm」という表記も見かけるが、電子添文の記載は808nm
  • 2つの波長を同時に照射するかどうかは、どちらの電子添文にも書かれていない

作用機序を説明した一文にも、ごくわずかな書き分けがあります。破壊される対象を述べた箇所が、ネクストプロは「周辺組織」、モノリスは「毛包及び周辺組織」となっており、モノリス側に「毛包及び」という語が入っています。文言の違いとしては確かなものですが、これをもって効果に差があると読むことはできません。効果の差については後述します。

メディオスターモノリスのハンドピースはNeXT PRO(ネクストプロ)と何が違う?

はっきり違うのが、ハンドピースの構成です。ネクストプロにはST・FREEZE・HP・XLという4系統があり、XLにはXL-SとXL-Lという2種類のレーザチップが用意されています。モノリスはモノリスS・M・L・XLの4種で、名称の体系そのものが違います。

電子添文には、それぞれのハンドピースについて皮膚に接する照射面の寸法が記載されています。数値が明記されているのはここまでで、どの部位にどれを使うかという運用の指示は書かれていません。

●ハンドピースと皮膚照射面の寸法
機種ハンドピース皮膚照射面の寸法
ネクストプロST約10mm (縦)
ネクストプロFREEZE約10×14mm
ネクストプロHP約6mm (縦)
ネクストプロXL (XL-Sレーザチップ)約10×30mm
ネクストプロXL (XL-Lレーザチップ)約24×38mm
モノリスモノリスS約10×10mm
モノリスモノリスM約10×15mm
モノリスモノリスL約10×30mm
モノリスモノリスXL約31.6×31.6mm

寸法は電子添文の使用上の注意に記載された値です。照射面が広いハンドピースが特定の部位に使われると決まっているわけではなく、選択は施術の場での判断になります。

もう一つ、冷却部の配置にも違いがあります。ネクストプロのFREEZEハンドピースは皮膚冷却部とレーザ出力部が同じ面にある構造で、電子添文はハンドピースを円状に移動させながら使う場合にこれを推奨しています。STとHPは冷却部が出力部と離れた位置にあるため、照射の前にあらかじめ冷やす手順が必要だと記されています。同じ機種のなかでも、ハンドピースによって扱い方が変わるということです。

「XLがあるほうが上位機種」という説明を見かけることもありますが、XLはネクストプロの構成品として電子添文に載っている名称であり、別売りの上位モデルとしては扱われていません。機種名の理解としてここを押さえておけば、院の案内を読み違えずに済むでしょう。

メディオスターの接触冷却は3段階で機種ごとに呼び方が違う

冷却のしくみは、両機種で同じ考え方です。電子添文の原理の欄によれば、ペルチェ素子を利用した電子冷却方式のクーリングシステムを備えています。ここで冷やした液体をハンドピース内に循環させ、温度を下げた皮膚冷却部を肌に接触させる、という流れです。冷たい空気やガスを吹きつけるのではなく、冷えた部品を肌に当てて冷やす接触冷却にあたります。

段階の数も両機種とも3段階で共通しています。違うのは、その3段階に付けられた名前です。

●冷却の段階名と温度
機種ハンドピース温度が低い側中間温度が高い側電子添文の推奨初期設定
ネクストプロST・FREEZE・HPCold 10℃Medium 20℃Warm 27℃Coldに設定すること
ネクストプロXL-S・XL-LCold 17℃Medium 20℃Warm 27℃Coldに設定すること
モノリスモノリスS・MHigh 10℃Medium 20℃Low 27℃初期値をHighに設定すること
モノリスモノリスL・XLHigh 17℃Medium 20℃Low 27℃初期値をHighに設定すること

数値は電子添文の推奨冷却設定の表にもとづきます。実際にどの段階で照射するかは、肌の状態を見たうえでの判断になります。

表を見ると、ネクストプロのColdとモノリスのHighは、名前が違うだけで同じ位置にある段だと分かります。ネクストプロは温度そのものを表す語で並べ、モノリスは冷却の強さを表す語で並べているため、Highという名前が付いているのは温度が低い側です。2機種の資料を並べずに読むと、ここが混乱の元になります。

●冷却について書ける範囲と書けない範囲
  • 段階数は両機種とも3段階で、温度は10℃または17℃・20℃・27℃
  • 温度が低い側の値は、使うハンドピースによって10℃と17℃に分かれる
  • 段階名はネクストプロがCold・Medium・Warm、モノリスがHigh・Medium・Low
  • 電子添文はどちらの機種でも、温度が低い側を初期設定にするよう記している
  • 電子添文が冷却の目的として挙げているのは、治療時の皮膚の表面温度を低下させることまで

最後の点は、冷却に何を期待するかに関わってきます。電子添文が書いている冷却の役割は表面温度を下げることで、それ以外の働きには触れていません。この記載の射程は、デメリットを扱う章であらためて確かめます。

なお、モノリスの電子添文には本体側の冷却について「本体の冷却は空冷ファンによる」という記載もあります。肌に当たる部分の冷却と、機器そのものを冷やすしくみは別に設けられている、という構造です。

メディオスターモノリスとNeXT PRO(ネクストプロ)で脱毛効果は変わる?

結論から書きます。2機種で脱毛効果に差があることを示す一次出典は、この記事の調査範囲では見つかりませんでした。波長は同じで、冷却の温度も同じ値が示されており、効果を比べた試験の報告も公開資料には見当たりません。

差がないと証明されている、という意味でもない点は補っておきます。比較した資料が存在しないため、どちらが優れているとも、まったく同じとも言えないというのが正確なところです。効果の差を断定する説明を見かけた場合は、その根拠がどこから来ているのかを確かめる価値があります。

●機種の比較として書けないもの
  • 最大出力 (W) — 電子添文に仕様としての記載がない
  • パルス幅の設定できる範囲 — 推奨値の表はあるが仕様値の記載がない
  • 照射速度の上限 (Hz) — 条件ごとの推奨値のみで上限の記載がない
  • 照射面積 (cm²) — 記載は縦横の寸法までで、面積の換算値はない
2機種の比較で電子添文から書けることと記載がなく書けないことを分けて整理した図

これらが書けないため、数値を並べて優劣を決める比較はできません。カタログのような比較表を載せている記事もありますが、出所が示されていない数値であれば、判断の材料としては弱くなります。

そのうえで、読者の立場で意味を持つ問いに置き換えるとすれば、機種名よりもどのハンドピースをどのモードで使う想定なのかのほうが具体的です。同じ機種でも、ハンドピースによって照射面の広さも冷却の温度も変わることは、ここまでで見たとおりです。カウンセリングでの聞き方は、導入院の探し方を扱う章でまとめます。

メディオスターは蓄熱式?添付文書にある照射モードの名前

メディオスターの添付文書にある照射モードの名前

この章がこの記事の中心になります。先に短く答えると、電子添文には「蓄熱式」とも「熱破壊式」とも書かれていません。どちらも機器の公式な呼び名ではなく、学会の指針が照射のしかたを分類するために使っている一般用語です。

では何が書かれているのかというと、動作モードの名前です。ここを起点に整理すると、蓄熱式という言葉との関係も筋道立てて説明できます。

●電子添文に記載されている動作モード
機種電子添文が列挙している動作モード推奨治療パラメータ表の照射区分
メディオスターネクストプロベーシック / プロフェッショナル / スムースパルスハンドピースごとの表で条件を提示
長期減毛用ダイオードレーザー メディオスターモノリスプロフェッショナル / インディケーションベーシック (ショット式照射) / スムースパルス (連射式照射)

表は各機種の電子添文の記載をそのまま並べたものです。動作モードの列挙のしかたは機種で異なりますが、どちらの機種にも「ベーシック」と「スムースパルス」という区分が登場します。

一点、用語の出どころを明示しておきます。「ショット式照射」「連射式照射」という言い方は、モノリスの電子添文に出てくる用語です。ネクストプロの電子添文にはこの2語が出てこないため、この記事では両機種を通じてこの語を使う場面で、モノリス側の用語であることが分かるように書いています。

メディオスターは蓄熱式・熱破壊式のいずれとも書かれていない

2機種の電子添文を通して読んでも、「蓄熱式」という語も「熱破壊式」という語も出てきません。どちらか一方だけが載っていないのではなく、両方とも載っていないという状態です。「バルジ」という語も同様に出てきません。

この事実の扱い方には注意が要ります。「熱破壊式とは書かれていないので蓄熱式である」という読み方も、その逆も、資料からは導けません。書かれていない語は、どちらの方向にも根拠になりません。

●電子添文に出てこない語と、そこから言えないこと
  • 「蓄熱式」— 機器の公式な呼び名としては使えない
  • 「熱破壊式」— 同じく、機器の公式な呼び名としては使えない
  • 「バルジ」— 機器の説明として、この語で狙いを述べることはできない
  • 「蓄熱式と熱破壊式を切り替えられる」— 承認上の位置づけとしては存在しない

とはいえ、蓄熱式という言葉が実体のない用語というわけではありません。美容医療診療指針は、低フルエンスで高速反復照射し、ハンドピースを動かしながら1ユニットに一定量のエネルギーを入れる方法を蓄熱式脱毛と定義し、独立した項目として有効性を検討しています。学会の側では定義がある用語ということです。

電子添文が定める動作モード名と診療指針が定義する蓄熱式という分類は別の階層の言葉であることを示した図

つまり、この2つは別の階層にある言葉です。電子添文は機器ごとに動作モードの名前を定め、診療指針は照射のしかたを分類する用語として蓄熱式という言葉を定義している。言葉の出どころが違うものを、同じ平面に置いて「メディオスターは蓄熱式と承認されている」と書くことはできない、というのがこの章の出発点になります。

蓄熱式と熱破壊式のどちらを選ぶべきかという一般論そのものは、この記事の主題から外れます。方式の違いを先に押さえたい方は、蓄熱式と熱破壊式の違いを整理した記事もあわせて読むとよいでしょう。

メディオスターのスムースパルスは低フルエンスの連射式照射

スムースパルスは、電子添文に載っている動作モードの名前です。モノリスの推奨治療パラメータの表では、「スムースパルス (連射式照射)」という区分で推奨値が示されており、ネクストプロ側では「スムースパルスモード」という動作モードとして記載されています。

このモードの性格は、推奨値の並び方から読み取れます。同じ表のなかでベーシックと並べたとき、スムースパルスはフルエンス (単位面積あたりのエネルギー量) が低く、照射の反復速度が速い側に置かれています。この向きは、ハンドピースの種類やスキンタイプが変わっても入れ替わりません。

●スムースパルスについて電子添文から読み取れること
  • モノリスの推奨パラメータ表では「連射式照射」と説明されている
  • ベーシックと比べてフルエンスが低く、反復の速度が速い側にある
  • ネクストプロでは治療部位に3〜4回通過させるように照射すると記されている
  • ハンドピースを円状に移動させて使う場合は、FREEZEハンドピースの使用が推奨されている

ここで注意したいのが数値の扱いです。「スムースパルスは何J/cm²で何Hz」と1つの値で言い切ることはできません。推奨治療パラメータの表がハンドピースごとに分かれ、さらにソフトウェアのバージョンごと、Fitzpatrickのスキンタイプごとに行が分かれているためです。

●数値を1つに決められない理由
  • 推奨治療パラメータはハンドピースごとに別の表になっている
  • 同じハンドピースでも、ソフトウェアのバージョンで表が分かれる
  • Fitzpatrickのスキンタイプごとに行が分かれ、値が動く
  • 電子添文の備考には、一般的な日本人が該当するスキンタイプはⅢ〜Ⅳと記載されている

数値を見る必要がある場合は、備考が示すスキンタイプⅢ〜Ⅳの行を読むのが実態に近くなります。色の薄い区分の行を代表値として引くと、日本人の読者にとっては高めの値を見ることになるためです。この記事で具体的な数値を書かないのは、条件によって動く値を1つ取り出すと、かえって誤った印象を残すからです。

書けるのは向きまでです。どの条件でも例外なく、スムースパルスはベーシックより低いフルエンスで、速い反復で照射する側にある。この一点は、表を通して確認できる事実として扱えます。

メディオスターのベーシックは高フルエンスのショット式照射

もう一方のベーシックは、モノリスの推奨治療パラメータの表で「ベーシック (ショット式照射)」と示されている区分です。ネクストプロでは動作モードの一つとして記載され、設定できるのはフルーエンスと治療速度で、パルス幅は自動、パルスの形式はダブルパルスと記されています。

スムースパルスとの関係は、先ほどの向きの裏返しになります。ベーシックはフルエンスが高く、反復の速度が遅い側です。1発に載せるエネルギーを大きくする組み立てで、これは美容医療診療指針が「単発式」と呼ぶ照射のしかた、つまり高フルエンスによる単発照射で毛包に十分なエネルギーを与える方法の説明と向きが一致します。

●ベーシックとスムースパルスの向き
項目ベーシック (ショット式照射)スムースパルス (連射式照射)
1発あたりのフルエンス高い側低い側
照射の反復速度遅い側速い側
ハンドピースの動かし方移動させながら照射する指示の記載はない治療部位を通過させるように照射すると記載されている
電子添文が値を示す形ハンドピース・スキンタイプごとの表ハンドピース・スキンタイプごとの表
用語の出どころモノリスの電子添文モノリスの電子添文

表は推奨治療パラメータの並び方から読み取れる向きを整理したもので、特定の設定値を示す意図はありません。

ここで、機種ごとの誤解をほどいておきます。ネクストプロが連射式でモノリスがショット式、という分かれ方はしていません。モノリスの推奨パラメータ表はベーシックとスムースパルスの2区分で値を示しており、両方の区分を持っています。ネクストプロも動作モードとしてベーシックとスムースパルスの両方を列挙しています。つまりどちらの機種にも、ベーシックとスムースパルスの両方があるというのが資料の読み方になります。

一方で、逆方向に振れすぎるのも正確ではありません。動作モードとして列挙されている項目は、ネクストプロがベーシック・プロフェッショナル・スムースパルスの3つ、モノリスがプロフェッショナル・インディケーションの2つで、列挙のしかたそのものは機種で違います。「2機種の動作モードの構成は同じ」とも書けませんし、「照射モードは2つ」と総数を決めて語ることもできません。

●モードをめぐって断定できないことの整理
  • 「ネクストプロ=連射式 / モノリス=ショット式」という機種ごとの割り当てはない
  • 「2機種の動作モードの構成は同一」とも言えない
  • 「照射モードは全部で2つ」と総数を決めることもできない
  • 「熱破壊式モード」「bモード」という名前は、どちらの電子添文にもない

呼び名の混乱は、資料を1機種分だけ読むと起こりやすくなります。2つの電子添文を並べたうえで、モードの名前と、その値の向きだけを取り出すのが、この論点のいちばん安全な読み方です。

メディオスターの連射式は蓄熱式脱毛の定義にあてはまる

ここまでの材料をつなぎます。美容医療診療指針は蓄熱式脱毛を、メラニンとヘモグロビンの吸光度に差がある波長を用いて、皮膚表面を接触冷却し、低フルエンスで高速反復照射し、ハンドピースを動かしながら1ユニットに一定量のエネルギーを入れる方法と定義しています。低フルエンスで複数発を重ねることで毛包全体に熱をためていく、という説明です。

この定義を、電子添文から確認できる事実と並べてみます。メディオスターは接触冷却を備え、スムースパルスは低いフルエンスで速く反復し、ネクストプロの電子添文には治療部位を通過させるように照射するという記載があります。定義に挙げられた要素と、資料から確認できる内容は一致しています

●蓄熱式脱毛の定義と照らし合わせた結果
診療指針が挙げる蓄熱式脱毛の要素メディオスターの電子添文で確認できること
皮膚表面を接触冷却するペルチェ素子の電子冷却で冷やした皮膚冷却部を接触させる
低フルエンスで照射するスムースパルスはベーシックより低いフルエンス側にある
高速で反復照射するスムースパルスはベーシックより反復速度が速い側にある
ハンドピースを動かしながら照射する治療部位に3〜4回通過させるように照射すると記載されている

左の列は診療指針の記述、右の列は電子添文の記述です。両者を照らし合わせた整理であり、電子添文が機器を蓄熱式と呼んでいるわけではありません。

言い方としては、「連射式のスムースパルスは、診療指針が定義する蓄熱式脱毛のやり方にあてはまる」までが公開資料で支えられる範囲になります。診療指針はこの手法を「in motion mode」とも呼び、日本では蓄熱脱毛として知られていると記しています。呼び名がいくつもあるのは、機器側の用語と学会側の用語が別々に育ってきたためです。

この点は、次章以降の話につながります。低いフルエンスを重ねて熱を入れる方式である以上、照射した直後に毛が抜け落ちるという変化は起きにくくなります。効果が出ていないのではなく、変化の見え方が違うという構造です。何がどう見えるのかは、脱毛効果を扱う章と、効果ないと言われる理由を扱う章で順に確認します。

メディオスターの脱毛効果は蓄熱式で報告された脱毛率が目安

メディオスターの脱毛効果と蓄熱式で報告された脱毛率

効果の話に入る前に、数字の出どころをはっきりさせておきます。この章で扱う脱毛率や施術時間は、メディオスターを対象にした試験の値ではなく、蓄熱式脱毛という手法について報告された値です。主語を取り違えると、機種固有の実測データのように読めてしまうため、先に断っておきます。

引用元は、前の章でも触れた『美容医療診療指針 (令和3年度改訂版)』です。厚生労働科学研究費補助金による研究の一環としてまとめられたもので、診療上の疑問をクリニカルクエスチョンの形で立て、文献にあたって推奨度を示す形式をとっています。公益財団法人日本医療機能評価機構が運営するMinds ガイドラインライブラリにも収載されています。

●この章で扱う数値の性格
  • 出どころは3学会がまとめた美容医療診療指針
  • 対象は蓄熱式脱毛という手法であり、特定の機種ではない
  • 試験ごとに対象者の人数・肌の色・部位が異なる
  • 同じ数値がメディオスターで再現されると示すものではない

そのうえで、指針は蓄熱式脱毛について「脱毛を希望する患者には、行うことを強く推奨する」という推奨度1の評価を示しています。有効性はあり、安全性は比較的安全である、承認機器があるという整理です。前章で見たとおり、メディオスターのスムースパルスはこの蓄熱式脱毛の定義にあてはまる照射のしかたにあたります。

メディオスターの脱毛効果は毛のメラニンに左右される

レーザー脱毛が何に反応しているのかを、ここで一度だけ整理します。以降の章で出てくる部位ごとの話も、白髪の話も、すべてこの一点から説明できるためです。

電子添文の原理の欄には、「毛幹、毛根のメラニンへの選択的熱作用及びその輻射熱による周辺組織の選択的破壊により、減毛を行う」と記されています。狙っているのは毛のなかにあるメラニンで、そこに吸収された光が熱に変わり、その熱が周囲へ伝わることで減毛につながる、という説明でしょう。

つまり毛のメラニンが多いほど熱が集まりやすく、少ないほど集まりにくいという関係になります。同じ設定で照射しても、部位によって手応えが違うのはこのためでしょう。機種の性能というより、標的にする物質の量の差から生じる違い。そう捉えておくと、後の章の話がつながります。

●メラニンを標的にすることから導かれること
  • 濃く太い毛ほど光を吸収しやすく、熱が集まりやすい
  • 色の薄い毛や細い毛では、集まる熱が小さくなりやすい
  • 白髪はメラニンをほとんど含まないため、熱に変わる光が少ない
  • 皮膚の側にメラニンが多いと、毛以外にも光が吸収される
毛のメラニンに光が吸収され熱が周辺組織へ伝わって減毛につながる流れを示した図

美容医療診療指針も、レーザー脱毛全般について、毛の成長を調節するBulbとBulgeと呼ばれる部分の両方に障害を与えていると考えられるという組織学的な検討結果を記しています。これはレーザー脱毛という手法全体についての説明で、メディオスターに固有の記述には当たりません。この記事で「バルジ領域を狙う機器」といった書き方をしないのは、機種と結びつけて語れる資料がないためです。

なお、皮膚の側のメラニンが関わる話は、そのまま安全性の論点にもなります。色の濃い部位でどう扱われるかは、受けられない人と注意が必要な肌の状態を扱う章で確認します。

メディオスターの効果の根拠は蓄熱式と単発式を比べた試験

美容医療診療指針は、蓄熱式脱毛の有効性を検討するにあたって、蓄熱式と単発式を直接比較した複数の試験を引用しています。ここでいう単発式は、高フルエンスの1回の照射で毛包に十分なエネルギーを与える方法を指す指針の用語です。読者向けの言い方をすれば、いわゆる熱破壊式にあたる照射のしかたになります。

繰り返しになりますが、これらはメディオスターを対象にした試験ではありません。見出しにある「根拠」は、蓄熱式という手法についての比較試験を指しています。

●診療指針が引用する蓄熱式と単発式の比較試験
報告対象・条件蓄熱式で報告された値単発式で報告された値指針が記している評価
Braun の報告ダイオードレーザーによる比較脱毛率86% / 治療時間 平均20分 / 痛みVAS 3脱毛率91% / 治療時間 平均26分 / 痛みVAS 5数値として併記されている
Koo らの報告蓄熱式と単発式の比較脱毛効果に有意差なし・蓄熱式が有意に痛くない
Li らの報告中国人98人・スキンタイプⅢ〜Ⅴ脱毛率90.2% / 痛みVAS 2.75脱毛率87% / 痛みVAS 6.75脱毛効果に有意差なし・痛みには有意差あり

数値は美容医療診療指針が引用する臨床研究の報告値です。試験ごとに対象者も条件も異なるため、メディオスターで同じ結果が出ると読むことはできません。VASは痛みの強さを本人が数値で答える評価方法で、値が小さいほど痛みが軽いことを表します。

この表から読み取れるのは、蓄熱式と単発式で脱毛の効果にはっきりした開きがあるとは報告されていないということです。86%と91%、90.2%と87%というように、報告によって上下が入れ替わっています。統計的な有意差は認められなかったとする報告が複数あることも、指針は記しています。

●数値を読むときに外せない4点
  • 脱毛率は毛が何割減ったかを示す値で、残りがゼロという意味ではない
  • 対象者のスキンタイプや部位が試験ごとに違う
  • 報告によって数値の上下が入れ替わるため、この数字だけから一貫した優劣は読み取れない
  • 同じ手法でも、施術する側の条件によって結果は動きうる

「効果ない」という言葉が検索候補に並ぶこととの落差は、ここでは説明がつきません。報告されている脱毛率だけを見れば、効かない手法という評価にはなっていないからです。この落差がどこから生まれるのかは、次の章で照射直後の見え方から解いていきます。

メディオスターのメリットは?蓄熱式脱毛で示された施術時間の短さ

メリットとして挙げられることが多いのは、施術にかかる時間です。ただしここも主語は蓄熱式脱毛になります。Braun の報告では、治療時間が蓄熱式脱毛で平均20分、単発式で平均26分と記されています。

時間差が生まれる理由は、照射のしかたの違いから説明できます。単発式は1発ごとに位置を決めて撃つ組み立てで、蓄熱式脱毛はハンドピースを動かしながら重ねて照射する組み立てです。動かしながら面をなぞる方式のほうが、同じ範囲を短い時間で通過できるという関係になります。

単発式と蓄熱式脱毛で照射の組み立てが違うため施術時間の性格が変わることを示した図
●蓄熱式脱毛について指針が記しているメリットの側面
  • 治療時間が短いとする報告がある (平均20分と26分の比較)
  • 痛みの評価値が単発式より低いとする報告が複数ある
  • スキンタイプによらず照射が可能であることから、選択肢の一つとして推奨できるとされている
  • 推奨度は1で、治療を希望する患者には行うことを強く推奨するという評価

これらはいずれも蓄熱式脱毛という手法についての評価です。メディオスターで施術を受ければこの時間で終わる、という意味ではありません。実際の所要時間は、照射する範囲・毛量・使うハンドピース・院の運用によって変わります。

同じ理由で、痛みの評価値についても機種を主語にはできません。この点は誤解が広がりやすい部分なので、デメリットを扱う章であらためて確認します。指針が挙げる蓄熱式脱毛の弱点も、そちらで扱います。

メディオスターは効果ない(意味ない)と言われるのはなぜ?

メディオスターは効果ないと言われる理由

前章で見たとおり、蓄熱式脱毛として報告されている脱毛率は低い数字ではありません。それでも「効果ない」「意味ない」という言葉が検索候補に並びます。背景の一つとして考えられるのが、報告されている数値と、施術を受けた本人が目で見て確かめられる変化との間にある時間のずれです。

この章では、その時間のずれがどこから生まれるのかを1本の流れとして追います。因果の順は次のとおりです。

●「効果ない」という感覚が生まれるまでの流れ
  • 連射式のスムースパルスは、低いフルエンスを重ねて熱を入れる照射のしかたである
  • 1発で毛に与える熱が大きくないため、照射した直後に毛が抜け落ちる変化は起きにくい
  • 変化が目に見えるまでに時間がかかり、施術直後は「何も起きていない」ように見える
  • 毛周期に沿って複数回照射することが前提になっているため、1回で判断できない
施術直後に変化が見えにくいことから効果がないと感じられるまでの流れを示した図

流れとしてつなぐと、どの段階も機器の不調ではなく、方式の性格から説明できることが分かります。以下、それぞれの段階を確認していきます。

メディオスターの効果はいつから?毛が抜けるまでの期間

まず、期間について正直に書いておきます。抜けるまでの日数は、電子添文にも診療指針にも書かれていません。この記事が根拠にしている資料のどこにも、期間を示した記述が置かれていないためです。「◯日で抜ける」と書かれた説明を見かけた場合、その出所を確かめる価値があります。

書けるのは、変化の見え方の性格までです。前の章で見た連射式のスムースパルスでは、1発ごとに毛が焦げて抜け落ちるという、その場で確認できる変化が起きにくくなります。指針が蓄熱式脱毛について記す「毛包全体に蓄熱していく」という説明が、そのまま見え方の説明にもなっています。

●照射後の見え方についてこの記事が書けること・書けないこと
論点扱い理由
照射直後に毛が抜け落ちる変化が起きにくい書ける低フルエンスを重ねる方式であることから説明できる
抜けるまでの具体的な日数書かない電子添文にも診療指針にも記載がない
何回目で変化が出るかの目安書かない回数と結果の対応を示す一次出典がない
複数回の治療が必要であること書ける電子添文が治療前の説明事項として定めている
部位によって変化の出方が違うこと一般論として書ける毛のメラニンの量が部位で違うため

表は公開資料で確認できる範囲を整理したものです。空欄にしている項目は、効果がないという意味ではなく、根拠として示せる資料がないという意味になります。

実務的な受け止め方としては、施術直後の見た目を効果の判定に使わないという一点に尽きます。判断の材料になるのは、次に生えてきた毛の状態や、自己処理の頻度がどう変わったかといった時間をかけた変化のほうです。どの時点でどう見るかは、施術を受けた医療機関に確認しておくと、経過を測る物差しがそろいます。

メディオスターは何回必要?添付文書には複数回とだけ書かれている

回数について電子添文が書いているのは、「複数回の治療が必要であり、期待される効果は永久的なものではないこと」という一文です。これは【重要な基本的注意】のなかで、治療の前に患者へ説明すべき事項として挙げられています。

つまり、複数回かかることは推測ではなく、添付文書が治療前の説明義務として定めている内容です。1回で終わる施術として案内することは、この記載と食い違います。

●回数について電子添文が定めていること
  • 複数回の治療が必要であると、治療前に説明する
  • 期待される効果は永久的なものではないと、治療前に説明する
  • 照射部位や照射周囲部に多毛化や硬毛化を含む有害事象が起こりうると、治療前に説明する
  • 治療後の日焼けだけでなく、治療前の日焼けも避けるよう伝える

一方で、何回という具体的な数字は書かれていません。5回で終わるのか8回必要なのかを定めた記載は電子添文にも診療指針にもなく、この記事でも回数の目安は示しません。院ごとに5回や8回といったコースが設定されていますが、その回数が電子添文の定める必要回数というわけではありません。契約の前に、コースを終えたあとの追加照射の扱いも確かめておくとよいでしょう。

もう一つ、回数が複数必要になる理由も押さえておきます。毛には成長期・退行期・休止期という周期があり、メラニンを多く含むのは成長期の毛です。1回の照射で反応するのはそのとき成長期にある毛に限られるため、間隔を空けて次の毛が成長期に入るのを待つ必要があります。この周期の考え方は方式によらず共通で、蓄熱式でも単発式でも変わりません。

成長期の毛だけが反応するため複数回の照射が必要になる毛周期の考え方を示した図

メディオスターの全身脱毛は1回目や5回目で抜け方が変わる?

回数を重ねると手応えが変わるという話はよく語られますが、回数ごとの変化を断定できる一次出典はありません。1回目にどう見え、5回目にどうなるかを示した資料が公開されていないため、この記事では数字と結果を対応させる書き方をしません。

そのうえで、資料から説明できる範囲の見方は示せます。毛のメラニンが多いほど熱が集まりやすいという原則を踏まえると、太く濃い毛の多い部位から先に変化が出て、細い毛が後に残るという順序になりやすいと考えられます。全身をまとめて照射する場合、部位ごとに実感の出るタイミングがずれるのはこのためです。

●全身で照射したときに起こりやすいずれ
  • 毛が太く濃い部位と、細く薄い部位で変化の出方がそろわない
  • 先に変化が出た部位を基準にすると、他の部位が遅れて見える
  • 残った毛は細くなるため、後半ほど1回あたりの変化が小さく感じられやすい
  • 部位によって毛の生え替わりの周期が違うため、次に生える時期もそろわない

「5回目なのに変わらない」という受け止めが生まれるのは、このずれを1つの物差しで測ってしまうことが背景にあると考えられます。全身を一括りにせず、部位ごとに見ていくほうが経過を把握しやすくなります。

なお、電子添文は照射部位や照射周囲部に多毛化や硬毛化を含む有害事象が起こりうることも明記しています。産毛の部位で毛が濃くなったように見える場合は、経過の一部として自己判断せず、施術を受けた医療機関に相談する場面になります。

メディオスターの口コミや知恵袋の投稿を読むときの見方

口コミサイトや知恵袋のような場で「効果ない」という投稿を見かけることがあります。この記事では個別の投稿を引用しませんが、ここまでの因果を物差しとして持っておくと、投稿の読み方が変わります。

投稿から読み取りたいのは、書かれている結論ではなく、その人がどの段階で何を見て判断したのかという条件です。

●投稿を読むときに確かめたい条件
  • 何回目の施術の時点で書かれた投稿か
  • どの部位についての話か (太い毛の部位か、産毛の部位か)
  • 照射の直後に判断しているのか、次に生えてくるまで待ったのか
  • 使われたのがネクストプロなのかモノリスなのか、その記載があるか
  • 効果の話なのか、予約や接客といった運用の話なのか

条件が書かれていない投稿は、同じ「効果ない」という言葉でも中身が違う可能性があります。照射の直後を見て書かれたものであれば、方式の性格から説明がつく範囲かもしれません。何回目かが書かれていなければ、複数回が前提であることと照らして判断ができません。

逆に、条件がそろっている投稿は材料として使えます。「この部位で何回目まで進めて、次に生えてきた毛がどうだったか」まで書かれていれば、自分の状況と比べる手がかりになります。投稿の数の多さではなく、条件の書かれ方で読み分けるというのが実務的な向き合い方です。

そのうえで、同じ施術を受けても手応えの出方は人によって違います。毛量も毛質も肌の色もそろわず、照射の設定も診察のうえで決まるため、他の方の経過を自分の見通しにそのまま当てはめると判断を誤りやすくなります。投稿は状況を知る材料として眺め、判断の軸は診察の場に置いておくほうが確かです。

メディオスターのVIOや産毛など部位別の効果

メディオスターのVIOや産毛など部位別の効果

部位ごとの話に入る前に、範囲を断っておきます。部位ごとに効果を比べた資料は、公開されている一次情報の側にありません。ここで書けるのは、毛のメラニンの量から導ける一般的な傾向と、電子添文が部位について記している注意までです。

電子添文が部位に触れているのは、いずれも注意の文脈です。照射の条件についての注意、デリケートな部位についての注意、目の周囲を照射しないという禁止の3つで、いずれも効果の優劣を部位ごとに述べた記載ではありません。以下は、この違いを踏まえたうえで毛の性質から整理したものになります。

●部位ごとの毛の性質と、この記事で言えること
部位毛の性質熱の集まりやすさ電子添文の記載との関係
VIO太く濃い。密度が高い集まりやすい側センシティブエリアとして痛みや熱感への注意がある
太く濃い。範囲は狭い集まりやすい側色が濃く密度が高い部位としての注意にあたる
腕・脚中程度の太さで範囲が広い中程度面積が広いほど注意深く治療するという記載にあたる
顔の産毛細く色が薄い集まりにくい側目の周囲には照射しないという記載がある
白髪の混じる部位メラニンをほとんど含まない集まりにくい側指針は効果がほとんどないと記している

表は毛の性質から導いた傾向の整理で、部位ごとの効果を比べたデータとは別ものです。実際の反応には個人差があり、同じ部位でも毛量や毛質によって変わります。

メディオスターのVIO脱毛はメラニンの多い毛ほど反応しやすい

VIOは、毛が太く濃く、密度が高い部位です。前章で見たメラニンとの関係からいえば、熱が集まりやすい側に位置する部位ということになります。反応しやすい部位として語られることが多いのは、この性質によるものです。

ただし、熱が集まりやすいということは、そのまま注意が要る部位だということでもあります。電子添文は毛が濃く密度が高い部位ほど注意深く治療するよう定めており、VIOはその条件に当てはまります。なぜ注意が要るのかという理由は、やけどを扱う章でまとめて確かめます。

●VIOについて電子添文が記していること
  • センシティブエリアでは特に、皮膚の色や反応に注意しながら照射する
  • センシティブエリアの皮膚は痛みや熱感を感じやすいとされている
  • 施術中の痛みは、照射する側が観察しながら進めることになっている
  • 粘膜側や目の周囲は照射の対象から外れる

「センシティブエリア」は電子添文の用語で、VIOのようにデリケートな部位を指します。反応しやすい部位であることと、慎重に扱う必要がある部位であることは同時に成り立ちます。どちらか一方だけを取り出すと、実態から離れた説明になります。

VIOの黒ずみが気になるという声もありますが、色素が濃い部分は光を吸収しやすい状態にあたります。照射の可否や設定は、その場で肌を見たうえでの判断になるため、気になる部位は事前に伝えておくと進め方を決めやすくなります。

メディオスターは顔脱毛でも産毛に使える?

顔の産毛は、VIOとは逆側にあたります。メラニンとの関係で見れば、細く色が薄い毛は熱が集まりにくい側です。同じ設定で照射しても、太い毛と同じ手応えにはなりにくいという関係になります。

これは適応がないという話とは違います。承認されている使用目的は部位を限定しておらず、顔の脱毛が対象から外れているわけでもありません。ただし、産毛にどの程度の脱毛効果が出るかを示す資料はないため、変化のしかたは診察で見通しを相談する領域になります。

●顔の照射で押さえておきたい点
  • 産毛は太い毛に比べて熱が集まりにくく、変化がゆるやかになりやすい
  • 電子添文は目の周囲に照射しないと定めている
  • 顔は日焼けの影響を受けやすく、照射前後の紫外線対策が関わる
  • 化粧や日焼け止めの扱いは資料から確認できないため、当日の準備は院に確かめる

顔の医療脱毛そのものの進め方や、産毛にどこまで手をかけるかという考え方は、顔脱毛の回数と機械の選び方をまとめた記事のほうが詳しく扱っています。この記事では、機種側から見た産毛の位置づけという論点に絞ります。

ひげについても、考え方は同じ枠組みで説明できます。毛が太く密集する部位ほど熱が集まりやすく、そのぶん痛みも出やすくなります。ひげの脱毛そのものの進め方はひげ脱毛について整理した記事にまとめてあるため、そちらもあわせて確認するとよいでしょう。

メディオスターには足やすね毛向けの照射面が大きいハンドピースがある

足やすね毛のように範囲が広い部位では、照射面の広いハンドピースが用意されていることが機器側の事実として確認できます。電子添文に記載された寸法でいえば、ネクストプロのXL-Lレーザチップが約24×38mm、モノリスXLが約31.6×31.6mmで、他のハンドピースより広い照射面を持ちます。

ただし、「広い部位にはこれを使う」という運用の指示は電子添文に書かれていません。寸法が記載されているという事実と、どの部位にどれを選ぶかという判断は別のものです。実際の選択は、肌と毛の状態を見たうえで施術する側が決めます。

●照射面の広いハンドピースをめぐって確認できること
  • 電子添文には各ハンドピースの皮膚照射面の寸法が記載されている
  • ネクストプロのXL-Lは約24×38mm、モノリスXLは約31.6×31.6mm
  • XL系のハンドピースは、冷却の温度が低い側の設定が17℃になる
  • 部位ごとの使い分けを定めた記載は、どちらの電子添文にもない

3点目は補足が要ります。照射面の広いXL系は、冷却の温度が低い側の設定が17℃になる組です。温度の一覧は冷却を扱ったH3の表にまとめてあるので、そちらを見比べてください。同じ機種でも、使うハンドピースによって肌に当たる部分の温度が変わるということです。

範囲が広い部位では、1回の施術で扱う面積そのものが大きくなります。電子添文が面積が広いほどより注意深く治療するよう求めているのは、過剰な照射と過剰な冷却の両方を避けるためです。所要時間や分割の考え方は院の運用によって変わるため、通う前に確認しておくと予定を立てやすくなります。

メディオスターで白髪が抜けにくいのはメラニンがないから

ここで話が部位から毛の条件へ移ります。白髪は特定の部位の話ではなく、毛の色によって生じる効果の限界にあたるためです。禁忌ではなく、照射はできるものの反応が期待しにくいという位置づけになります。

理由は、これまで見てきた原則そのものです。標的になるメラニンが白髪にはほとんど含まれていないためで、美容医療診療指針も、白髪や金髪に対するレーザー脱毛の効果はほとんどないと明記しています。

●反応しにくい毛についての整理
  • 白髪はメラニンをほとんど含まず、指針は効果がほとんどないとしている
  • 産毛はメラニンを含むものの量が少なく、変化がゆるやかになりやすい
  • 回数を重ねて細くなった毛は、以前より反応しにくくなる方向に向かう
  • これは機種の性能ではなく、メラニンを標的にする方式に共通する制約

最後の点は見落とされやすい部分です。照射を重ねるほど残る毛は細くなり、細くなるほど熱が集まりにくくなるという構造があるため、後半になるほど1回あたりの変化が小さく感じられます。「途中から効かなくなった」という受け止めは、この段階で生まれやすいものです。

毛の濃さや白髪かどうかによってレーザーの熱の集まりやすさが変わることを示した図

白髪が混じり始めてから脱毛を考える場合は、始める時期そのものが検討の材料になります。年齢を重ねてから始めるケースについては介護に備えた脱毛の考え方を扱った記事が詳しく触れているため、そちらもあわせて読むと判断の幅が広がります。

メディオスターとヤグレーザーはどっち?毛質による比較

メディオスターとヤグレーザーの毛質による比較

医療脱毛の機器を比べるとき、メディオスターとヤグレーザーはどちらがよいのか、という聞かれ方をすることがあります。先に立場を示しておくと、この記事では順位を付けません。美容医療診療指針は主なレーザーそれぞれに対して個別に推奨を示しており、どれか1つを上位に置く形にはなっていないためです。

比べる軸として使えるのは、レーザーの種類と、指針が記している比較の記述までです。メディオスターはダイオードレーザーを使う機器で、ヤグレーザーはNd:YAGという別の媒質を使うレーザーにあたります。まず、この位置関係を表で確認します。

●脱毛に使われるレーザーの種類と診療指針の評価
レーザーの種類診療指針に記載された機種名の例波長についてこの記事で示せること診療指針の推奨度診療指針が記している比較の記述
ダイオードレーザーメディオスターネクストプロ・ライトシェアデュエット・フォーマアルファメディオスターは808nmと940nm (電子添文の記載)推奨度1Nd:YAGとの比較では、ダイオードのほうが効果も高く副作用も少ないとする報告がある
Nd:YAGレーザー (ヤグ)ジェントルヤグプロ別のレーザー媒質で波長帯が異なる (数値はこの記事の一次出典に記載なし)推奨度1上記の比較で対になる側
ロングパルスアレキサンドライトレーザージェントルレーズプロ同じく数値はこの記事の一次出典に記載なし推奨度1アレキサンドライトとの比較では、効果と副作用に大きな差はないとされる
2つのレーザーを扱う機種ジェントルマックスプロ・エリートプラス同上機種単位の推奨度は示されていない
蓄熱式脱毛 (機種ではなく照射のしかた)推奨度1単発式との比較で脱毛効果に有意差なし・痛みは有意に少ないとする報告

機種名とレーザーの種類は美容医療診療指針に記載された2021年10月時点の情報です。推奨度はクリニカルクエスチョンごとの評価で、機種の優劣を示す指標としては使えません。

表を見ると、どの種類も推奨度1で並んでいることが分かります。指針が示しているのは順位ではなく、それぞれが選択肢として成り立つという評価です。そのうえで種類ごとの比較の記述があり、そこが使い分けの手がかりになります。

比較の場面では、表に載っていない名前も挙がります。ソプラノやソプラノチタニウム、クリスタルプロといった機種名です。これらについてはこの記事の一次出典に記載がないため、名前を挙げるにとどめ、性能の比較は行いません。出所のない数値を並べても、判断の材料にはならないためです。

メディオスターとヤグレーザー(YAG)の違いは使うレーザーの波長

2つの違いは、光を作り出す媒質そのものにあります。メディオスターが使うのはダイオードレーザーで、電子添文には808nmと940nmという波長が記されています。ヤグレーザーはNd:YAGという結晶を媒質にするレーザーで、ダイオードとは別の系統にあたります。

ここで一点、この記事の限界を書いておきます。ヤグレーザーの波長の数値は、この記事が根拠にしている資料には記載がありません。数値としてよく挙げられる値もありますが、出所を示せないまま書くと、メディオスター側の808nmや940nmと同じ確かさで並んでいるように読めてしまいます。そのため、ここでは「別の媒質を使うレーザーなので波長帯が異なる」という種別のレベルまでにとどめます。

●2つの違いとして書ける範囲
  • メディオスターはダイオードレーザーを使い、波長は808nmと940nm
  • ヤグレーザーはNd:YAGという別の媒質を使うレーザーである
  • 診療指針は両者を別のクリニカルクエスチョンとして扱い、それぞれに推奨度1を示している
  • 指針には、Nd:YAGとの比較でダイオードのほうが効果も高く副作用も少ないとする報告が記されている

4点目は、この章で使える数少ない直接の比較記述です。ただし報告があると記されているだけで、優劣が確定したという書き方はされていません。指針が両方に推奨度1を与えていることと合わせて読むと、どちらかを選べば済むという構図ではないことが見えてきます。

診療指針が比べているのはレーザーの種類と照射のしかたであり機種同士ではないことを整理した図

実際の選択は、毛質・肌の色・部位を診たうえでの判断になります。機種名で決めるより、自分の毛と肌の条件をどう見るかを先に整理しておくほうが、カウンセリングでの相談が具体的になります。

メディオスターとヤグレーザーは痛みの感じ方が違う?

痛みについては、正直に書ける範囲が限られます。メディオスターとヤグレーザーの痛みを直接比べた報告は、この記事が根拠にしている資料には載っていません。指針に記載されているのは、蓄熱式と単発式という照射のしかたを比べたVASの値までです。

そのVASの値も、前に見たとおり蓄熱式脱毛という手法についての報告です。痛みの強さを機種ごとに示したデータには当たりません。この記事で機種を主語にした痛みの断定をしないのは、この理由によります。

●痛みについて資料から言えること・言えないこと
論点扱い根拠
蓄熱式と単発式のVASの比較書ける診療指針が引用する試験に数値がある
メディオスターとヤグレーザーの痛みの比較書けない直接比較した報告が一次出典にない
メディオスターは痛みが少ない機種であること書けない機種を対象にしたデータがない
センシティブエリアで痛みや熱感を感じやすいこと書ける電子添文が注意として明記している

表は資料の有無を整理したもので、痛みの強さそのものを比べた結果までは示していません。痛みの受け止め方には幅があり、部位や毛量、その日の肌の状態によっても変わります。

この章と、次章のデメリットの話は役割が違います。ここでは機種を選ぶときの比較材料として痛みを扱い、施術のときに実際どう感じるかという話は次章で扱います。同じ痛みという言葉でも、比較の文脈と体感の文脈では見るべき資料が変わるためです。

痛みを判断の軸にしたい場合、機種名だけで決めるのは難しくなります。むしろ、痛みが強く出たときにどう調整してもらえるのか、麻酔の扱いはどうなっているのか。この2点を確認するほうが、実際の負担に直結するでしょう。

メディオスターとヤグレーザーは産毛の脱毛効果に差が出る?

産毛についても、比較の材料は限られています。メディオスターとヤグレーザーで産毛への効果に差が出るという報告は、指針にも電子添文にも出てきません。産毛という条件に絞って機種や波長を比べた研究が、公開されている資料の側にないためです。

書けるのは、原理から導ける一般的な傾向までです。メラニンを標的にする以上、産毛はどの種類のレーザーでも熱が集まりにくい側に位置します。これは機種による違いというより、方式に共通する制約です。

●産毛をめぐって整理しておきたいこと
  • 産毛はメラニンが少なく、熱が集まりにくい側にある
  • この制約はメラニンを標的にする方式に共通する
  • 機種ごとの産毛への効果差を示す報告は、この記事の一次出典にない
  • 診療指針は白髪や金髪については効果がほとんどないと明記している

「産毛にはこの機種」という言い方も流通していますが、根拠として示されている資料を確かめる価値があります。指針が示している比較の記述は種類ごとの水準までで、産毛という条件に絞った比較には踏み込んでいません。

産毛が中心の部位を進める場合は、機種選びよりも、変化がゆるやかになりやすいことを前提に計画を立てるほうが実務的です。どの時点で経過を見るのか、追加の照射をどう扱うのかを、契約の前に確認しておくと見通しが立ちます。

メディオスターとジェントルマックスプロの違いはレーザーの種類

この2つを比べる質問はよく見かけます。違いを一言でいえば、使っているレーザーの種類が違います。メディオスターはダイオードレーザーを使う機器で、ジェントルマックスプロは診療指針の一覧にアレキサンドライトレーザーとNd:YAGレーザーを積む機種として記載されています。

この記事はメディオスターの解説なので、比較の主語は常にメディオスター側に置きます。ジェントルマックスプロそのものの解説は行いません。機種の中身を知りたい場合は、ジェントルマックスプロについてまとめた記事のほうが詳しく扱っています。

●メディオスター側から見た違いの整理
  • メディオスターが使うのはダイオードレーザーで、波長は808nmと940nm
  • 診療指針の一覧では、ジェントルマックスプロは2つのレーザーを積む機種に分類されている
  • 診療指針はレーザーの種類ごとに推奨を示しており、機種単位の順位は示していない
  • 数値を並べた性能の比較は、この記事の一次出典からは組み立てられない
診療指針に記載がある機種名と一次出典に記載がない機種名を分けて示した図

比べ方として意味を持つのは、どちらの機種が上かではなく、自分の毛と肌がどの条件に当てはまるかという見方です。太い毛が中心なのか産毛が中心なのか、肌の色はどのあたりなのか、痛みをどこまで許容できるのか。この条件が決まっていれば、どちらの機種を置いている院でも相談の中身は具体的になります。

なお、機種名として挙がるもののなかには、種類の違うものが混ざっています。ジェントルレーズやライトシェアデュエットのように診療指針の一覧に載っている機種名もあれば、ソプラノやソプラノチタニウムのようにこの記事の一次出典に記載がない機種名もあります。同じ土俵に並べて比べられるとは限らないという点は、機種名を集めて検討するときに押さえておく価値があります。

メディオスターのデメリットは痛みと蓄熱式脱毛で指摘される技量差

メディオスターのデメリットは痛みと技量差

デメリットとして挙がるのは、大きく2つの系統です。1つは施術時の痛みと肌への反応、もう1つは蓄熱式脱毛という手法について指針が指摘している技量による差です。どちらも「メディオスターは痛くない機械」という前提で読むと、実際と食い違います

ネクストプロの電子添文の臨床成績の欄には、発現した有害事象として紅斑・浮腫・毛の焦げ・治療時の痛み・一過性色素沈着・一過性色素脱失が挙げられています。あわせて、重篤な有害事象はみられなかったとも記されています。起こりうる範囲が示されていること自体が、施術に反応が伴うことの裏づけになります。

●起こりうる反応と、資料に記されている位置づけ
起こりうること資料での位置づけ押さえておきたい点
治療時の痛み電子添文の臨床成績に発現した有害事象として記載部位や毛量によって感じ方が変わる
紅斑・浮腫同上照射に伴う一時的な反応として挙げられている
一過性色素沈着・色素脱失同上一過性と記されているが経過は個別に見る
毛の焦げ同上照射に伴って生じうる反応
多毛化・硬毛化電子添文が治療前の説明事項として明記起こりうる有害事象として説明を受ける
毛嚢炎・熱傷・瘢痕診療指針がレーザー脱毛の合併症として記載方式によらず報告されている

表は電子添文と診療指針の記載を整理したものです。全員に起こるという意味ではなく、症状の判断と処置は診察を受けたうえで行うものになります。

実際の相談件数としても、国民生活センターは2012年度以降の約5年間に脱毛施術で危害を受けたという相談が964件寄せられ、そのうち医療機関で受けた脱毛によるものが284件だったと公表しています。これは相談として寄せられた件数であり、施術数を分母にした発生率には当たりません。

メディオスターは痛すぎる?広範囲ではスムースパルスが推奨されている

「痛すぎる」という言葉が検索候補に出てくることについて、資料の側から答えられる部分を示します。ネクストプロの電子添文には、広範囲の照射を行う際に、患者が照射時の痛みや不快感の軽減を望む場合にスムースパルスモードの使用を推奨する、という記載があります。

この記載の読み方には条件が付きます。推奨の射程は「広範囲の照射を行う際に」という場面に限定されており、あらゆる場面でスムースパルスが痛みを抑えると書かれているわけではありません。また「痛みが少ない」という効果の断定ではなく、痛みや不快感の軽減を望む場合の選択肢として位置づけられている、という書かれ方です。

●この記載から言えること
  • 広範囲を照射する場面で、患者が痛みや不快感の軽減を望む場合の選択肢として記されている
  • 記載があるのはネクストプロの電子添文である
  • 効果として痛みが軽くなると断定した記述ではない
  • 冷却が痛みを抑えるという記述は、どちらの電子添文にもない

4点目は前の章でも触れたとおりです。冷却について電子添文が述べているのは皮膚の表面温度を低下させるためという目的までで、痛みへの働きかけとして書かれてはいません。「接触冷却があるから痛くない」という説明は、資料の記載を超えています。

痛みについて電子添文に書かれている内容と書かれていない内容を切り分けた図

診療指針の側にある痛みのデータも、繰り返しになりますが蓄熱式脱毛と単発式を比べた値です。蓄熱式のほうがVASの値が低いとする報告が複数ありますが、これを「メディオスターは痛みが少ない」と機種の話に置き換えることはできません。痛みの感じ方には個人差があり、施術中に強く感じた場合はその場で伝えて設定を相談するのが現実的な対処になります。

メディオスターはセンシティブエリアで痛みや熱感を感じやすい

電子添文は、痛みについてむしろ注意を促す記載を置いています。【重要な基本的注意】は、センシティブエリアでは皮膚の色と反応に注意するよう求めています。そのうえで、照射中は患者が感じる痛みを観察しながら慎重に進めること、と定めています。

理由も併記されています。デリケートな部位の皮膚は痛みや熱感を感じやすく、熱傷のおそれもあるため、というのが電子添文の説明です。痛みを感じやすい部位があることを、資料の側が前提にしているということになります。

●センシティブエリアで押さえておきたいこと
  • 慎重に照射するよう求める記載が、部位を名指しする形で置かれている
  • 理由として、痛みや熱感を感じやすいこと・熱傷のおそれが挙げられている
  • 毛が濃く密度が高い部位についても、同じ章に注意の記載がある
  • 施術中に感じたことを伝える余地が、この記載の前提に含まれている

こうした記載を踏まえると、「痛みの少ない機械だから大丈夫」という受け止め方は、資料の内容と噛み合いません。むしろ、どの部位でどう感じたかを施術者に伝えることが、電子添文が想定している進め方に近くなります。

痛みが強く出た場合の選択肢としては、設定の調整のほか、麻酔の扱いを確認しておく方法もあります。取り扱いの有無や費用は院ごとに異なるため、契約の前に聞いておくと、当日に迷わずに済みます。

メディオスターの連射式はハンドピースを動かしながら照射する

もう1つのデメリットとして挙げられるのが、施術する側の技量による差です。ただし、これはメディオスター固有の欠点として指摘されているものではありません。美容医療診療指針が蓄熱式脱毛という手法について記している内容です。

指針の原文は、「蓄熱式脱毛はハンドピースを動かしながら施術するため、施術者の技量により効果に差が出る可能性は否めない」というものです。動かしながら一定量のエネルギーを入れる方式である以上、動かし方によって入る熱が変わりうる、という指摘になります。

●技量差が指摘される理由
  • 蓄熱式脱毛はハンドピースを動かしながら照射する方式である
  • 動かし方によって、1つの範囲に入るエネルギーの量が変わりうる
  • 指針は、施術者の技量により効果に差が出る可能性は否めないと記している
  • 狭い部位ではハンドピースを十分に動かせないこともあると記されている

メディオスター側でこの話とつながるのが、スムースパルスがハンドピースを移動させながら照射する方式だという点です。照射のしかたそのものは前の章で整理したとおりで、指針が技量差の前提に置く条件と重なります。

つまり、指針が指摘する技量差の前提となる「動かしながら照射する」という条件が、メディオスターの連射式にもあてはまるという関係です。機種の欠点ではなく、方式に伴う性格として捉えるのが資料に沿った読み方になります。

指針は狭い部位についても触れています。上口唇や眉周囲のように照射する範囲が狭い部位では、ハンドピースを動かすことが十分にできないこともあり、高フルエンスの単射式脱毛と併用することもある、という記述です。方式には得意な場面とそうでない場面がある、ということでしょう。

メディオスターを受けられない人と注意が必要な肌の状態

メディオスターを受けられない人と注意が必要な肌の状態

この章では、電子添文が定めている条件を区分ごとに整理します。混同されやすいのは、「受けられない」と「注意して行う」が別の区分として書かれているという点です。日焼けを禁忌として説明している記事も見かけますが、電子添文の区分ではそうなっていません。

●電子添文の区分と、それぞれの内容
電子添文での区分記載されている内容扱い
禁忌・禁止 (患者の状態)光感受性が高い患者 / 光感受性を高める医薬品の使用中 / 治療部位のがん・前がん病変 / 有毛の母斑 / 単純ヘルペス / ケロイド体質や過剰瘢痕化の徴候 / 開放創・感染創 / 免疫抑制剤の服用中 / 創傷治癒遅延の徴候使用しない
禁忌・禁止 (使用方法)セルライト治療後の部位は数週間照射しない / 目の周囲に照射しない / 入れ墨部位は処置しないその部位に照射しない
使用注意ほくろのある部位はレーザ照射を避けること避ける
重要な基本的注意治療前後の日焼けを避ける / 色が濃く毛が多く密度が高く面積が広いほど注意深く治療する / センシティブエリアでは痛みを観察しながら慎重に照射する注意して行う

表は電子添文の区分をそのまま整理したものです。実際に照射できるかどうかは、診察を受けたうえで医師が判断します。

区分を分けて読むと、受けられないと決まっている条件は限られていることが分かります。多くは注意して行う側に置かれており、条件を整えれば進められる場合があるということです。自己判断で諦める前に、まず診察で相談する余地があります。

メディオスターは日焼けした肌やほくろに照射できる?

日焼けとほくろは、電子添文のなかで扱いが違います。日焼けは禁忌ではなく【重要な基本的注意】に、ほくろは【使用注意】に書かれています。まとめて「禁忌」と説明されることがありますが、資料の区分としては別です。

日焼けについての記載は、治療前に患者へ説明すべき事項のなかにあります。治療後の日焼けだけでなく、治療前の日焼けを避けることという一文で、理由は合併症の発現リスクを下げるためと記されています。禁じられているのではなく、避けるよう説明することが求められている、という位置づけです。

●日焼けとほくろの扱いの違い
  • 日焼け — 【重要な基本的注意】として、治療前後ともに避けるよう説明する
  • 日焼けの理由 — 合併症の発現リスクを下げるため
  • ほくろ — 【使用注意】として、その部位への照射を避ける
  • ほくろの理由 — メラニンによるレーザ光吸収反応により熱傷をきたすおそれ
  • 有毛の母斑 — こちらは【禁忌・禁止】に挙げられている

ほくろについては、もう一段の区分があります。【使用注意】にあるのは「ほくろのある部位」への照射を避けることで、【禁忌・禁止】には「有毛の母斑」が挙げられています。似た見た目でも、資料の上では別の扱いになっているということです。実際の判断は、その場で肌を見たうえで行われます。

入れ墨についても記載があります。入れ墨部位は処置しないと定められており、理由として入れ墨の色素に光が強く吸収されることが挙げられています。色素が集まっている部分は光を強く吸収するという原則は、ほくろでも入れ墨でも共通です。

メディオスターは肌の色や毛の濃さに応じてやけどに注意する

やけど (熱傷) について電子添文が述べているのは、メラニンによるレーザ光吸収反応により熱傷をきたすおそれという記述です。ほくろ・入れ墨・センシティブエリアに関する注意のなかで、いずれも同じ理由が挙げられています。

あわせて、【重要な基本的注意】には照射の条件についての記載があります。色が濃く、毛が多く、密度が高く、面積が広いほど、より注意深く治療することという一文で、理由はレーザの過剰照射および皮膚の過冷却につながりやすいためだと記されています。

●この記載から読み取れること
  • 注意の対象は、肌の色・毛の量・毛の密度・照射する面積の4つ
  • 理由として挙げられているのは、過剰な照射と過剰な冷却の2つ
  • 冷却のしすぎも注意の対象に含まれている点は見落とされやすい
  • 条件に応じて注意の度合いを変える、という書かれ方になっている
電子添文が注意深い治療を求める4つの条件と過剰照射・過冷却という2つの理由を整理した図

ここで踏み込みすぎないよう補っておきます。電子添文は「肌の色が濃いほどやけどが増える」といった比較の形では書いていません。注意深く治療するという運用の指示であって、発生率を比べた記述ではないためです。この記事で比較の断定をしないのは、資料の書かれ方に合わせるためです。

過剰な冷却が挙げられている点も押さえておく価値があります。冷やせば冷やすほどよい、という書かれ方はされていません。冷却の段階と温度は前の章の表のとおりで、どの段階で照射するかは肌の状態を見たうえでの判断になります。

照射のあとに気になる変化が出た場合は、自己判断せず施術を受けた医療機関に連絡するのが先決です。市販薬を重ねるより、照射の条件を把握している側に相談したほうが対応は早くなるでしょう。

メディオスターの禁忌にあたる持病や服用中の薬

ここで初めて「禁忌」という言葉を使います。電子添文の【禁忌・禁止】に挙げられているのは、主に持病や体質、服用中の薬に関わる条件です。日焼けやほくろとは区分が違うことは、前の項で見たとおりです。

●電子添文の【禁忌・禁止】に挙げられている患者の状態
  • 光感受性が高い患者
  • 光感受性を高める医薬品を使用中の患者
  • 治療部位にがん・前がん病変がある患者
  • 有毛の母斑がある部位
  • 単純ヘルペスの症状がある患者
  • ケロイド体質または過剰な瘢痕化の徴候がある患者
  • 開放創や感染創がある部位
  • 免疫抑制剤を服用中の患者
  • 創傷治癒の遅延の徴候がある患者

このうち、自分では気づきにくいのが光感受性を高める医薬品です。日常的に処方されている薬のなかにも該当するものがあるため、服用中の薬は種類と量を正確に伝えておく必要があります。市販薬やサプリメントを含めて、問診の場で申告しておくと確かでしょう。

持病についても同じです。過去の治療歴や体質は、見た目からは判断できません。問診票に書き漏らすと、判断の前提そのものが変わってしまいます。申告した内容が禁忌にあたる場合は施術を見送ることになりますが、それは安全のための判断です。

なお、この一覧は電子添文の記載であって、実際に受けられるかどうかを自分で判定するための基準としては使えません。該当しそうだと感じた場合も、診察の場で相談するところから始めるのが順当な進め方でしょう。医師が確認したうえで、照射するかどうか、条件をどう設定するかが決まります。

メディオスターを導入しているクリニックの探し方

メディオスターを導入しているクリニックの探し方

ここまでの内容を、院を選ぶ場面につなげます。押さえておきたいのは、メディオスターを導入しているクリニックであっても、置いてある機種もハンドピースの構成も同じとは限らないという点です。名前が同じでも、施術の中身は運用で変わります。

順位付けはこの記事では行いません。導入している院の一覧を並べることもしません。代わりに、どこに通うにしても共通して確かめられる項目を整理します。

●院を選ぶときに軸になる3つの問い
  • 置いてあるのはネクストプロなのかモノリスなのか
  • どのハンドピースをどのモードで使う想定なのか
  • 料金がどの範囲・どの回数に対する金額なのか

3つとも、機種名を知っているだけでは答えが出ない問いです。以下、それぞれをどう確かめるかを見ていきます。

メディオスターはNeXT PROとモノリスのどちらを置くかがクリニックで違う

電子添文が公開されているのは、メディオスターネクストプロと長期減毛用ダイオードレーザー メディオスターモノリスの2つの販売名です。どちらを導入しているかは院によって違い、両方を置いている場合もあります。

一点、断定を避けておきます。この記事では国内で承認されているメディオスターがこの2つで全部だとは書きません。この記事で電子添文を確認できた販売名が2つだったというだけで、ほかに承認された販売名があるかどうかまでは断定できないためです。院の案内に別の表記があった場合は、その名称で確かめる余地があります。

●機種名を確かめるときに聞ける形
  • 導入しているのはメディオスターネクストプロか、メディオスターモノリスか
  • 両方を置いている場合、どちらをどの部位に使う想定か
  • 使うハンドピースの種類と、照射面の広さはどのくらいか
  • 院内に複数の脱毛機がある場合、メディオスター以外に何があるか
メディオスターを導入しているクリニックで機種やハンドピースを確認するときの聞き方をまとめた図

前の章で見たとおり、2機種の差は波長ではなく、ハンドピースの構成と冷却の段階名にあります。効果の差を示す資料はないため、「どちらの機種か」だけで良し悪しを決めることはできません。むしろ、どのハンドピースを使うかのほうが、照射面の広さや冷却の温度に直結します。

クリニックごとの料金や口コミは、フレイアクリニックの料金と口コミを整理した記事リゼクリニックの料金と口コミを整理した記事のように、ブランドごとにまとめた記事のほうが具体的です。導入している機種は改定されることがあるため、最新の案内とあわせて確認するとよいでしょう。

メディオスターを受ける前のカウンセリングで確認したい照射モード

カウンセリングで施術の中身を確かめるとき、モードの名前を手がかりにすると質問が具体的になります。前の章で見たとおり、電子添文にはベーシック・スムースパルスといった区分が記載されており、フルエンスと反復の速度が違う方向に設定されています。

ここではモードの説明は繰り返しません。確かめたいのは、自分の部位と毛質に対してどの区分で照射する想定なのかという運用の話です。

●施術の中身について確認できる項目
確認する項目何が分かるか
どのモードや区分で照射する想定か低いフルエンスを重ねる側か、1発を強くする側か
使うハンドピースの種類照射面の広さと、冷却の温度が低い側の設定値
部位ごとに設定を変えるかどうか太い毛の部位と産毛の部位で扱いが変わるか
痛みが強かった場合の調整のしかたその場で設定を見直してもらえるか
麻酔の取り扱い種類・費用・申し込みのタイミング
剃り残しがあった場合の扱い照射を見送るのか、対応してもらえるのか
経過をどの時点で確認するか次回までに何を目安に見ればよいか

表は確認する項目を整理したものです。答えは院ごとに違うため、そろえて聞くこと自体に意味があります。設定は診察のうえで医師が判断する領域です。

聞きにくいと感じる必要はありません。前の章で見たとおり、電子添文は施術する側が患者の反応を見ながら進めることを前提にしています。がまんして黙っているより、体感を共有したほうが調整の精度は上がるでしょう。

経過の見方も、この場で確認しておくと後が楽になります。照射直後の見た目では判断しにくいことは前の章で見たとおり。次にどの時点で何を見ればよいのかを聞いておくと、自分で経過を測る物差しがそろいます。

メディオスターの値段や価格はクリニックごとに違う

料金については、前提を先に書いておきます。医療脱毛は自由診療なので、価格の設定は院ごとに異なります。公的な価格の基準があるわけではないため、この記事では相場も具体的な金額も示しません。

その代わりに確かめておきたいのが、その金額が何に対する金額なのかという前提条件です。同じ数字でも、範囲と回数が違えば比べたことにはなりません。前の項が施術の中身の確認だとすれば、こちらは費用の前提条件の確認になります。

●料金を見るときに確かめたい前提条件
確認する項目見るポイント
照射する範囲どの部位が含まれ、どの部位が別料金か
回数何回分の金額か。追加照射の単価はいくらか
追加でかかる費用麻酔・剃毛・キャンセル料が別途かかるか
有効期限期限内に通いきれる予約の取りやすさか
支払い方法一括か分割か。分割の場合の手数料の扱い
機種による差機種やプランによって金額が変わる設定か

料金の条件は改定されることがあります。金額の詳細は、施術を受ける医療機関の最新の案内で確認してください。

比較の場面で効くのは、総額・回数・追加費用の3点をそろえて並べるという見方です。月々の支払額だけを見ると、支払い終えるまでの合計が見えません。回数が違うプランを金額だけで比べると、1回あたりの単価が逆転していることもあります。

もう一つ、機種名で金額が決まるわけではないという点も押さえておきます。同じメディオスターを置いている院でも、プランの区切り方が違えば金額はそろいません。機種が同じだから同じ料金になるはずだ、という前提で比べると、条件の違いを見落とします。

●メディオスターが向いていると考えられる人
  • 照射直後の変化ではなく、次に生えてくる毛の状態で経過を見られる方
  • 毛周期に沿って複数回通うことを、あらかじめ前提にできる方
  • 国内で承認を受けた機器であることを確かめたうえで通いたい方
  • ハンドピースや照射の区分まで、カウンセリングで運用の中身を聞いて判断したい方
  • 施術にかかる時間が気になる場合に、院へ実際の所要時間を確認できる方
●別の方式が向いていると考えられる人
  • 照射したその場で毛が抜ける変化を確かめながら進めたい方
  • 上口唇や眉周囲のように、指針が動かしにくいと記す狭い部位を中心に進めたい方
  • 白髪が多く、メラニンに反応する方式では変化が期待しにくい方
  • 指針が指摘する施術者の技量差を、判断の材料として重く見たい方

この2つは優劣ではなく、何を優先するかの違いです。どちらにも当てはまらない場合は、複数の方式を導入している院で部位ごとの使い分けを相談するという選択肢もあります。判断がつかないときに1院だけで決めないというのも、現実的な対策になります。

メディオスターのよくある質問

メディオスターのよくある質問

最後に、本文で扱いきれなかった単発の疑問をまとめます。制度上の扱いに関わるものと、機器そのものについての疑問を中心に整理しました。

メディオスターで硬毛化は起こる?

起こりうる範囲にあります。両機種の電子添文が、照射部位および照射周囲部の多毛化や硬毛化を含む有害事象が発生する可能性を、治療前に患者へ説明する事項として明記しています。有害事象の一覧にも「硬毛化、増毛化」が挙げられています。

推測ではなく添付文書に書かれている内容なので、起こりうる現象として説明を受けたうえで、起きたときにどう対応するかを確認しておくのが実務的です。特定の機種に固有の現象として語られることがありますが、この記事の一次出典に機種ごとの発生率を比べた記載はありません。

硬毛化そのものの詳しい情報や対処の考え方は、硬毛化のリスクと対処をまとめた記事で整理されています。この記事では、電子添文に記載がある事実の提示にとどめます。

メディオスターモノリスはシミやニキビにも使える?

承認上の使用目的には含まれていません。電子添文が定めているのは「レーザの選択的熱作用により、長期的な減毛を目的とした装置である」という一文で、シミやニキビ、美肌といった目的はこの範囲に入りません。

検索候補にこれらの言葉が並ぶのは、脱毛と同じ機器で肌への施術ができるのではないかという関心があるためでしょう。ただし、承認されている使用目的から外れる効果を、この記事で示すことはできません。肌の悩みでレーザー照射を検討する場合は、脱毛のついでではなく肌の相談として診察を受けるのが筋の通った進め方になります。

メディオスターでひげ(髭)は脱毛できる?

承認上の使用目的は部位を限定していないため、部位として除外されているわけではありません。ただし毛が密集する部位ほど熱が集まりやすく、電子添文の注意の対象にも入ります。この関係は本文で見てきたとおりです。

ひげの脱毛の進め方や、通う頻度の考え方は、ひげ脱毛についてまとめた記事のほうが詳しく扱っています。この記事では、機種側から見た条件の整理にとどめます。

メディオスターの施術でジェルは使う?

どちらの電子添文も、ジェルを使うかどうかには触れていません。冷却について書かれているのはペルチェ素子を利用した電子冷却方式で、冷やした皮膚冷却部を肌に接触させる方式だという説明までです。

そのため、施術でジェルを使うかどうかは資料からは決められず、院の運用によると考えるのが正確です。当日の流れが気になる場合は、カウンセリングで施術の手順を確認しておくとよいでしょう。

メディオスターは脱毛器として個人で購入できる?

個人が購入して使う機器ではありません。メディオスターは高度管理医療機器・特定保守管理医療機器・設置管理医療機器に指定されており、医師の管理下にある医療機関で使用することが前提の機器です。電子添文の警告欄にも、適応に関連する十分な知識と経験を持つ医師が、講習を受けるなどして技能と知識を得たうえで使用するよう記されています。

厚生労働省も、用いる機器が医療用であるかを問わず、レーザー光線などの強力なエネルギーを持つ光線を毛根部分に照射して毛乳頭や皮脂腺開口部などを破壊する行為は、医師が行うのでなければ保健衛生上の危害が生じるおそれのある行為であり、医師免許を持たない者が業として行えば医師法に違反すると通知しています。

なお、医療機関では医師の指示のもとで看護師などが診療の補助として照射を担当することがあります。これは医師以外が独断で施術できるという意味ではありません。

メディオスターとヤグレーザーを併用するケースはある?

照射のしかたを併用する記述であれば、診療指針にあります。蓄熱式脱毛について「上口唇や眉周囲など狭い照射部位では、ハンドピースを動かすことが十分にできないこともあり、高フルエンス、単射式脱毛と併用することもある」と記されており、狭い部位では別の照射のしかたを組み合わせる場合があるという説明です。

ただし、これは照射のしかたについての記述であって、メディオスターとヤグレーザーという機種同士の併用について書かれたものではありません。機種を組み合わせて使えるかどうかは院の設備と方針によるため、この記事では可否を断定しません。複数の機器を導入している院であれば、部位ごとの使い分けについて相談する余地があります。

よくある質問を電子添文に記載があることとないことに分けて整理した図
●そのほかによくある質問

ネクストプロとモノリスは、どちらを選べばよいですか?

効果の差を示す一次出典がないため、機種名だけで選ぶ材料はそろいません。どのハンドピースをどの区分で使う想定なのかを聞くほうが、施術の中身に近い判断ができます。

施術の前日までにやっておくことはありますか?

電子添文は治療前の日焼けを避けるよう定めています。自己処理の方法や当日の準備は院ごとに案内が異なるため、予約の時点で確認しておくとよいでしょう。

照射のあとに毛が濃くなったように見えることはありますか?

電子添文は多毛化や硬毛化を含む有害事象が起こりうると明記しています。気になる変化があった場合は自己判断せず、施術を受けた医療機関に相談してください。

メディオスターは日本人の肌でも使えますか?

モノリスの電子添文の推奨治療パラメータはFitzpatrickのスキンタイプごとに条件が示されており、備考には一般的な日本人が該当するスキンタイプはⅢ〜Ⅳと記載されています。実際に照射できるかどうかは診察での判断になります。

施術中に痛みが強いときは伝えてもよいですか?

電子添文は、施術する側が患者の反応を見ながら進めることを前提にした書き方をしています。感じたことを伝えるのは想定されている進め方にあたるので、そのまま共有して差し支えありません。

ここまで読んで、メディオスターがどういう機器で、何が分かっていて何が分かっていないのかは、輪郭が見えてきたのではないでしょうか。判断の軸は3つです。照射直後ではなく次に生えてくる毛で経過を見られるか。複数回を通いきれるか。自分の毛と肌の条件をカウンセリングで伝えられるか。機種名を確かめる段階から、運用の中身を聞く段階へ進むところが出発点になります。

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