2026.08.06
医療脱毛のカウンセリングで機種名を聞いたあと、スプレンダーXという名前を検索して調べている方は多いのではないでしょうか。照射を受けたのに毛が残っている、思っていたほど抜けなかった、といった感想も検索候補に並びます。
目次
同じ機種の話でも、書かれている内容が食い違って見えることがあります。医療機関やメーカーが説明のために使う言葉と、国が承認した文書に書かれている言葉とで、選ばれている語彙が違うためです。どこまでが公開資料で確かめられる話なのかを分けないまま読み比べると、判断の材料がそろいません。
そこでこの記事では、まず国の承認文書がこの機種をどう記述しているかを確認します。そのうえで、照射したのに毛が残っていると感じるときに何が起きているのかを、出力の設定・毛の性質・部位という3つの方向から切り分けていきます。この切り分けが本記事の中心で、記事の中盤に置きました。
あわせて、何回必要かという問いは照射の間隔とセットで扱う章を用意しています。実際に受けた人の口コミの傾向は、一次情報を読んだあとの後半でまとめました。他機種との違いが気になる方に向けた比較も、後半に独立した章があります。読みたい順で読み進めていただいてかまいません。
※本記事は公開されている添付文書や学会の診療指針などの一次情報をもとにした情報提供コンテンツです。特定のクリニックや機種の広告ではなく、効果の感じ方には個人差があります。施術の可否は診察を受けた医師の判断によります。
スプレンダーXは2波長を備えた医療用のレーザー脱毛器

※画像はイメージです。実際の機器の外観とは異なります。
スプレンダーXは、医療機関に設置して使うレーザー脱毛用の医療機器です。英字ではSPLENDOR Xと表記されます。独立行政法人医薬品医療機器総合機構が公開している添付文書によると、販売名は「SPLENDOR X レーザシステム」で、承認番号は30400BZX00021000と記載されています。
医療脱毛の現場で扱われる脱毛器には、レーザーを使うものと光を使うものがあります。この機種はレーザー側で、波長の異なる2つのレーザーを備えた構成が特徴として挙げられます。ただし後で触れるとおり、同じ承認番号のもとに1波長だけの構成も存在します。まずは承認上の基本情報から確認しましょう。
| 項目 | 添付文書の記載 |
|---|---|
| 販売名 | SPLENDOR X レーザシステム |
| 承認番号 | 30400BZX00021000 |
| 一般的名称 (主たるもの) | アレキサンドライトレーザ (JMDN 70631000) |
| 一般的名称 (従たるもの) | ネオジミウム・ヤグレーザ (JMDN 35940000) |
| 類別 | 機械器具31 医療用焼灼器 |
| クラス分類 | 高度管理医療機器・特定保守管理医療機器・設置管理医療機器 |
| 製造販売業者 | ルミナス・ビー・ジャパン株式会社 |
| 製造業者 | BIOS S.r.l. (イタリア) |
| 使用目的又は効果 | レーザの選択的熱作用による長期的な減毛を目的とした装置 |
参考: SPLENDOR X レーザシステム 添付文書 第3版|医薬品医療機器総合機構 (PMDA)
表は2025年5月に改訂された第3版の記載です。承認番号や販売名は機器を特定するための情報であって、施術の結果を約束するものではありません。
ここで先に押さえておきたい点があります。添付文書の概要には、アレキサンドライトレーザ単体、ネオジミウム・ヤグレーザ単体、もしくは両者の複合機として出荷することもあると書かれています。つまり同じ承認番号のもとに、1波長の構成と2波長の構成の両方が存在するということです。スプレンダーXを導入していると案内されていても、その院にある個体が2波長の複合機であるとは限りません。この点は、波長の使い分けを扱う章でもあらためて触れます。
薬事承認や厚生労働省の認可といった言葉の関係、機器の種類とサイズの違いについては、この章の各節で順に確認していきます。他機種との違いを知りたい方に向けては、冷却方式とレーザーの種類を軸にした比較の章を後半に用意しました。

スプレンダーXとは?製造販売元はルミナス・ビー・ジャパン
スプレンダーXは、レーザーの熱の作用によって長期的な減毛を行うことを目的として承認された、医療機関向けのレーザー脱毛器です。まずこの一文が、この機種の輪郭にあたります。
製造販売業者は、添付文書の表記でルミナス・ビー・ジャパン株式会社です。製造そのものはイタリアのBIOS S.r.l.が担っており、日本での製造販売を担う会社と、実際に機器を作る会社が分かれている構成になっています。日本語の記事で「ルミナスの脱毛機」と紹介されるのは、この製造販売業者を指した言い方でしょう。
なお承認された2022年の時点では、日本レーザー医学会が公開している承認レーザー機器の一覧表に、当時の社名である株式会社日本ルミナスの名前で記載されています。社名の表記が資料によって違って見えるのは、この経緯によるものです。
医療機器のクラス分類は高度管理医療機器で、あわせて特定保守管理医療機器と設置管理医療機器にも該当します。設置管理医療機器は、据え付けの作業や管理の基準が定められている区分です。持ち運んで使う機器ではなく、医療機関に設置して使う機器であることが、この区分からも読み取れます。
- ルミナス・ビー・ジャパン株式会社は、添付文書に記載された製造販売業者の正式な社名
- 製造業者はイタリアのBIOS S.r.l.で、製造販売業者とは別の会社
- 承認当時の一覧表では株式会社日本ルミナスと記載されており、時点によって社名表記が異なる
- 略した呼び方は公開資料の表記ではないため、資料を探すときは正式な社名で当たるほうが早い
スプレンダーXが搭載するアレキサンドライトとヤグレーザー(YAG)
添付文書の原理の欄には、本品は755nm及び1064nmの2波長のレーザを照射するフラッシュランプ励起式のアレキサンドライトレーザ及びネオジミウム・ヤグレーザ装置であると記載されています。フラッシュランプ励起式とは、ランプの光を当ててレーザーを発生させる方式のこと。この2つの波長が、スプレンダーXという名前とセットで語られます。
755nmはアレキサンドライトレーザーの波長です。ロングパルスアレキサンドライトレーザーは、脱毛用のレーザーとしては日本で早くから使われてきた種類にあたります。もう一方の1064nmはネオジミウム・ヤグレーザーの波長で、ヤグレーザーやYAGレーザー、Nd:YAGレーザーとも表記されます。
| 項目 | アレキサンドライトレーザ | ネオジミウム・ヤグレーザ |
|---|---|---|
| 波長 | 755nm | 1064nm |
| 表記のゆれ | アレキサンドライト・LPA・アレキ | ヤグレーザー・YAG・Nd:YAG |
| 添付文書上の位置づけ | 主たる一般的名称 | 従たる一般的名称 |
| JMDNコード | 70631000 | 35940000 |
| 励起の方式 | フラッシュランプ励起式 | フラッシュランプ励起式 |
表は添付文書の記載を並べたものです。名称と波長の対応を確認するための表であり、どちらが優れているかを示すものではありません。
なお主たる一般的名称と従たる一般的名称という並びは、その機器がどの種類の機器として登録されているかを示す情報です。スプレンダーXはアレキサンドライトレーザが主で、ネオジミウム・ヤグレーザが従という登録になっています。2つの波長をどう使い分けるのか、その利点がどこにあるのかは、脱毛効果を扱う章であらためて整理します。

スプレンダーXは厚生労働省の認可ではなく薬事承認?使用目的の範囲
検索候補には認可という語も並びますが、医療機器の手続きを指す言葉としては承認が正しい表記です。法令上の正式な呼び方は医薬品医療機器等法にもとづく製造販売承認で、業界では薬事承認と略されます。
医療機器には、基準に適合していることを第三者機関が確認する認証で足りるものと、審査を経て国の承認を受ける必要があるものがあります。スプレンダーXは審査を経て承認された側にあたり、添付文書には承認番号が記載されています。承認年月日は、日本レーザー医学会が公開している承認レーザー機器の一覧表で令和4年1月27日と確認できます。
参考: 承認レーザー機器一覧表 (2021年度 新規承認レーザー機器)|日本レーザー医学会
そして本記事全体の土台になるのが、使用目的の欄です。添付文書にはレーザの選択的熱作用による長期的な減毛を目的とした装置と書かれています。承認されている使用目的は減毛だけで、それ以外の目的は記載されていません。
- 承認されているのは長期的な減毛という目的であり、脱毛の仕上がりを保証する記載ではない
- 使用目的の欄に書かれていない用途は、承認の範囲の外にある
- 承認の有無で分かるのは、その機器を国内で正規に扱えるかどうかまで
- 同じ機種を置いていても照射の設定は施術する側が決めるため、承認情報だけで結果は読めない
さらに添付文書には承認条件も付いています。求められているのは、本品の適応に十分な知識と経験を持つ医師が、講習の受講などによって使用の技能と合併症の知識を得たうえで使うこと。関連学会と連携して必要な措置を講ずることも、条件に含まれます。機器そのものだけでなく、扱う側の条件まで承認の一部として書かれている点は、読んでおいて損のないところでしょう。
スプレンダーXの種類は1.0から2.0まであり本体サイズが違う
スプレンダーXには世代の違う本体があります。添付文書の寸法及び重量の欄には、SPLENDOR X 1.0とSPLENDOR X 1.9・SPLENDOR X 2.0で本体の寸法と重量が別々に記載されています。
| 構成品 | 寸法 (幅×奥行×高さ) | 重量 |
|---|---|---|
| SPLENDOR X 1.0 | 470×1100×1040mm | 180kg |
| SPLENDOR X 1.9・SPLENDOR X 2.0 | 855×520×1315mm | 190kg |
| Cryo 6 冷却装置 | 390×680×645mm | 77kg |
表は添付文書の寸法及び重量の欄にある記載です。寸法と重量は設置に関わる情報であり、照射の性能を示すものではありません。
ここで書けるのは、世代によって本体の大きさと重さの記載が違うという事実までです。添付文書には世代ごとの性能を比較した記載がないため、1.0と2.0でどちらが強いといった性能差を公開資料から言うことはできません。世代の新しさを効果の差として説明している記述を見かけたときは、出所が示されているかを確かめてください。
冷却を担うCryo 6は本体とは別の筐体で、77kgという重量からも分かるとおり据え置きの装置です。この冷却装置が何をしているのかは、方式を扱う次の章で確認します。
なお、この機器は高度管理医療機器かつ設置管理医療機器にあたり、医療機関に設置して医師の管理のもとで扱われる装置です。
スプレンダーXは何式?熱破壊式かどうかをパルス幅や冷却から解説

何式かという問いは、機種を調べるときによく出てきます。ただしこの問いにそのまま答える前に、添付文書には熱破壊式・蓄熱式・SHRという語がひとつも登場しないという事実を先に置いておきます。
そのうえで、この見出しが挙げているパルス幅と冷却について補足があります。パルス幅も冷却も、添付文書に記載がある事実です。いっぽうで、これらは熱破壊式か蓄熱式かという分類を判定するための材料ではありません。冷却方式がこうだから熱破壊式である、という論の運び方は公開資料からは導けないため、本記事では採りません。分類の名前ではなく、添付文書に書かれている作動の中身から確認していきましょう。
添付文書が作動原理として書いているのは次の内容です。毛幹及び毛根のメラニンへの選択的熱作用並びにその輻射熱による毛包の選択的破壊により、長期的な減毛を行う装置である、という記述です。メラニンが熱を受け、その熱が周囲に伝わって毛包が壊されるという機序が、承認文書の言葉で書かれているところまでが確かめられる範囲になります。
照射のしかたについても、添付文書は3通りを規定しています。波長755nmのアレキサンドライトレーザの単独照射、波長1064nmのネオジミウム・ヤグレーザの単独照射、あるいはそれらを順次連続して皮膚に照射するシーケンシャル照射です。2つの波長を順に続けて撃つのがシーケンシャル照射で、同時に撃つという記載は添付文書にありません。
| 照射モード | パルス幅 | 推奨フルエンス | スポットサイズの上限 |
|---|---|---|---|
| アレキサンドライトレーザ単独照射 | 3ms | 7〜15 J/cm² | スクエア20×20mm・ラウンド24mm |
| ネオジミウム・ヤグレーザ単独照射 | 3〜20ms | 9〜20 J/cm² | スクエア20×20mm・ラウンド24mm |
| シーケンシャル照射 | 合計6〜23ms | 合計9〜23 J/cm² | スクエア27×27mm・ラウンド30mm |
表は添付文書の推奨治療パラメータ表にある記載です。フルエンスは推奨値であって、装置の最大出力を示すものではありません。スキンタイプやチップの種類によって設定できる範囲は変わります。
この表で目を引くのが、シーケンシャル照射のパルス幅が合計6〜23msと書かれている点です。アレキサンドライトレーザの3msとネオジミウム・ヤグレーザの3〜20msを足した値になっていることが、2つの波長を時間差で順に照射していることの裏づけになります。フルエンスも同じように、それぞれの値と合計値が別の列で規定されています。

スプレンダーXのパルス幅や照射モードは蓄熱式にあてはまるか
蓄熱式にあてはまるかという問いに答えるため、確かめられることを順に並べます。まず添付文書に記載がある事実から見ていきます。
- アレキサンドライトレーザのパルス幅は3msで固定して記載されている
- ネオジミウム・ヤグレーザのパルス幅は3〜20msの範囲で記載されている
- 照射モードは755nm単独・1064nm単独・シーケンシャルの3通りが規定されている
- 作動原理はメラニンへの選択的熱作用と輻射熱による毛包の選択的破壊と記載されている
次に、蓄熱式と呼ばれる照射のしかたが学会の資料でどう扱われているかです。5学会共同でまとめられた美容医療診療指針は、蓄熱式について独立した項目を立てており、比較試験の結果を紹介しています。低い出力の照射を重ねながらハンドピースを動かしていく方式で、一発ごとに高い出力を与える単発式と対比して論じられています。以下に並べるのはいずれも、スプレンダーXとは別の機種を用いた比較試験の報告値です。
| 報告 | 対象 | 脱毛率 (蓄熱式 / 単発式) | 痛みのVAS (蓄熱式 / 単発式) |
|---|---|---|---|
| Braun | Fitzpatrick I〜Vの女性25名・6〜8週ごと5回 | 86% / 91% | 3 / 5 |
| Li ら | Fitzpatrick III〜Vの中国人女性98名・4週ごと4回 | 90.2% / 87% (有意差なし) | 2.75 / 6.75 |
| Koo ら | 6〜8週ごと5回 | 脱毛効果に有意差なし | 蓄熱式が有意に低い |
表の数値はいずれも別機種を用いた比較試験の報告値であり、スプレンダーXで測定された値ではありません。対象者のスキンタイプや照射の回数も試験ごとに異なります。
ここまでを踏まえたうえでの結論は、分類の名前で断定はできないというものになります。添付文書に熱破壊式・蓄熱式・SHRという語がない以上、公開されている承認文書を根拠にどちらだと言い切ることはできません。書けるのは、パルス幅がミリ秒の単位で規定されていること、照射モードが3通りであること、機序が毛包の選択的破壊と記載されていること、という事実の並びまでです。
もうひとつ注意しておきたい読み間違いがあります。単独照射とシーケンシャル照射という区別は、どの波長を使うかという軸の話です。いっぽう蓄熱式と単発式の対比は、エネルギーをどう与えるかという軸の話にあたります。軸が違うため、単独照射かシーケンシャル照射かという情報から蓄熱式かどうかを判定することはできません。
どの波長をどのパルス幅で照射する装置として承認されたのかを見るほうが、書かれていることの確からしさを測りやすいでしょう。方式の呼び名をめぐる話は、他機種との比較の章でもう一度触れます。
スプレンダーXの冷却は肌を守る冷風
スプレンダーXの冷却は、構成品のCryo 6冷却装置が担っています。添付文書の原理の欄には、Cryo 6は冷媒と熱交換機により室内の空気を冷却し、冷却された空気はクライオホースを通りハンドピースへ導かれると記載されています。つまり冷やした空気を吹きつける空冷の方式で、一般には冷風と呼ばれます。
冷却の強さは、推奨治療パラメータ表でクーリングレベル5〜7として規定されています。この範囲はスキンタイプやチップの種類を問わず共通で示されているものです。
| 項目 | 添付文書の記載 |
|---|---|
| 冷却の方式 | Cryo 6冷却装置による空冷 (室内の空気を冷却して送る) |
| 送風の経路 | クライオホースを通してハンドピースへ導かれる |
| クーリングレベル | 5〜7 |
| 装置の位置づけ | 本体とは別筐体の構成品 (390×680×645mm・77kg) |
| 冷却に関する禁止事項 | 静止の状態で及び局所的に冷気の放出を行わないこと |
冷却が何のために使われるのかは、学会の資料に説明があります。熱緩和時間とは、加わった熱がその組織から逃げていくまでの時間のこと。美容医療診療指針が引く整理では、毛包を破壊するために必要な照射時間は表皮の熱緩和時間より長くなるため表皮を傷める危険があり、冷却装置は表皮を保護する目的で使用されるとされています。肌を守るという表現は、この役割を読者の言葉に置き換えたものです。
いっぽうで、冷却には注意も併記されています。添付文書は、静止の状態で、及び局所的に冷気の放出を行わないことと定めており、その理由として凍傷又は過冷却のおそれを挙げています。有害事象の一覧にも冷気による凍傷が明記されています。冷風が当たり続けると肌の側に負担がかかるため、当て方に条件がついているということです。
さらに、冷気そのものに反応しやすい体質の方については慎重投与の対象になっています。冷気に対する物理アレルギー、凍傷、レイノー病、寒冷凝集素症などが列挙されており、これらに当てはまる場合は、医師の判断にもとづいて慎重に行うこととされている点に注意してください。
施術中に寒いと感じたという声が上がるのは、冷風を吹きつけながら照射する方式であることと無関係ではないでしょう。ただし冷却の強さは設定できる範囲が決まっているため、感じ方を含めて施術中に伝えておくと、進め方の相談がしやすくなります。冷却方式が他の機種とどう違うのかは、比較の章で差分だけを扱います。照射が終わったあとの冷却については、よくある質問で別に触れます。

スプレンダーXの脱毛効果は?レーザー脱毛で報告された減毛率から見る

どこまで毛が減るのかを知りたいという問いに、先に断っておきたいことがあります。スプレンダーXの添付文書には臨床成績の項目自体がなく、この機種で何%減ったという固有の報告値は公表されていません。承認番号や作動原理は公開されていても、減毛率の数字はそこに含まれていないということです。
そのため、ここから示すのはレーザー脱毛全般について報告されている値になります。機種を特定した数字ではない点を踏まえて読んでください。
| 報告 | 内容 | 報告された脱毛率 |
|---|---|---|
| Sadighha ら | 最終治療から6か月以上経過した時点のシステマティックレビュー | アレキサンドライト54.7%・ダイオード57.5%・Nd:YAG 42.3%・ルビー52.8% |
| Haedersdal ら | 444人を対象とした11件のRCTを含むレビュー | アレキサンドライトとダイオードは治療後6か月までに約50%の脱毛 |
| Russe ら | 2施設でLPA脱毛を受けた948人の追跡調査 | 最終治療から11.5±2年を追えた173人のうち152人 (87.9%) で脱毛状態が維持 |
上の値はいずれもレーザー脱毛全般について報告されたもので、スプレンダーXを用いた試験の値ではありません。対象者のスキンタイプや評価の時点も報告ごとに違います。
参考: 美容医療診療指針 (令和3年度改訂版) 第5章 脱毛治療|日本皮膚科学会
こうして並べると、公開されている数値のいずれもが、1回で毛がなくなることを示していないことが分かります。数字の大きさそのものより、複数回を前提とした報告になっているという構図のほうが、読者にとっての意味は大きいでしょう。
なお、治療の回数ごとに減毛率を並べた資料も存在します。ただしそれも別機種の添付文書に載る値であるため、回数と間隔を扱う章で表として整理します。この章では、機種を特定しないレーザー脱毛全般の水準までを押さえておいてください。

スプレンダーXは755nmと1064nmを毛質で使い分けられるのがメリット
2つの波長を備えていることの利点は、届き方と吸収されやすさが波長ごとに違う点にあります。美容医療診療指針は、それぞれの性質を次のように整理しています。
| 項目 | 755nm (アレキサンドライト) | 1064nm (Nd:YAG) |
|---|---|---|
| メラニンへの吸収 | 汎用される脱毛用レーザーの波長のなかで吸収率が高い | 色素選択性は低い |
| 深達性 | 深達性は劣る | 波長が長いため深達性に優れる |
| フルエンスの必要量 | 吸収率の高さゆえ高フルエンスは要さない | 深部で光熱作用を生じる |
| 施術時の疼痛 | 比較的軽度とされる | 他の機器よりやや強いとされる |
| 濃い肌での位置づけ | スキンタイプI〜V程度で適するとされる | スキンタイプが濃いIV〜VIで適するとされる |
表は指針の記述をまとめたものです。レーザー脱毛全般についての整理であり、スプレンダーXでの測定値ではありません。
言い換えると、メラニンによく吸収される波長と、深いところまで届きやすい波長を、毛や肌の状態に合わせて選べるというのが2波長を備える構成の考え方になります。どちらを使うかは毛の太さだけで決まるものではなく、毛包の深さや皮膚の色調も含めて医師が評価して判断します。
ただしここで、記事の冒頭に置いた但し書きが効いてきます。この機種は単体の波長だけを備えた構成でも出荷されうると添付文書に記されており、その個体では使い分けという発想自体が成り立ちません。受ける院の個体が1波長なのか2波長なのかは、カウンセリングで確かめておきたいところです。
スプレンダーXの効果が長期的な減毛と承認されている理由
承認上の使用目的が長期的な減毛と書かれていることには、中身があります。添付文書の重要な基本的注意には、治療前に患者へ説明して同意を得るべき事項として、複数回の治療が必要となるが、長期的な減毛が期待できることという一文が置かれています。
この一文は、有効性についての説明義務です。複数回という前提と、長期的な減毛という言い方の両方が、承認文書の側からあらかじめ規定されていることになります。1回の照射で完結する装置としては承認されていない、という読み方ができます。
- 使用目的の欄はレーザの選択的熱作用による長期的な減毛と記載されている
- 重要な基本的注意は複数回の治療が必要となることの説明を求めている
- 長期的な減毛という表現が、承認上の効果の言い方として使われている
- 同じ欄には、多毛化や硬毛化を含む有害事象が発生する可能性の説明も求められている
用語についても補足があります。美容医療診療指針は、欧米では脱毛 (hair removal) ではなく減毛 (hair reduction) という表記が一般的であるとしたうえで、日本ではレーザー脱毛という呼称が広く普及していることを考慮して指針では脱毛と表記すると述べています。日本語の脱毛という言葉が、承認文書の減毛より広い印象で使われている場面がある、ということです。
したがって効果の見立ては、毛が減っていく変化を複数回かけて積み上げるものとして持っておくのが、公開資料に沿った読み方になります。どの程度まで減るのかは個人差があるとされており、毛や肌の状態によって変わります。次の章では、その積み上げが思ったように進んでいないと感じるときに何が起きているのかを見ていきます。
スプレンダーXは効果ない?抜けないと感じる主な原因

照射を受けたのに毛が残っている。この感覚を「効果ない」という言葉で検索する方は少なくありません。ただし効果がない機種だという言い切りも、公開資料からは導けません。スプレンダーXという機種の側だけで説明できる話ではないためです。
そこでこの章では、抜けないと感じる状況を3つの方向に切り分けます。照射の出力の設定、毛そのものの性質、部位ごとの条件の3つです。自分のケースがどこに当てはまりそうかを見当づけられる形で並べていきます。
- 何回目の照射を終えた時点での感想なのか
- 照射のあと、どのくらいの期間を置いて見た状態なのか
- 残っている毛は太い毛なのか、細い毛や色の薄い毛なのか
- 部位はどこか。同じ日に照射した他の部位はどうか
- 出力やレベル、パワーといった設定について説明を受けているか
この5点は、いずれもこの章で扱う3つの方向に対応しています。順に見ていきましょう。
部位の話は範囲が広いため、この記事では脇や背中といった体の部位を中心に扱います。VIO・ヒゲ・顔・うなじについては、それぞれを主題にした記事で整理しました。部位ごとの事情を深く知りたい場合は、ハイジニーナを含むVIO脱毛の記事・髭の医療脱毛を主題にした記事・顔の医療脱毛を扱った記事・うなじの脱毛を扱った記事を参照してください。

スプレンダーXの出力の設定が弱いと毛が残りやすい
まず出力の設定です。ここで先に断っておくと、出力が弱いから毛が残るという因果を直接書いた一次ソースはありません。スプレンダーX固有の実測値も公表されていません。書けるのは、レーザー脱毛が成り立つ条件の側からの説明です。
レーザー脱毛は、毛のメラニンに熱を集めて周囲への影響を抑えながら毛包を狙う、選択的光熱融解という原理にもとづいて行われます。この原理には3つの条件があるとされています。目的とする色素に特異的に吸収される波長であること、目的とする細胞の熱緩和時間より照射時間が短いこと、そして目的とする細胞を破壊するのに十分なエネルギーであることの3つです。
| 条件 | 内容 | 機器側で対応する項目 |
|---|---|---|
| ① 波長 | 目的とする色素に特異的に吸収される波長であること | 755nm・1064nmの選択 |
| ② 照射時間 | 目的とする細胞の熱緩和時間より短い照射時間であること | パルス幅の設定 |
| ③ エネルギー | 目的とする細胞を破壊するのに十分なエネルギーであること | フルエンスの設定 |
表は渡辺晋一「レーザー治療の原理と応用」(日本レーザー医学会誌 19(4), 1998) が整理した3条件を、機器側の項目に対応させたものです。
3番目の条件が示しているのは、エネルギーが足りていなければ機序が成立しにくくなるということです。ここが、出力の設定と毛の残り方が結びつけて語られる背景にあたります。ただし、どのくらいの値であれば足りるのかは毛や肌の状態によって変わるため、一律の数字は示せません。
| 照射モード | 推奨フルエンス |
|---|---|
| アレキサンドライトレーザ単独 | 7〜15 J/cm² (スポットサイズにより7〜13・7〜12の記載もある) |
| ネオジミウム・ヤグレーザ単独 | 9〜20 J/cm² (スキンタイプ別に10〜20・10〜16・9〜15) |
| シーケンシャル照射 | 合計9〜23 J/cm² |
この値は添付文書が推奨として示す範囲であり、装置の最大出力ではありません。スプレンダーXの添付文書には最大照射エネルギーや最大フルエンスを示す性能の欄がなく、上限値を公開資料から確かめることはできません。
出力・レベル・出力レベル・パワー・強さ・設定といった言葉は、日常の会話ではほぼ同じ意味で使われます。いっぽう添付文書が規定しているのは、フルエンス (J/cm²)、パルス幅 (ms)、スポットサイズ (mm)、クーリングレベルという別々の項目です。強くしてほしいと伝えたときに何が変わるのかは項目によって違うため、どの項目の話をしているのかを揃えて相談すると話が通りやすくなります。
そして設定は、施術する医療機関の側が診察のうえで決めます。スキンタイプや部位、毛の状態、過去の反応を見ながら調整される項目であり、患者の側が数値を指定するものではありません。抜け方に納得がいかないときは、どの設定で照射したのか、次回に変える余地があるのかを確認するのが現実的な進め方になるでしょう。

スプレンダーXは産毛や白髪に効かない?毛の太さ・色で効果が変わる理由
次に毛そのものの性質です。レーザー脱毛が何を標的にしているかを押さえると、毛によって反応が変わる理由も見当がつくでしょう。
美容医療診療指針は、機序を次のように記述しています。レーザー脱毛のターゲットは毛の中に含まれるメラニンであり、レーザー光が毛に含まれるメラニンに達した場合、毛は100℃以上にまで上昇しその部分は気化する。ミリ秒単位の発振時間の場合、熱は周囲へと伝導し、毛包は壊死、熱凝固をきたす。この結果、毛包が破壊されることがレーザー脱毛の機序である、という説明です。
そして同じ段落の結びが、白髪についての明確な記述になります。このため、白髪や金髪に対するレーザー脱毛の効果はほとんどないと指針は述べています。標的がメラニンである以上、メラニンをほとんど持たない毛には作用が及びにくいという筋道です。
参考: 美容医療診療指針 (令和3年度改訂版) 収載ページ|Minds ガイドラインライブラリ
いっぽう産毛については、扱いが変わります。指針の第5章に産毛という語での言及はありません。もっとも近い記述は推奨文にあり、脱毛部位、毛包の深度、毛の太さや色調、皮膚の色調などの要素によっては脱毛効果が劣る場合や硬毛化を生じる可能性があるため、多様化した脱毛希望部位すべてに万能とは言えず注意を要する、というものです。
| 毛の状態 | 一次情報の記述 | 言い切れる度合い |
|---|---|---|
| 白髪・金髪 | 白髪や金髪に対するレーザー脱毛の効果はほとんどない (指針) | 指針が逐語で明示している |
| 細い毛・色の薄い毛 | 毛の太さや色調などの要素によっては脱毛効果が劣る場合がある (指針) | 劣る場合があるという書き方まで |
| 産毛 | 産毛という語での記述は指針にない | 効かないと断定できる根拠はない |
| 太い毛 | 別機種の添付文書の脚注に「太い毛の治療は長いパルス幅の使用を推奨する」と記載 | 設定側の対応として記載がある |
表の4行目は別機種であるジェントルマックスプロの添付文書の脚注にある記載で、細い毛の治療は短いパルス幅、太い毛の治療は長いパルス幅の使用を推奨する、と書かれています。スプレンダーXの添付文書には対応する記載がありません。
つまり、産毛には効かないという言い切りは公開資料の範囲を超えます。言えるのは、毛の太さや色調によって効果が劣る場合があると指針が述べていること、そして白髪と金髪については効果がほとんどないと明記されていることまでです。細い毛や色の薄い毛が残りやすいと感じるとしても、それが機種の性能の問題なのか毛の性質によるものなのかは、公開資料だけでは切り分けられません。
- 残っている毛は、周囲の毛に比べて細いか、色が薄いか
- 白髪が混じっている部位ではないか
- 太い毛のほうから先に反応が出ていないか
- 部位によって毛の太さが違わないか
これらは診察の場で医師が確認する項目でもあります。自分で判定するためのものではなく、相談するときの材料として持っておくと話が早くなります。
スプレンダーXは脇や背中など部位ごとに抜け方が変わる
3つ目の方向が部位です。ここで扱うのは毛の太さや密度が部位によって違うことで、照射の間隔にかかわる話は回数の章にまとめています。
指針の推奨文は、効果が劣る場合や硬毛化を生じる可能性がある要素として、毛の太さや色調と並べて脱毛部位と毛包の深度を挙げています。どこに生えている毛かによって、毛の太さも毛根の深さも変わるということです。
脇は太い毛が密に生えている部位として知られ、背中は面積が広く、部位のなかで毛の太さに幅がある場所です。同じ日に同じ機器で照射しても、部位ごとに手ごたえが違って感じられるのは、この差が背景にあると考えられます。どちらが効きやすいかを一般化して示した一次情報はないため、部位間の優劣として読むのは避けてください。
| 要素 | 内容 | 一次情報での扱い |
|---|---|---|
| 毛の太さ | 部位によって太さの傾向が異なる | 毛の太さは効果が劣る要素として指針が列挙 |
| 毛包の深度 | 毛根のある深さが部位で異なる | 毛包の深度も指針が列挙する要素のひとつ |
| 皮膚の色調 | 部位によって日焼けの程度などが異なる | 皮膚の色調も指針が列挙する要素のひとつ |
| 硬毛化との関連 | 部位によって生じやすさが違う可能性 | 好発部位を把握したうえで説明すべきと指針が記述 |
なお眉のまわりのように目に近い部位については、添付文書に部位ごとの可否を定めた記載がありません。照射するかどうかは診察した医師の判断によります。眉毛について書かれた公開資料が見当たらない以上、この記事で可否を示すことはできません。
同じ機器で同じ日に照射しても部位で差が出るという前提を持っておくと、1か所の手ごたえだけで全体を判断せずにすみます。残っている部位と反応している部位を分けて伝えることが、次回の設定を相談するときの材料になるでしょう。

スプレンダーXの照射後に毛が抜ける経過はポップアップ(ポロポロ)と呼ばれる

照射のあとに毛が押し出されるように抜けてくる、という現象は、施術の現場や口コミでポップアップやポロポロと呼ばれています。ここで呼び名の範囲を先にはっきりさせておきます。
ポップアップやポロポロという呼び名が指しているのは、毛が押し出されて抜けるという抜け方そのものです。赤みや毛嚢炎といった照射後に起こりうる肌の変化まで含めた、経過全体の呼称ではありません。この記事でも、抜け方を指す言葉として扱いました。
そしてもうひとつ。ポップアップ現象は、定義の定まった標準用語として確認できる呼び名ではありません。美容医療診療指針に脱落という語はなく、学会誌の側にも定義を与えた記述は見当たりませんでした。施術の現場や口コミで使われている呼び名として扱うのが、公開資料に沿った位置づけになります。
以下の表で毛数の変化として挙げるのは、スプレンダーXとは別の機種を用いた試験の報告値です。
| よくある問い | 一次情報で確かめられること |
|---|---|
| 何日で抜ける | 日数を示した日本語の一次情報は確認できていない |
| 何日後から変化が出る | 照射1週後の時点で毛数が有意に減少した報告がある (別機種の試験) |
| どれくらいで抜ける | 照射4週後の時点でも毛数の有意な減少が続いていた報告がある (別機種の試験) |
| いつから毛包に変化が起きている | 照射1か月後の組織学的検査でも障害が認められると指針が記述 |
2行目と3行目は別機種を用いた試験の報告値です。スプレンダーXで測定された値ではありません。
したがって、照射から何日で抜けると日数を言い切ることはこの記事ではしません。書けるのは毛数の変化として観察された時点と、組織の変化が確認された時点までです。抜けてこないことを不安に感じている方にとっては物足りない答えかもしれませんが、根拠のない日数を置くほうが判断を誤らせます。

スプレンダーXはいつ抜ける?レーザー脱毛で報告された1週後と4週後の毛数の変化
時間の経過について、実測が公表されている報告があります。スプレンダーXではなく別機種を用いた試験ですが、山田裕道ほか「レーザー脱毛時における皮膚症状の変化とスキンケアの有用性の検討」(日本レーザー医学会誌 46(2), 2025) です。
この報告の照射条件は、別機種のジェントルマックスプロと記載されています。そのうえで、下腿伸側の縦横5cm四方の枠内で毛の本数を数え、レーザー照射1週後と4週後に観察したところ、両側とも開始前に比べて有意に減少していたとされています。もともとは保湿剤の有用性を調べた試験で、保湿剤を塗った側と塗らなかった側で毛の減少率に有意差はなかったことも報告されています。
照射条件の詳細は、755nm・パルス幅3msec・8〜10 J/cm²・DCD on・スポット径18mmと記載されています。対象は15名。スプレンダーXを用いた試験ではありません。
参考: レーザー脱毛時における皮膚症状の変化とスキンケアの有用性の検討|日本レーザー医学会誌 (J-STAGE)
| 時点 | 観察された内容 |
|---|---|
| 照射1週後 | 枠内の毛数が開始前に比べて有意に減少 |
| 照射4週後 | 同じく開始前に比べて有意に減少 |
| 照射直後 | 外毛根鞘と結合組織性毛包の間の剝離・毛包上皮細胞の構造の乱れ (指針) |
| 照射1か月後 | 上記の障害が組織学的検査でも認められる (指針) |
組織の側からの報告もあります。これもスプレンダーXとは別の機器を用いた検討です。山田裕道「ロングパルスアレキサンドライトレーザー照射による毛幹,毛包組織変性の病理組織学的検討」(日本レーザー医学会誌 27(4), 2006) は、755nm・パルス幅3msec・30J/cm²の照射で、脂肪組織中にある下部毛包と毛球部の毛根鞘構造が破壊され、毛幹や内毛根鞘組織が脂肪組織中に逸脱している像が認められたと報告しています。表皮の構造はよく保たれていたとも記されています。
これらを合わせると、照射から1週間ほどの時点で毛数の変化が測定されており、1か月後の時点でも毛包側の変化が残っているというところまでが、公開されている報告の範囲になります。個々の毛がいつ抜けるかは個人差があるとされ、部位や毛の状態によっても変わります。
スプレンダーXの効果は1回目からいつ実感できるか
1回目の照射のあと、どのくらいで変化を感じられるのかという問いも多く見られます。ここでは時間の軸に絞って整理します。どこまで減るのかという量の話は、回数を扱う章で受けます。
時間の軸で言えることは、前の節で見た報告が土台になります。別機種を用いた試験では、照射1週後の時点ですでに毛数の有意な減少が測定されていました。ただしこれは枠内の本数を数えた測定値であって、鏡を見たときの印象と一致するとは限りません。
- 残っている毛が細い毛や色の薄い毛だと、本数が減っていても見た目の変化を感じにくい
- 部位によって毛の太さや密度が違うため、同じ日の照射でも実感の出方が揃わない
- 照射のあと何日目に見たかによって、抜け落ちた毛の量が違う
- スキンタイプや設定の条件が人によって異なる
効果の章で見たとおり、添付文書は治療前の説明事項として複数回の治療が必要になることを挙げていました。1回で完結する前提は、承認文書の側にも置かれていません。1回目のあとの実感が想定より小さかったとしても、それだけで機器や設定の問題と判断する材料にはなりません。
いっぽうで、想定と違う状態が続くのであれば、その状態を医療機関に伝える価値はあります。いつ照射して、いつの時点でどう見えるのかを記録して持っていくと、次の照射の設定を相談するときの材料になります。実感の出方が量としてどうなのかは、次の章の報告値と合わせて読んでください。
スプレンダーXは何回必要?照射の間隔とあわせて確認

何回必要かという問いに、先に置いておくべき前提があります。スプレンダーXの添付文書には、治療間隔・回数・毛周期という語が全文をとおして出てきません。この機種として推奨される回数や間隔は、公開されている承認文書に書かれていないということです。
そのため、この章で示す回数と間隔はいずれも別の機種や別の試験の報告値になります。回数の見積もりと通う期間の見当をつけるための材料として読んでください。1回目・5回・10回といった区切りで語られる話も、出所を分けて確認していきます。

スプレンダーXの1回や3回で毛はどこまで減るか
ここでも先に断っておきます。スプレンダーX固有の回数別データは存在しません。添付文書に臨床成績の項目自体がないためです。以下に挙げるのは、別の機種や別の研究で報告された値です。
まず回数別の減毛率です。別機種であるジェントルレーズプロの添付文書に載っている臨床成績で、前世代品を用いた米国での試験の結果にあたります。毛が茶色又は黒色のFitzpatrickスキンタイプI〜IVの男女が対象で、減毛率は単位面積あたりの減少した毛の数を治療前の毛の数で割った値として定義されています。
| 治療回数 | 減毛率 | 観察期間 | 評価症例数 |
|---|---|---|---|
| 単回治療 | 51.4±12.7% | 18ヶ月 | 8例 |
| 2回治療 | 48.7% | 9ヶ月 | 1例 |
| 3回治療 | 73.7±32.0% | 12ヵ月 | 7例 |
この表は別機種であるジェントルレーズプロの添付文書に記載された臨床成績で、スプレンダーXの成績ではありません。評価症例数が1〜8例と少なく、標準偏差も大きい試験である点を数字と一緒に見ておく必要があります。この機種そのものを詳しく知りたい方は、ジェントルレーズプロを主題にした記事で扱っています。
もうひとつ、実際の臨床でどのくらいの回数が重ねられたかを示す報告があります。Raoらのロングパルスネオジミウム・ヤグレーザーを用いた研究で、美容医療診療指針が引用しています。Fitzpatrickスキンタイプ IV〜VIの150名を対象に、被験者が満足のいく脱毛に達したら中止するという設計で行われました。
| 項目 | 報告値 |
|---|---|
| 平均治療回数 | 8.9回 |
| 回数の範囲 | 4〜22回 |
| 平均脱毛率 | 54.3% |
| 対象 | Fitzpatrickスキンタイプ IV〜VIの150名 |
| 照射間隔 | 顔は4週ごと・他の部位は6週ごと |
この値はRaoらのネオジミウム・ヤグレーザーを用いた研究の報告であり、スプレンダーXの回数ではありません。対象者のスキンタイプが日本人に多い層とは異なる点にも注意が必要です。
- 単回の報告値も3回の報告値も、毛がなくなった状態を示すものではない
- 満足まで続けた研究では、平均で8.9回・幅は4〜22回と報告されている
- 回数の幅がこれだけ広いということは、必要な回数に個人差があるということでもある
- 数字はいずれも観察の時点と対象者の条件がセットで示されている
5回や10回という区切りで語られる話も、出どころは同じ構図です。特定の回数で完了すると示した一次情報は見当たりません。回数の見積もりは、部位や毛の状態を診たうえで医療機関が示すものとして受け取るのが現実的でしょう。
スプレンダーXは何ヶ月おきに照射する?部位別の毛周期の長さ
間隔についても、スプレンダーXとして推奨される値は公開されていません。ここでは2種類の資料を並べます。毛周期の長さについての報告と、別機種の添付文書に書かれた治療間隔です。
先に断っておくと、この2つを因果でつなぐことはしません。美容医療診療指針の第5章には毛周期という語が出てこないため、毛周期があるから何ヶ月あけるという論証を、公開されている指針から組み立てることができないためです。あくまで並べて示すにとどめました。
毛周期そのものについては、今川孝太郎・宮坂宗男「光が皮膚に与える影響」(日本レーザー医学会誌 32(4), 2012) に記載があります。これは脱毛機の機種とは関係なく、毛そのものの周期を扱った報告です。スプレンダーXで測定された値ではありません。毛は成長期・退行期・休止期の順に移行を繰り返すとされ、一般的に成長期は数年間、その後2〜3週間の退行期、数か月の休止期の後に再び成長期に入ると説明されています。そのうえで、周期の長さは部位によって異なると報告されています。
| 部位 (機種とは無関係な毛周期の報告) | 毛周期の長さ |
|---|---|
| 頭髪 | 3〜4年 |
| 腋窩 | 5〜7ヶ月 |
| 背部・大腿 | 6〜12ヶ月 |
| 前腕 | 4〜7ヶ月 |
| 下腿 | 7〜9ヶ月 |
表は今川2012の記述にある値です。毛周期の長さそのものの報告であり、照射の間隔を定めたものではありません。毛周期をもう少し詳しく知りたい方は、毛周期と脱毛の関係を扱った記事を参照してください。
いっぽう治療の間隔については、別機種であるジェントルマックスプロの添付文書に部位別の目安が記載されています。
| 部位 | アレキサンドライトレーザ | ネオジミウム・ヤグレーザ |
|---|---|---|
| 顔 | 4〜6週間 | 4〜6週間 |
| 体幹 | 6〜8週間 | 6〜8週間 |
| 脚 | 10〜12週間 | 8〜12週間 |
この表は別機種であるジェントルマックスプロの添付文書の値です。スプレンダーXの推奨間隔として書かれたものではありません。
参考: 長期減毛・皮膚疾患用レーザー装置 GentleMax Pro 添付文書 第7版|医薬品医療機器総合機構 (PMDA)
また、指針が引用している臨床研究の照射間隔も参考になります。いずれもスプレンダーXとは別の機種を用いた試験です。試験デザインとして採用された間隔で、Raoらは顔4週ごと・他の部位6週ごと、Liらは4週ごとに4回、Kooらは6〜8週ごとに5回、Royoらは2か月ごとに5回と報告されています。いずれも試験の設計値であり、推奨として提示されたものではありません。
こうして並べてみると、別機種の添付文書では顔より脚のほうが間隔を長く設定していることが読み取れます。ただしこの差を面積や毛周期で説明できる記載はなく、何ヶ月おきにするかは診察した医師が決めます。案内された間隔がこれらの値と違っていても、それだけで誤りとは言えません。

スプレンダーXの全身脱毛にかかる期間はメンズ脱毛でも同じか
全身脱毛にかかる期間について、まず範囲の話から整理します。
全身と呼ばれる範囲には、顔まわりから脚まで性質の違う部位が含まれます。前の節で見たとおり、別機種の添付文書では部位によって治療間隔が4〜6週間から10〜12週間まで幅を持って記載されていました。部位ごとに次の照射までの間隔が違うということは、全身をひとつのスケジュールで回そうとすると、部位によって待ち時間の使い方が変わるということでもあります。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 回数 | Raoらが別機種のロングパルスネオジミウム・ヤグレーザーを用いた研究で平均8.9回・範囲4〜22回と報告 |
| 間隔 | 部位により4〜6週間から10〜12週間の記載がある (別機種の添付文書) |
| 部位の数 | 全身に含める部位の範囲は院のプランによって異なる |
| 個人差 | 毛の太さや色調・皮膚の色調によって効果の出方が変わるとされる |
回数と間隔の値は別の機種・別の研究の報告であり、スプレンダーXとして示された値ではありません。この表は掛け算で期間を確定させるためのものではなく、幅が生まれる要素を並べたものです。
次に、対象者の話に移ります。メンズ脱毛でも同じかという問いについては、男女差を示した一次情報を確認できていません。そのため本記事では、性別を軸にした結論は置かず、確認できる範囲にとどめます。
確かめられるのは、効果の出方に関わる要素として指針が挙げているのが、いずれも性別ではなくその人のその部位の状態を指す項目だという点です。男性に多いとされる部位の毛の太さについても、公開資料に数値の裏づけがある記述は見当たりませんでした。
したがってここで言えるのは、性別を軸にした断定を公開資料から組み立てることはできないという点までになります。男性向けのプランが別に用意されている院は多くありますが、それは扱う部位の組み合わせの違いであって、機器の効き方の違いを示すものではありません。
スプレンダーXの値段や料金の相場に幅がある理由
回数と間隔を検討したうえで、費用の構造を確認しておきます。回数が人によって変わるということは、支払う総額も変わるということだからです。
まず制度の側から。山田2015の緒言には、レーザー脱毛は保険適用外であると明記されています。保険が使えないということは、価格が公定されていないということでもあります。自由診療では、医療機関がそれぞれ価格を設定します。
| 幅が生まれる要因 | 内容 |
|---|---|
| 保険適用の有無 | レーザー脱毛は保険適用外であり価格が公定されていない |
| 部位の範囲 | 全身・部分・セットなど、対象に含める部位の組み合わせが院ごとに違う |
| 回数の設計 | 何回分をひとまとめにするかによって表示される金額の意味が変わる |
| 支払い方の設計 | 一括のコースか、1回ごとの支払いかで表示のしかたが変わる |
| 追加の項目 | 麻酔や薬剤などの扱いが料金に含まれるかどうかは院によって異なる |
値段・価格・料金・相場・いくら・都度払い・安いといった言葉は、検索するときはほぼ同じ意味で使われます。ただし比較するときには、それぞれが何を指しているのかを揃える必要があります。1回分の金額なのか、コース全体の金額なのか。都度払いは1回ごとに支払う方式を指す言い方で、コース料金と単純に並べると比べたことになりません。
この記事では、具体的な金額やクリニックごとの料金表は扱いません。自由診療の価格は改定されることがあり、条件によっても変わるためです。総額を見積もるときは、回数・部位の範囲・支払い方の3つを揃えて比べると、表示されている金額の意味が読み取りやすくなります。保険が使えるかどうかという可否そのものは、記事の最後のよくある質問でもあらためて答えています。
スプレンダーXのデメリットは照射中の痛みと照射後の肌トラブル

デメリットとして挙がるのは、大きく分けて照射中に感じる痛みと、照射のあとに起こりうる肌の変化です。どちらも公開資料に記載があります。
美容医療診療指針は、レーザー脱毛後の一般的な合併症として毛囊炎、熱傷 (水疱・痂皮)、炎症後色素沈着、色素脱失、瘢痕などの発生が報告されていると述べています。添付文書の側にも、その他の有害事象として一覧が置かれています。
| 出典 | 記載されている内容 |
|---|---|
| 美容医療診療指針 | 毛囊炎・熱傷 (水疱・痂皮)・炎症後色素沈着・色素脱失・瘢痕 |
| スプレンダーXの添付文書 | 熱傷・冷気による凍傷・水疱形成・痂皮形成・色素沈着・色素脱失・瘢痕形成・紫斑・紅斑・浮腫・掻痒感・毛孔一致性の炎症・毛嚢炎・照射部位及び照射周囲部の多毛化や硬毛化 |
表は記載されている項目を並べたもので、発生する頻度を示すものではありません。起こりうる事象として文書に載っているという意味です。
一覧の最後にある多毛化や硬毛化については、添付文書が治療前の説明事項としても定めています。レーザ照射により照射部位及び照射周辺部の多毛化や硬毛化を含む有害事象が発生する可能性があることを説明し、同意を得たうえで治療を行うこと、という内容です。指針も硬毛化について、発生原因が明確ではなく対処方法も確立されていないと述べています。硬毛化については硬毛化を扱った記事で詳しく整理しているため、この記事では言及にとどめます。
以下の各節では、痛みの側と肌の変化の側を分けて見ていきましょう。

スプレンダーXは痛すぎる?くすぐったいと感じる部位もある
痛みの感じ方には幅があります。まず言葉の出どころを分けておきます。くすぐったいという表現は、本記事が参照した添付文書・診療指針・J-STAGE掲載論文のいずれにも出てきません。この記事では、口コミに見られる表現として扱いました。
いっぽう痛みの程度そのものについては、資料があります。美容医療診療指針は波長ごとの傾向を記述しており、ロングパルスアレキサンドライトレーザーについては施術時の疼痛が比較的軽度とされています。メラニンへの吸収率の高さゆえ高いフルエンスを要さないこと、表皮損傷の対策として照射時のクーリングが必要とされる点が疼痛の軽減にも寄与すると説明されています。
ネオジミウム・ヤグレーザーについては記述が変わります。安全性は比較的高いとしたうえで、疼痛については他の機器よりやや強いとされ、疼痛コントロールに配慮するとも書かれています。
| 波長 | 疼痛についての記述 |
|---|---|
| 755nm (ロングパルスアレキサンドライト) | 施術時の疼痛が比較的軽度とされる |
| 1064nm (ネオジミウム・ヤグ) | 他のレーザー機器よりやや強いとされ疼痛コントロールに配慮 |
| 810nm前後 (ダイオード) | ネオジミウム・ヤグとの比較試験で痛みが少なかったという報告がある |
表はレーザー脱毛全般についての指針の記述であり、スプレンダーXでの測定値ではありません。
スプレンダーXは2つの波長を備えた構成であるため、どちらの波長で照射するかによって痛みの感じ方が変わる可能性があります。ただしどちらをどの場面で使うかは施術する側が決めるため、受ける前から感じ方を予測することはできません。
部位による違いについても、痛みを数値で部位別に一般化した資料は見当たりませんでした。くすぐったいと感じたという声が出やすい部位があるとしても、それは口コミの傾向であって一次情報の裏づけがあるものではありません。痛みが強いと感じたときに何ができるのかは、次の節で麻酔の話として扱います。
スプレンダーXは麻酔クリームありと麻酔なしでレーザー脱毛の痛みがどう変わるか
麻酔クリームの効果については、日本人を対象にした報告があります。山田裕道「外用局所麻酔剤リドカイン・プロピトカイン配合クリームのレーザー脱毛時における有用性の検討」(日本レーザー医学会誌 36(1), 2015) です。
はじめに明示しておきます。この試験はスプレンダーXを用いたものではありません。使われたのはロングパルスアレキサンドライトレーザー (波長755nm・パルス幅3ミリ秒) で、平均フルエンスは17.1±2.8 J/cm²と記載されています。別の機器を用いた試験の値として読んでください。
試験の設計は、左右対称の有毛部位の片側に麻酔クリームを塗り、反対側は塗らずに照射して比較するというものです。対象はのべ51名 (男性15名・女性36名)、年齢17〜51歳で、平均31.7±11.7歳と報告されています。
| 項目 | 塗布側 | 非塗布側 |
|---|---|---|
| VAS (0〜100mm) | 10.3±16.7mm | 37.6±25.6mm (P<0.001) |
| VRSで痛みを感じなかった割合 | 78.4% | 0% |
| VRSで少し痛いと回答した割合 | — | 70.6% |
| 有意差が確認された部位 | 下腿・腋窩・前腕・顔面 | — |
この数値はスプレンダーXを用いた試験の値ではありません。別の機器・別の条件で行われた比較試験の報告値です。
参考: 外用局所麻酔剤リドカイン・プロピトカイン配合クリームのレーザー脱毛時における有用性の検討|日本レーザー医学会誌 (J-STAGE)
塗り方の条件も具体的に記載されています。レーザー照射開始の約1時間前に、治療部位のほぼ中央の約100cm²の皮膚に本剤10gを塗布し、ポリエチレンフィルムで密閉するという手順です。治療面積が狭い場合は1g/10cm²の見当で減量し、1回の治療につき最大の使用量は10gとされています。1時間前に塗って密閉するという条件がある以上、当日その場で希望して即座に使えるとは限りません。なお上の数値は試験の条件であって、実際に使う薬剤の種類・量・手順は診察した医師の指示によります。
- 塗布から照射まで約1時間の待ち時間が設計に含まれている
- 1回の治療につき使える量に上限がある
- レーザー脱毛が保険適用外であるため、麻酔クリームの使用も保険適用外になる
- 副作用と思われる所見は認められなかったと報告されているが、使用の可否は医師が判断する
なお報告では、この薬剤の塗布による副作用と思われる所見は認められなかったとされています。ただし判断は診察した医師が行うものであり、体質や併用薬によって扱いは変わります。
スプレンダーXで起こりうるやけどや赤み・肌荒れなど
照射のあとに起こりうる肌の変化について、記載されている範囲を確認します。この章の冒頭で挙げた合併症と有害事象の一覧が土台です。
やけどにあたるのが熱傷で、指針では水疱や痂皮を伴う場合があるとされています。赤みは添付文書の一覧にある紅斑にあたり、浮腫や掻痒感も並んで記載されています。肌荒れという言い方でまとめられがちな変化は、これらの項目に分かれて書かれているということです。
| よく使われる言い方 | 公開資料での記載 |
|---|---|
| やけど | 熱傷 (水疱形成・痂皮形成を伴う場合がある) |
| 赤み | 紅斑 |
| 腫れ | 浮腫 |
| かゆみ | 掻痒感 |
| 肌荒れ・ぶつぶつ | 毛孔一致性の炎症・毛嚢炎 |
| しみのような色の変化 | 色素沈着 (炎症後色素沈着) |
| 色が抜ける | 色素脱失 |
ここで注意したいのが頻度です。これらがどのくらいの割合で起こるのかを、スプレンダーXについて示した資料はありません。参考になるのは別の研究で、指針が引くRaoらの報告では、Fitzpatrickスキンタイプ IV〜VIの150名のうち14%の患者に合併症が見られたが多くは色素沈着で一過性であったとされています。これは別のレーザーを用いた研究で、対象のスキンタイプも日本人に多い層とは異なります。
乾燥についても報告があります。別機種であるジェントルマックスプロを用いた山田2025では、レーザー照射面は未処理の面より重層剥離度が高く、角層のターンオーバーの異常が生じていることが示唆されたと述べられています。あわせて、保湿剤を塗った側は角層の水分量が有意に高く、乾燥と掻痒のスコアが有意に低かったとも報告されました。
照射のあとに何をするかは、施術した医療機関の指示に従ってください。日焼けを避ける指示も出るため、照射前の条件を扱う次の章とあわせて確認しておくとよいでしょう。
スプレンダーXで毛穴や黒ずみが目立つと感じるのはなぜか
毛穴が目立つという言い方も、検索候補によく出てきます。ここも出どころを分けておきます。毛穴が目立つという表現も、本記事が参照した添付文書・診療指針・J-STAGE掲載論文には見当たりません。前に触れたくすぐったいという表現と同じく、口コミに見られる言い方として扱います。
そのうえで、近い内容が書かれている項目はあります。添付文書の有害事象の一覧にある毛孔一致性の炎症と毛嚢炎です。毛孔一致性という語は、毛穴の位置に一致して起こる変化を指しています。毛穴のまわりに変化が出ることがある、という記載自体は公開資料の側にも存在しました。
いっぽう黒ずみについては、対応する記載がはっきりしています。炎症後色素沈着です。指針が挙げる一般的な合併症のひとつで、添付文書の有害事象の一覧にも色素沈着が記載されています。
| 読者の言い方 | 対応しそうな記載 | 出典 |
|---|---|---|
| 毛穴が目立つ | 毛孔一致性の炎症・毛嚢炎 | 添付文書の有害事象 |
| ぶつぶつができた | 毛嚢炎 | 添付文書・指針 |
| 黒ずみ | 炎症後色素沈着 | 指針の合併症・添付文書の色素沈着 |
| 色が抜けたように見える | 色素脱失 | 指針の合併症・添付文書 |
対応させた表であって、口コミで語られている状態がこれらの事象であると判定するものではありません。実際に何が起きているかは診察した医師が判断します。
なお、これらが起こる頻度を示す資料はスプレンダーXについて公開されていません。目立つと感じる変化が続くようであれば、自己判断で対処を重ねるより、施術を受けた医療機関に相談するのが先になります。照射前の肌の状態がどう関わるのかは、次の章で扱います。
スプレンダーXを受ける前に注意したい肌の状態と自己処理

前の章が照射のあとに起こりうることだったのに対し、この章は照射を受ける前の条件です。肌の側の制約と、毛の側の前処理の2つに分かれます。根拠はいずれもスプレンダーXの添付文書にあります。
添付文書には、使ってはいけない対象を示す禁忌の欄と、医師の判断にもとづき慎重に行う対象を示す欄があります。まず一覧で見ておきましょう。
| 区分 | 対象 |
|---|---|
| 禁忌 | 光感受性が高い患者・皮膚の光感受性を増幅する薬剤治療を受けている患者 |
| 禁忌 | 単純ヘルペスの病変を有する部位・開放創や感染状態にある皮膚 |
| 禁忌 | 刺青やアートメイクを入れた皮膚 (色素によるレーザ光吸収による熱傷のおそれ) |
| 禁忌 | 異形成母斑・色素性病変の疑いがある部位 |
| 慎重に行う | 激しい日焼け状態の患者 (日焼けした患者は2〜3か月経過してから治療) |
| 慎重に行う | 本品を用いた治療の6週間前に機械的又は化学的な脱毛を行った患者 |
| 慎重に行う | 妊婦及び授乳中の患者 |
| 慎重に行う | ケロイドのリスクがある患者・抗凝固薬投与中の患者 |
| 慎重に行う | 冷気に対する物理アレルギー・凍傷・レイノー病・寒冷凝集素症などがある患者 |
表は添付文書の禁忌・禁止と使用上の注意にある記載を整理したものです。該当するかどうかの判定は診察した医師が行います。
- 直近で日焼けをしていないか。していた場合はいつごろか
- 照射したい部位に刺青やアートメイク、気になるほくろがないか
- 6週間以内に毛抜きや除毛クリームを使っていないか
- 服用している薬があるか。光線過敏に関わる薬や抗凝固薬を含むか
- 妊娠中や授乳中にあたらないか
- 冷えに対して体質的に反応が出やすくないか
肌と毛の側の条件が分かってくると、次に気になるのが機種そのものの違いでしょう。自分の肌に合う条件が見えたうえで機種を見比べると、比較の材料が絞りやすくなります。

スプレンダーXは色黒の肌にヤグレーザーが選ばれる理由
肌の色調と波長の関係には、添付文書に明確な記載があります。スキンタイプV及びVIについてはネオジミウム・ヤグレーザを使用することを推奨しており、アレキサンドライトレーザの推奨治療パラメータ設定はないという記述です。
Fitzpatrickのスキンタイプは肌の色調を6段階で分ける分類で、数字が大きいほど色が濃い側になります。V・VIは濃い側にあたります。この区分については、日本人が該当する範囲についての記載も別機種の添付文書にあり、一般的な日本人が該当するスキンタイプはⅢ〜Ⅳと書かれています。
| スキンタイプ | 記載されている内容 | 出典 |
|---|---|---|
| Ⅲ〜Ⅳ | 一般的な日本人が該当すると記載 | 別機種 (ジェントルマックスプロ) の添付文書 |
| Ⅰ〜Ⅴ程度 | ダイオードやアレキサンドライトが適していると判断できる | 美容医療診療指針 |
| Ⅳ〜Ⅵ | 濃いスキンタイプではネオジミウム・ヤグがよいと判断できる | 美容医療診療指針 |
| Ⅴ・Ⅵ | ネオジミウム・ヤグの使用を推奨。アレキサンドライトの推奨パラメータ設定はない | スプレンダーXの添付文書 |
表は複数の資料の記載を並べたものです。Ⅲ〜Ⅳを日本人の区分とする記載は、別機種であるジェントルマックスプロの添付文書によるものです。そのうえで指針の記述と照合すると、日本人に多いとされるⅢ〜Ⅳは、原則としてアレキサンドライトレーザーの適応の範囲に入ります。色黒という言葉から自分を思い浮かべた方も、まず自分がどの区分に当たるかは診察で確認してください。
なぜ濃い肌でネオジミウム・ヤグが選ばれるのかは、波長の性質から説明できます。指針は、色黒の肌のレーザー治療の問題点は、色素沈着や熱傷などの合併症のリスクが高くなることであると述べています。肌そのものにメラニンが多いと、毛だけでなく皮膚の側にも光が吸収されやすくなるためです。1064nmは色素選択性が低いとされており、その分だけ肌側への影響を抑える方向で使われることになります。
ここでも構成の話が関わってきます。ネオジミウム・ヤグを備えていない個体では、この波長を選ぶこと自体ができません。受ける院の個体がどの構成なのかを確かめる必要があるのは、この理由からです。
なお、日焼けした肌への照射は色黒とは別の論点になります。切り分けたうえで次の節をご覧ください。
スプレンダーXは日焼けした肌やほくろのある部位に照射できる?
この見出しの問いには、答えの向きが2つあります。日焼けした肌と、ほくろのある部位とで扱いが違うためです。分けて確認します。
添付文書の重要な基本的注意には、日焼けした患者は、2〜3か月経過してから、本治療を行うことと記載されています。あわせて、激しい日焼け状態の患者は医師の判断にもとづき慎重に行う対象として列挙されています。
つまり日焼けについては期間を置けば治療の対象になりうる、条件付きの扱いです。ただしここで、日焼け肌にも照射できるという読み方はしないでください。添付文書が求めているのは期間を置くことであって、日焼けした状態のまま打てるという記載ではありません。
さらに添付文書は、治療の前後に日焼けを防ぐために日焼け止め等を使用し十分な遮光を行うことも求めています。照射の前だけでなく、照射の後にも遮光の指示が出ているという点は押さえておきましょう。
こちらは扱いが変わります。添付文書の禁忌・禁止の欄に、異形成母斑、色素性病変の疑いがある部位には使用しないと記載されています。刺青やアートメイクを入れた皮膚も同じく禁忌で、色素によるレーザ光の吸収による熱傷のおそれが理由として挙げられています。
| 対象 | 添付文書の扱い | 記載されている内容 |
|---|---|---|
| 日焼けした肌 | 条件付き | 2〜3か月経過してから治療を行う |
| 激しい日焼け状態 | 慎重に行う | 医師の判断にもとづき慎重に行う |
| 刺青・アートメイクの部位 | 禁忌 | 使用しない (色素による吸収で熱傷のおそれ) |
| 異形成母斑・色素性病変の疑いがある部位 | 禁忌 | 使用しない |
ほくろについては、色素性病変の疑いがあるかどうかを判断するのは医師です。自分で見て問題なさそうだと決めるものではありません。照射したい範囲にほくろがある場合は、その部位をどう扱うかを含めて診察時に相談してください。
スプレンダーXで毛抜きや除毛クリームが照射に影響する理由
毛の側の前処理についても、添付文書に記載があります。本品を用いた治療の6週間前に機械的、又は化学的な脱毛を行った患者は、医師の判断にもとづき慎重に行う対象として列挙されています。
機械的な脱毛にあたるのが毛抜きやワックス、糸を使った除毛です。化学的な脱毛にあたるのが除毛クリームなどの薬剤を使う方法になります。どちらも6週間という期間が示されている点が、この記載の要点でしょう。
なぜ影響するのかは、レーザー脱毛の機序から説明できます。指針が記述するとおり、レーザー脱毛のターゲットは毛の中に含まれるメラニンです。光が毛のメラニンに吸収され、その熱が周囲に伝わって毛包が壊されるという順序で作用します。毛そのものが標的である以上、毛が引き抜かれている状態では作用の起点が失われることになります。
| 方法 | 添付文書での扱い | 考えられる関わり |
|---|---|---|
| 毛抜き・ワックス | 6週間前の機械的な脱毛は慎重に行う対象 | 毛を根元から抜くため標的となる毛が失われる |
| 除毛クリーム | 6週間前の化学的な脱毛は慎重に行う対象 | 薬剤を使うため肌の状態にも影響しうる |
| 剃毛 | 添付文書に個別の記載は見当たらない | 可否や手順は施術する医療機関の指示による |
剃毛の扱いについては添付文書に個別の記載がありません。事前の処理をどうするかは院ごとに案内が異なるため、指示に従ってください。この表は前処理の可否を判定するものではなく、添付文書にどう書かれているかを並べたものです。
6週間という期間は、思っているより長く感じるかもしれません。予約を取る段階から逆算しておくと、当日になって照射を見送るという展開を避けやすくなります。
スプレンダーXと他機種で違う冷却方式・レーザーの種類

他の機種と比べたいという需要は多くあります。ただし比較には制約があります。スプレンダーXの添付文書には最大照射エネルギーや最大フルエンス、繰り返し周波数といった性能の欄がありません。そのため、最大出力や照射スピードで他機種と並べようとすると、片側だけ数値がある状態になり比較になりません。
そこでこの章では、一次資料で両側の裏が取れる4項目に絞ります。波長、照射モード、冷却方式、そして承認上の使用目的の範囲です。順位や優劣の断定はしません。
| 項目 | スプレンダーX | ジェントルマックスプロ |
|---|---|---|
| 承認番号 | 30400BZX00021000 | 23000BZX00128000 |
| 一般的名称 (主) | アレキサンドライトレーザ | ネオジミウム・ヤグレーザ |
| 波長 | 755nm・1064nm | 755±5nm・1064±3nm |
| 照射モード | 755nm単独・1064nm単独・シーケンシャル照射の3通りを規定 | 各波長ごとに推奨治療パラメータを別建てで規定 |
| 冷却方式 | Cryo 6による冷風 (空冷) | DCDによる冷却ガス噴射 |
| 承認上の使用目的 | 長期的な減毛 | 長期的な減毛・表在性の皮膚良性色素性疾患・皮膚良性血管病変における表在性毛細血管拡張症状の改善 |
表は両機種の添付文書の記載を並べたものです。総合的な優劣を示すものではありません。記載がない項目は空欄にせず、記載の有無そのものを差として扱っています。
もうひとつ、レーザーの種類という軸でも整理できます。医療機器としてどの一般的名称で登録されているかは、公開情報から確認できる項目です。名前の挙がりやすい機種を横に並べ、先ほどの4項目のうちこの記事で裏が取れたものを同じ表に置くと、どこまでが公開資料で言えて、どこからが言えないのかがそのまま見えてきます。
| 販売名 | 一般的名称 | 製造販売業者 | 備える波長 | 冷却方式 | 承認上の使用目的 |
|---|---|---|---|---|---|
| SPLENDOR X レーザシステム | アレキサンドライトレーザ | ルミナス・ビー・ジャパン | 755nm・1064nm | Cryo 6による冷風 (空冷) | 長期的な減毛 |
| 長期減毛皮膚疾患用レーザー装置 GentleMaxPro | ネオジミウム・ヤグレーザ | シネロン・キャンデラ | 755±5nm・1064±3nm | DCDによる冷却ガス噴射 | 長期的な減毛・表在性の皮膚良性色素性疾患・皮膚良性血管病変における表在性毛細血管拡張症状の改善 |
| 長期減毛・色素性疾患用レーザー装置 GentleLasePro | アレキサンドライトレーザ | シネロン・キャンデラ | この記事では検証していない | この記事では検証していない | この記事では検証していない |
| LightSheer Duet ダイオードレーザシステム | ダイオードレーザ | ルミナス・ビー・ジャパン | この記事では検証していない | この記事では検証していない | この記事では検証していない |
| 長期減毛用ダイオードレーザー メディオスターモノリス | ダイオードレーザ | グンゼメディカル | この記事では検証していない | この記事では検証していない | この記事では検証していない |
販売名・一般的名称・製造販売業者はPMDAの一般的名称のページで確認できる登録内容です。波長・冷却方式・承認上の使用目的を記載したのは、この記事で添付文書そのものを参照した2機種だけで、残り3機種は空欄にせず検証していないことを記しています。性能の優劣を比較したものではありません。
比較の話題では、ほかにも機種名が挙がります。ジェントルマックスプロプラス・メディオスターモノリス・ライトシェアデュエット・ラシャトリニティプロ・ラシャがその例で、ソプラノチタニウム・アバランチレイズ・クラリティツイン・ジェントルレーズ・エクセルhrといった名前も見かけます。ただしこの記事で一次資料の確認を行っていない機種については、仕様の数値を並べることはしません。名前が挙がることの多い機種として言及するにとどめます。
冷却の中身についてはすでに方式の章で扱ったため、ここでは繰り返しません。他機種との差分だけを次の節で見ていきます。

スプレンダーXとジェントルマックスプロはどっちがいい?冷却方式の違い
どっちがいいかという問いに、順位で答えることはしません。代わりにどんな場面でどちらの記載が効いてくるかという形で整理します。
まず冷却方式です。スプレンダーXはCryo 6による冷風でした。いっぽうジェントルマックスプロはDCD (ダイナミッククーリングデバイス) による冷却ガスの噴射で、添付文書には寒剤として1,1,1,2-テトラフルオロエタン又は1,3,3,3-テトラフルオロプロペンが記載され、スプレー時間20〜100ms・ディレイ10〜100msという設定値も書かれています。
| 観点 | スプレンダーX (冷風) | ジェントルマックスプロ (冷却ガス噴射) |
|---|---|---|
| 冷やす手段 | 冷却した空気を連続して送る | 寒剤を短時間噴射する |
| 設定として記載されている値 | クーリングレベル5〜7 | スプレー時間20〜100ms・ディレイ10〜100ms |
| 添付文書に併記される注意 | 静止の状態で及び局所的に冷気の放出を行わないこと | — |
| 体質面で関わりうる項目 | 冷気に対する物理アレルギー等が慎重投与の対象 | 寒剤に関する項目が記載されている |
どちらが優れているかを示す表ではありません。冷やし方の性質が違うため、体質や部位によって相談すべき点が変わるという整理です。
次に承認上の使用目的の範囲です。スプレンダーXは長期的な減毛のみが使用目的として記載されています。ジェントルマックスプロは長期的な減毛に加えて、アレキサンドライトレーザーによる表在性の皮膚良性色素性疾患の治療と、ネオジミウム・ヤグレーザーによる皮膚良性血管病変における表在性毛細血管拡張症状の改善も記載されました。
これを用途に置き換えると、減毛だけを目的として選ぶ場面では両機種とも使用目的の範囲に入るいっぽう、減毛以外の目的が話に含まれる場面では承認されている範囲が違ってくるということになります。使用目的の欄に書かれていない用途は、承認の範囲の外にあるためです。
ジェントルマックスプロという機種そのものについては、ジェントルマックスプロを主題にした記事で扱います。この記事では、スプレンダーXとの差が出る項目に限って整理しました。
スプレンダーXとメディオスターはレーザーの種類が違う
メディオスターとの比較では、レーザーの種類そのものが違うという点が出発点になります。
PMDAの一般的名称のページで確認できるとおり、メディオスターモノリスはダイオードレーザとして登録されています。製造販売業者はグンゼメディカルです。いっぽうスプレンダーXはアレキサンドライトレーザが主たる一般的名称、ネオジミウム・ヤグレーザが従たる一般的名称として登録されています。
| 項目 | スプレンダーX | メディオスターモノリス |
|---|---|---|
| 一般的名称 | アレキサンドライトレーザ (従: ネオジミウム・ヤグレーザ) | ダイオードレーザ |
| 備える波長 | 755nm・1064nm | 添付文書の記載をこの記事では検証していない |
| 製造販売業者 | ルミナス・ビー・ジャパン | グンゼメディカル |
メディオスター側の波長やパラメータについては、この記事で一次資料の検証を行っていません。登録上の一般的名称の違いまでを差として示しています。
ダイオードレーザーそのものの位置づけは、指針に記述があります。ダイオードレーザーはアレキサンドライトレーザーと並べて紹介されることが多く、レーザー脱毛全般の報告としては、脱毛率の報告値も両者は近い水準で並んでいます。脱毛用ダイオードレーザーが日本で承認されたのは2018年からとされ、承認の時期にも開きがありました。
種類が違うということは、メラニンへの吸収されやすさと届く深さの組み合わせが違うということでもあります。ただしどちらが自分に向くかは、毛や肌の状態を診たうえでの判断になります。メディオスターという機種については、メディオスターと蓄熱式を主題にした記事であらためて扱います。
スプレンダーXと他機種を比較する場合の選び方
この章が掲げた2つの項目、冷却方式とレーザーの種類を、どう見て選ぶかという視点で受けます。順位を付けることはしません。
- どの波長を備えた個体か。1波長の構成か2波長の構成か
- 冷却は冷風か、冷却ガスの噴射か。冷えに対する体質と合うか
- 承認上の使用目的の範囲に、自分が受けたい内容が入っているか
- 添付文書に記載がある項目か、それとも記載のない項目についての説明か
4つ目が見落とされやすいところです。機種の紹介では、添付文書に記載のある内容と、記載のない説明とが同じ調子で並ぶことがあります。どちらなのかを分けて聞くだけで、判断の材料の質は変わってきます。
- 受ける院の個体が2波長の構成で、毛や肌の状態に応じて波長を選びたい場合
- 目的が減毛であり、承認上の使用目的の範囲と合っている場合
- 冷風による冷却が体質の面で問題にならないと医師が判断した場合
- 複数回にわたって通う前提を受け入れられる場合
- 冷気に対する物理アレルギーやレイノー病など、冷却に関わる体質がある場合
- 照射したい部位に刺青やアートメイク、色素性病変の疑いがある部分を含む場合
- 直近で日焼けをしており、期間を置く余裕がない場合
- 減毛以外の目的が主で、承認上の使用目的の範囲から外れる場合
上の2つのリストは公開資料に記載がある条件を並べたものであり、機種の優劣を示すものではありません。当てはまるかどうかの判断は診察した医師が行います。
なお、機種を導入している医療機関を探す段階になったら、エリアごとに整理した記事があります。東京・大阪・名古屋・福岡・仙台・横浜・札幌のそれぞれで、クリニックの選び方をまとめています。導入機種は院ごとに異なるため、個体の構成まで含めてカウンセリングで確認してください。

スプレンダーXの脱毛の口コミ

実際に受けた人の声も、判断の材料として気になるところでしょう。この章では、個々の書き込みを引き写すのではなく、どんな話題が繰り返し現れるかという読み方としてまとめます。書き込みの文言をそのまま転載することはしません。件数を集計した調査ではないため、以下は割合や多寡を示すものではなく、確認した投稿に現れた話題の型として読んでください。
声が集まる場所は媒体ごとに分かれます。Yahoo!知恵袋、XをはじめとするSNS、体験ブログ、5chやなんJのような掲示板が主なところです。レポ・評判・レビューといった言い方で探される情報も、出どころはこのあたりに分かれます。この章で実際に確認したのはこのうちYahoo!知恵袋で、2026年8月に「スプレンダーX」「スプレンダーX 効果ない」「スプレンダーX 抜けない」「スプレンダーX 口コミ」「スプレンダーX 痛い」の5通りの言い方で検索し、重複を除いた32件の質問に目を通しました。以下はその範囲で繰り返し現れた話題の型で、SNS・体験ブログ・掲示板については内容を確認していません。
- 太い毛から先に反応を感じたという書き込みが知恵袋に見られる
- 回数を重ねるにつれて生えてこなくなった部位があるという趣旨の投稿が知恵袋に見られる
- 想像していたより痛みが軽かったという施術直後の感想が知恵袋に見られる
- 部位によっては痛みが気にならなかったという声が知恵袋の回答に見られる
満足側の声には、回数を重ねた時点での感想として書かれているものが目立ちます。1回目の直後の投稿と、数回を終えたあとの投稿とでは、書かれている内容の調子が違う点は確認した範囲でも見て取れました。
- 数回受けたのに毛が残っているという書き込みが知恵袋に集まっている
- 産毛のような細い毛が残るという趣旨の投稿が知恵袋に見られる
- 部位によって抜け方に差があるという感想が知恵袋に見られる
- 照射のあとに毛が抜けてこないという不安を書いた投稿が知恵袋に見られる
- 照射中の痛みが強かったという書き込みが知恵袋に見られる
不満側の声には、時期・部位・毛の性質のいずれかの条件が添えられているものが目立ちます。機種そのものへの評価というより、どの状況で書かれたかが読み取れる投稿が多く見られました。
どちらの傾向も媒体に書き込まれた内容の要約であり、件数を集計したものでも、内容の真偽を確認したものでもありません。個々の投稿には施術を受けた院・回数・部位・設定といった条件が書かれていないことも多く、そのまま比較はできない点に注意してください。

スプレンダーXが効果ないという知恵袋の書き込みに多い傾向
効果ないという言葉で書き込まれている内容を見ていくと、いくつかの型に分かれます。何回目の時点なのか、どの部位なのか、どんな毛が残っているのかという3つの条件が、確認した投稿に繰り返し現れます。
| 書き込みに現れる条件 | この記事で対応する内容 |
|---|---|
| 1〜2回を終えた時点での感想 | 別機種の添付文書では単回51.4%・3回73.7%という報告値 |
| 満足まで何回かかるのかという不安 | Raoらの別機種Nd:YAG研究で平均8.9回・範囲4〜22回という報告値 |
| 細い毛や色の薄い毛が残る | 毛の太さや色調によって効果が劣る場合があると指針が記述 |
| 部位によって差がある | 脱毛部位や毛包の深度も効果に関わる要素として指針が列挙 |
いっぽうで、同じ知恵袋のなかにも満足側の回答は存在します。回数を重ねてから変わったという趣旨の回答や、太い毛から順に反応が出たという回答が、質問への返信として書き込まれています。効果ないという検索語で表示される画面には否定側の投稿が並びやすいため、片側だけを見ている状態になりやすい点は意識しておきたいところです。
一次情報の側から言えることは、この記事のここまでで扱ってきた範囲になります。公開されている報告値のいずれも、1回や2回で毛がなくなることを示していません。そして毛の太さや色調によって効果が劣る場合があることは、指針が明記していました。書き込みに現れる条件の多くは、この2点の範囲内に収まるでしょう。
ただし、それで書き込みの内容が説明しきれるわけでもありません。照射の設定は院ごとに決まり、個体の波長構成も同じとは限らないためです。自分のケースがどれに当たるかは、受けた院で確認するのが早いという結論になります。
スプレンダーXが痛いという知恵袋の声
痛いという言葉で書き込まれている内容も、条件が付いた形で現れます。部位の指定があるもの、麻酔の有無に触れているもの、冷風の感じ方に触れているものに分かれます。
| 書き込みに現れる条件 | この記事で対応する内容 |
|---|---|
| 特定の部位が痛かった | 部位別の痛みを一般化した一次情報は確認できていない |
| 麻酔を使ったら楽だったか知りたい | スプレンダーX以外の機器を用いた山田2015でVASが塗布側10.3mm・非塗布側37.6mmと報告 |
| 冷風が寒い・冷たい | 冷却は表皮を保護する目的で使用されると指針が記述 |
| 波長によって違うのか | 指針は755nmを比較的軽度・1064nmをやや強いと記述 |
こちらも、痛みが気にならなかったという声は同じ媒体のなかに存在します。くすぐったい程度だったという趣旨の書き込みや、麻酔を使ったので耐えられたという回答、部位を変えたら感じ方が違ったという投稿が見られます。痛いという検索語から入ると強い表現の投稿が上に並びやすいため、幅があることを前提に読むとよいでしょう。
一次情報と突き合わせると、次のように整理できます。スプレンダーXとは別の機器を用いた山田2015では、麻酔クリームを使った側と使わなかった側で痛みの評価に有意な差が出たと報告され、その差はVASで10.3mmと37.6mmという値でした。また指針は、755nmでは疼痛が比較的軽度とされる一方、1064nmは他の機器よりやや強いとされると記述しています。
冷風が寒いという感想については、方式の章で扱った位置づけがそのまま当てはまります。冷えに関わる体質が慎重投与の対象になっている以上、感じ方が強いときは我慢するより施術中に伝えるほうが調整の余地が生まれるでしょう。
スプレンダーXのよくある質問

ここまでで触れていない論点を、質問の形でまとめます。
スプレンダーXに保険は使える?
保険は使えません。山田2015の緒言にレーザー脱毛は保険適用外であると明記されています。自由診療にあたるため、費用は全額が自己負担になります。
同じ論文では、麻酔クリームについても補足があります。この薬剤自体は皮膚レーザー照射療法時の疼痛緩和に効能・効果を示し保険適用になっているものの、レーザー脱毛は保険適用外であるためこの場合は本剤の使用も保険適用外であるとされています。付随する項目にも同じ扱いが及ぶということです。料金に幅が生まれる構造については、回数と間隔の章で扱っています。
スプレンダーXは医師以外が照射してもいい?
無資格者による照射はできません。厚生労働省の通知に判断の根拠があります。医政局医事課長通知「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」(平成13年11月8日 医政医発第105号) は、用いる機器が医療用であるか否かを問わず、レーザー光線又はその他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射し、毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為は、医師が行うのでなければ保健衛生上危害の生ずるおそれのある行為であるとしています。そして、無資格者が業として行えば医師法第17条に違反すると示しています。
参考: 医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて (医政医発第105号)|厚生労働省
ここで区別が必要なのは、この通知が対象としているのが無資格者による照射である点です。実際のクリニックでは、医師の診察と指示のもとで看護師が照射を担当する運用が広く行われています。看護師は資格を持つ医療従事者であり、無資格者による施術とは扱いが異なります。誰が照射するのかが気になる場合は、診察と照射の担当をどう分けているかをカウンセリングで確認してください。
妊娠中や授乳中にスプレンダーXは受けられる?
添付文書は、妊婦及び授乳中の患者を慎重に行う対象として列挙しています。医師の判断に基づき慎重に行うこと、という区分に含まれるという意味です。受けられないと断定する記載ではありませんが、通常と同じ扱いにはなりません。
判断は診察した医師が行います。妊娠の可能性がある場合や授乳中である場合は、カウンセリングの段階でその旨を伝えてください。時期をずらすという選択も含めて相談することになります。
スプレンダーXの照射後に冷却は必要?
添付文書の重要な基本的注意には、治療後の不快感や合併症のリスクを低減するため、治療後にはアイスパック等で照射部位の冷却を適宜行うことと記載されています。
ただしこの記述は、機器を使う医療者に向けた指示として書かれているものです。帰宅後に自分で何をするかというセルフケアの手順とは別に読む必要があります。照射後にどうすればよいかは、施術を受けた医療機関の指示に従ってください。
なお、ここでいう冷却は照射のあとに行う冷却であり、照射中にCryo 6が行う冷風の冷却とは別のものです。治療後の対応と、照射時に表皮を保護するための機器側の機能という違いがあります。
-
スプレンダーXの施術と他の検査や治療を併用するときの制限はある?
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添付文書の相互作用の欄に、MRI装置・X線診断装置・CT装置・ジアテルミー装置との併用が禁忌として記載されています。予定がある場合は事前に伝えてください。
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スプレンダーXが一度に照射できる範囲はどのくらい?
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添付文書の推奨治療パラメータ表には、単独照射でスクエア10×10mmから20×20mm・ラウンド10mmから24mm、シーケンシャル照射でスクエア27×27mm・ラウンド30mmまでの記載があります。レンズチップのサイズは本体が自動認識するとされています。
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スプレンダーXの添付文書は自分でも確認できる?
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PMDAの医療機器情報の検索から、販売名 SPLENDOR X レーザシステム または承認番号 30400BZX00021000 で確認できます。添付文書は改訂されるため、参照するときは版の日付をあわせて見てください。
-
スプレンダーXの照射前にテスト照射は行われる?
-
添付文書のその他の注意に、本品による治療の前にテスト照射を行うことを推奨するという記載があります。実施するかどうかと手順は、診察した医師の判断によります。
-
スプレンダーXの機器はどのくらいの期間使われるもの?
-
添付文書の保管方法及び有効期間等の欄に、耐用年数8年と記載されています。自己認証によるもので、法定耐用年数とは別の値です。

ここまで読んで、スプレンダーXという機種について公開資料から何が言えるのかは、輪郭が見えてきたのではないでしょうか。確認できることは3つです。1つめは、承認されている使用目的が長期的な減毛であり、複数回を前提とした説明が求められていること。2つめは、抜けないと感じるときに確かめる方向が、出力の設定・毛の性質・部位に分かれること。3つめは、機種固有の回数や間隔、減毛率を示す一次資料が公開されていないこと。この3点を持ってカウンセリングに臨めば、機種名だけで判断する必要はなくなります。
長期減毛・皮膚疾患用レーザー装置 GentleMax Pro 添付文書 第7版|医薬品医療機器総合機構 (PMDA)
承認レーザー機器一覧表 (2021年度 新規承認レーザー機器)|日本レーザー医学会
美容医療診療指針 (令和3年度改訂版) 第5章 脱毛治療|日本皮膚科学会
美容医療診療指針 (令和3年度改訂版) 収載ページ|Minds ガイドラインライブラリ
レーザー脱毛時における皮膚症状の変化とスキンケアの有用性の検討|日本レーザー医学会誌 (J-STAGE)
外用局所麻酔剤リドカイン・プロピトカイン配合クリームのレーザー脱毛時における有用性の検討|日本レーザー医学会誌 (J-STAGE)
医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて (医政医発第105号)|厚生労働省